富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月廿七日(日)朝七時起床。早朝に驟雨。ジムの入会でエステお試し特典あり朝九時より小一時間按摩。日曜の朝から按摩で極楽至極。天気予報は晴れ時々雨乍ら雲多くも沖風に流れ行きジムよりその足にてトレイル。山道に入れば轍わだち多く未暁にかなりの降雨ありと知る。マウントパーカー道を急ぎ足で登り大譚下れば(写真)大譚水塘の引水路いつもなら遭っても一、二人が今日は「青年環保行」(青年環境保護ハイク)なる行事あり青年といふ名の老人多きパーティ数多くこの引水路歩くのはいいがオバサンら狭い引水路に余が反対方向から走ってきても日傘除ける気配りすらなき横柄ぶりに閉口す。島南の海岸に至りご褒美麦酒。ふと食指動き魚蛋食せば最近の温飩粉多き偽りの魚蛋と異なり魚のツミレばかりの見事な魚蛋につい麦酒もう一缶。これで一時間半の山走りもご破算に帰す。午後海岸の木陰にてハインライン著『月は無慈悲な』読みつ微睡む。こうして居られることの自由、つくづく有難きことと感じ入る。夕方帰途につきスタンレイ経緯で西湾河。なぜ西湾河かと言へば、今朝山道走りつつふと気づいたは鳥インフルエンザにて数ヶ月だか半年だか香港より消えていた鵞鳥、鴨など鳥禽がすでに市場に復帰し中環の庸記も先週からだか名物の焼鵝の供給再開と新聞にあり、つまり久しく店を閉じし西湾河の潮州滷味の順興なども再開のはず。期待通り再開でまた行列あり。順番待った客が「久々にここの店の滷味が食べれるよ」といふ笑顔に親方、店員の表情にも活気あり。滷水鵝と滷味蛋二個購ふ。ジャスコにて食パン購ひ滷味の袋持ってジム。順興にて滷水豆腐求めるを忘れたと気づき超級市場にて豆腐購い帰宅して豆腐の水切って順興にてくれた滷水かけて冷蔵庫に寝かす。雑事済ませつつウォッカレモン。レモン1個搾り大きめの氷一塊にレモン汁とカンペキに同量のウォッカ注げば出来上り。美味。日が長く午後七時半に九龍の街の灯、夕暮をば楽しむ。真露焼酎で滷水の鵝と豆腐食す。美味。最後に納豆でご飯。NHKのニュースで群馬県太田市だかで外国人市民集め彼らの声を聞き市政に活かすとかのニュースでアナウンサーが「外国人の人たち」と。なぜ「外国人」じゃダメで「の人たち」なのか。これで差別、偏見を回避してるつもりだろうが、それじゃ「自民党の人たち」とか「東京都民の人たち」と言うかといふと言わぬわけで、そもそも根底に「朝鮮人」とか「被拉致者」とか「外国人」に偏見あるからの「〜の人たち」扱い。続き、参議院選挙特集の番組あり各党の参院幹事長集る。自民党青木幹雄君「こんばんわ」と挨拶せば続く与党公明党から野党の民主、共産、社民まで幹事長皆「こんばんわ」で司会のアナウンサーまで「こんばんわ」と。一人くらい「ハーイ!」とか「参院選では打倒自民党民主党です」くらい言わないのか。自衛隊イラク派遣から多国籍軍参加まで話題となるが自民党青木君の発想が余りに「和平維持活動に出たのだからそうやすやすとは撤退できない」だの(まさに満州)サミットでの小泉発言も「サミットという場で「外国の人と」首相がああして約束したんだから」「野党も協力をお願いしますよ」とこの貧困なる発想。川向うの人ともう約束してきたんだから何かしないとダメでしょーよ、と村の寄合いの如し。所詮、島根の竹下登の子飼で、その発想で自民党参院幹事長務まるのが今の政治のレベルの低さ。全く論点もはっきりせぬままだったが突然、比叡山延暦寺の僧の「散華」といふ声明しょうみょう流れNHK見事な演出!と思ったら実は次の番組。アジアハートフルコンサートなる番組で醜悪なる外語羅列、ハートフルとは何ぞや。心温まるならheartyとかheartwarmingであろうか。ハートフルなどといふ言葉用いるだけでもはや英語通じぬheartlessな状態。出てくるだろうなぁと恐れていたら当然やはり「昴」谷村新司先生ご登場。何度聞いても歌詞の言わんとするところ理解できず。ビデオニュースドットコムで神保宮台両氏の対談のゲストはスポーツジャーナリストの二宮清純氏。大変面白し。ナベツネが実は(というか当然だが)スポーツを理解しておらず野球から芝生を略ったこと、プロ野球の企業主義。行政がすべきスポーツ施設の拡充が足りず民間スポーツ施設がビジネスとなる日本。
▼三月廿八日の朝日新聞にて「君が代に民主的なる二番の歌詞加えていたら」と書き唖然とさせられた論説主幹!の若宮啓文君、態を潜めていたかと思えば朝日も大したもので再び「君が代と皇室」なるコラム掲載。実は明治十四年に二番に「きみがよは千尋の底のさざれいしの鵜のゐる磯とあらはるるまで……」とある君が代が小学唱歌集にあるとの指摘を多くの読者から受け……とコラムは始り(怖い予感あり……笑)、だがこの君が代は曲も違い今の君が代とは別もの。で戦後は讀賣新聞も四八年に新生日本にふさわしい国家を、と書いていると(だから何なんだ、と言いたいが)。で実は朝日の先達である伊波新之助も九九年に「国民われら」で始る二番、「集えるわれら」で始る三番を提唱しており、この発想が実っていれば「いまどき国旗国歌をめぐって強制だの処分だのという騒ぎはなかっただろう」となんとまぁ呆れるほどの論説主幹の楽天ぶり。で、ここから論点がよくわからぬのだが、「ともあれ君が代を国家に定めたことは、将来にわたって天皇制を続けるという宣言であった」と、君が代の話題は突然終り、ここから現代の天皇制の、とくに皇族の精神的負担など挙げて、もっと皇室を開くことなどを説く。で最後は「君が代は千代に八千代に……と続くには、一体どうすればいいのか。国歌の歌わせ方などよりも、その方が大事な国の課題だろう」と結ぶ。おいおい……産経だよ、これじゃ(笑)。朝日の昏迷ぶり。
▼このサイトの読手(蒼茫一号様)より香港にて星巴よりパシフィックコーヒーの方が美味いが「スタバ進出以前はほんとうにひどい味」と。確かに思い出せばその通り。ほどほどの競走は大切、と。御意。星巴の珈琲で頭痛する友人もいるそうで余も同じ。星巴が美心集団マキシムであることはスタバが美心の隣りにある時はトイレは美心に行ってくれ、となるそうな。
▼話題にするのも意味がないが蔡瀾氏の今日の蘋果日報の随筆。蔡瀾氏の日本旅行ツアー企画。今回はゴルフです。往路のフライトで参加者より「天気は大丈夫?」と尋ねられ、これまでのツアー企画にはない心配。心配しても仕方ない。ゆうべ徹夜で原稿書いたから飛行機では寝る。北海道に着いたら天気よし。ツアーは八十人で本来ならバスは二台だけどゴルフ道具があるのでバスを1台追加しました……と。この内容で何が面白いか、何が蘋果日報の看板連載か。実は編集部は「切りたい」であろう香港一原稿料の高い随筆家。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/