富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月六日(火)昼に灣仔道の印度料理屋Shaffi's Malik Restaurantに食す。駐軍地・石崗のサフィと姉妹店なのか関係ないのか知らぬ。昏時ジムにて小一時間筋力鍛錬。帰宅途中に風呂充実の別なジムに寄り一浴。四月末に歌舞伎座で開催の俳優祭のビデオ見る。この時はまだ元気な團十郎の姿。仁左衛門がここまで健康回復し澤瀉屋團十郎が舞台に出られぬなど十年以上前に誰が想像したか。歌江の大旦那の声色もっと上手かった筈がいま一つ。弥十郎が目立っていたが弥十郎ふだんの舞台ではあまり注目もしておらず調べてみれば父が銀幕のスター坂東好太郎は「河豚に当った」八代目三津五郎と従兄弟。松緑が中入の模擬店で酒場のマスターしており実際に酔っているのが笑えず(笑)。俳優協会会長として京屋が最後に舞台に現れ締めの挨拶したが雀右衛門の姿思ったより身体も小さくなり挨拶も多少覚束ずかつてレイバンのサングラスに革ジャンでハーレイに跨がった女形の雄姿も遠ひ昔なり。歌舞伎座の舞台に幹部俳優総出演で、だが実際にいちばん芝居上手で見事に思えたのは特別出演の藤山直美、本当に唖然とするほどに舞台に映える。
▼厳重急性呼吸系統綜合症(SARS)に関する政府の独立調査委の報告昨日発表される。政府高官らの疫禍対処にいくつも錯誤指摘しつつ具体的な責任への言及なし。彼らの判断何如で百人単位の志望者の増減あるわけで言ってみれば業務上過失致死罪。結果論で何でも言える、昨年の春のあの時期に判断容易ならず、と言うも可ながら、それほど責任ある地位の職であるからわざわざ高給厚遇にて彼らに任せているのであり「すわ鎌倉」の場にて真っ当なる判断もできぬのなら彼らの職位に招き猫でも据えておけばよし。いざ防疫の時に賢明なる措置もできず、で疫死の市民出れば業務上過失致死罪に問わぬまでも引責退任の上で褒酬金返上くらいあって当然の筈。
▼北京にてはSARS疫禍をば外国媒体に公言し、亦た党中央に対して六四天安門事件の歴史的再評価求めた蒋彦永医師が先月一日より一ヶ月以上に渡り政府により軟禁状態。一党独裁国家の醜態。その国をば十数億の巨大なる成長市場として諸手を挙げて商売相手としこの国の恥部には一切目を瞑るのが日本。本来の国際貢献のできる責任ある地位の国家を志望するのなら、多国籍軍参加よか中国にも人権問題などで積極的に言及すべきの筈。そのような勇気もなく何が大国か、呆れるばかり。
▼香港政府の政策決定のシンクタンクたる中央政策組の専任顧問の一人練乙錚博士「被炒」=実質上の更迭処分。政府の中枢にありながら練博士が昨年の七月の民主派集会に参加したり普通選挙実施に積極的主張するなどの態度問題となり今年九月まで休暇与えた上で契約更新せず事実上の解雇。政府高官といへ政治的信条や思想言論の自由はあるはずだが「立場上」「政治的敏感」であり政治的活動は政府中枢として「政治的微妙」といふ判断か。いずれにせよ練博士もともと科学技術大学経済系講師から同大学院MBAの主任務め経済紙信報の編集長を歴任しての政府入り。碩学にあの白痴政府の仕事全うできることのほうが不思議かも。ちなみにこの中央政策組、董建華長官の肝煎にて組織され責任者は余が九十年頃に「中文大学の竹村健一」と呼んでいた、大学教員でありながら実際の学問研究などせずテレビ相手に時評コメントで売っていた劉兆佳教授。

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