富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月四日(日)雨模様。昼にかけて銅鑼灣のジム。ジムを昼の12:45に出て地下鉄で中環にて空港快線に乗継ぎ空港着が13時半と全く以て便利至極。Z嬢を出迎え。いったん帰宅。Z嬢からのお土産少なからずジャックダニエルバランタイン17年を各一瓶。香炉の灰。銀座の伊東屋ペリカン社のペリカーノといふ若輩用の普及型万年筆を見てもらひ、このペリカーノジュニアとfutureといふやはり廉価な万年筆。鞄に放り込んで持歩くにはこの程度で佳し。いずれも軸は深紅。以上は頼んだものでその他、京都で宮脇賣扇庵の扇子二本と日本橋丸善のワイシャツを三枚も買ってきてくれ深謝。扇子といへば旧白木屋向いの永頼堂が平日で閉っていたそうな。いつも伊波扇や人形町の京扇堂にまで足を向けることもなく日本橋のこの店で扇子購ってきたが閉店だろうか。夕刻再びジム。この週末天気悪く室内運動ばかり。Z嬢とFortress Hill站に待ち合せ久々に福建菜の閔江春菜館に食す(閔の字は正しくは「門」構えに「虫」を置く)。蜆仔煎、鶏巻、椒鹽醋肉、鹵大腸に福建鹵麺。満腹至極。
▼今回Z嬢がジャパンレイルパス初めて利用。北斎富嶽三十六景から神奈川沖浪裏の絵柄も「あんまり」だがパス券の現物見せられ驚いたが顔写真も貼らず駅でも自動改札通れぬため駅員の居る改札抜けるが見せようとしても「オーケーゴーゴー」で殆ど見ようともせず、と。つまり期限切れても特急券でも引替える場合を除き国電などなら殆ど通行手形で見せれば乗車も可。巴里の乗り放題パスとて顔写真あり切符は磁気読取りで期限切れれば利用できず。「外国人は信用できず悪いことばかりする」のだから磁気カードにする程度の技術が何故ハイテク国家でせぬのか不思議。どうせならパス券の交付は成田、東京駅、大阪など国際空港や港のある主要駅に限られるのだから磁気カード式で顔写真くらいデジカメで撮影して焼込む技術は容易でなかろうか。また利用してみるとZ嬢がパス券使って「オーケーゴーゴー」=改札(笑)で駅員にちょっと何か尋ねようとすると駅員「来るなよ、来るなよ」と顔に書いてあり更に近づくと「あ、ちょっ用事が」といふフリで出札口から駅務室の中に隠れたと(笑)。明らかに外国人の質問が面倒といふ態度。こんなお粗末さ。多国籍軍に参加するまえにすることは多し。
▼Z嬢成田のイミグレで出国の際に聞いた(間違いなく)茨城の田舎者らの会話。一人の旅券の顔写真で服装がカジュアルであったのを見つけた同行者が「パスポートの写真は背広のほうがいいんだってよぉ、そのほーが入国審査で早くすむんだってよぉ」と。椿説。だがもう一人が「背広着てるのがいるから、そんなことになんだっぺよ」と、つまり旅券の写真でみんなが背広着ていなければ一律平等になる、といふ意見。
週刊読書人角川春樹復活の日」祝賀会の記事あり。「歩く戦中戦後」瀬島龍三、畏友北方謙三、角川といへば森村誠一、映画関係では崔洋一千葉真一津川雅彦ユーミンといふ多彩なゲストというところまでは別に面白くもないが司会がジョー山中(笑)。角川社長は出所したが「えっ、ジョー山中ってシャバにいたんだ」と思った祝賀会参加者も少なくないのでは。映画「人間の証明」でジョー山中の演じた黒人兵役は、兵役に「惧れ」現れ好演。例えば福生のライブハウスでジョー中山のライブを聴いて、その足で福生お好み焼「さざえ」でしんちゃんのお好み焼を頬張る……など想像すると愉快。
朝日新聞龍谷大学法科大学院の全面広告あり。このご時世に「龍谷大学は「国民のための司法」を目指す司法制度改革の精神を尊重し「共生ともいき」の理念と「日本国憲法の精神を護り発展させる」という本学の法学教育の目的を達成するため「市民のために働く法律家」を養成する法科大学院を開設します」と宣ふ。法曹充実のための法科大学院の設置で憲法に則り護憲主張する大学院が他にあろうかどうか、それが珍しいことがこの国の異常なのだが、少なくとも国立大学がもはや骨抜きにされつつあり、こういった崇高な理念すら唱えることの無理。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/