富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月十一日(金)快晴。晩にジム。帰宅してニュース見れば三菱自動車の問題にて国土交通大臣石原伸晃君三菱製自動車を「走る凶器」と喩え。話す凶器、歩く狂気は誰かと言わぬがファシス都知事画面に現れ「道路で隣りに三菱の自動車が来ると怖い」と述べる。余は都知事が隣りにいるほうが三菱の自動車よりよっぽど恐怖。芸人レイ=チャールズ氏の逝去。まだ七十六歳という年齢に驚いたが事実。もう二三十年前より十分に七旬の「老人」だと思っていたのは笠智衆なみ。晩遅く電話にて母と話す。海老蔵助六見た母曰く切符入手の電話予約にて予約開始から三日目に漸くつながり空いていたのが一等席の僅か三日程度だったそうで、それも二階のかなり奥まった一等席でも端の端。母の見た海老蔵助六の花道の出ではさすがに成田屋と思ったがやはり父禅りで口跡に難あり、芝居始ると新兵衛(これは適役)の中村屋や門兵衛役の播磨屋、意休が当り役の高島屋だの芝居上手の先輩役者の演技にやはり喰われてしまひ成田屋とはいへまだまだ若い、若いと母。やはり助六で当代は松島屋の右にでる役者はなし、と母と評が落着く。ここ数日日剰の日付け五月と記載に自ら気がつかず、単に間違いでなく五月と勘違いとは老いの痴呆。 三更明日の競馬予想に遊ぶ。ちなみに蹴球の欧州2004だが余は前回の世界盃での伯剌西爾優勝に気を良くして次回は伊太利亜と宣言した手前、今回の欧04も伊太利亜優勝に祝儀。ちなみにA班は西班牙、B英蘭、Cは当然伊太利亜、D独逸といふのが余のあまりにつまらぬ予想。これで本日賭けを済ます。
▼小泉三世がブッシュ二世に公言の「自衛隊多国籍軍参加」は内閣法制局のお墨付き(東京新聞)。内閣法制局、本来なら時の権力に与せず徹底した法治観念にて国家の最高法規たる憲法に合致する行政、法政をば護る役所ながら、実際には「内閣」の一局にて法律審査に当たる参事官も所詮、他省庁からの出向者とあらば結局は各省庁に強き与党の有力代議士に謂わば「キンタマを握られた」幹部公務員に過ぎず。湾岸戦争にて多国籍軍支援の自衛隊海外派兵を盛り込む国連平和協力法案に抵抗示したような過去もあるが、警察予備隊発足から今日の多国籍軍参加に至るまで内閣法制局が「現実的に」対応の業績あり。
▼香港警察のトップを昨年十二月に引退せし警務処処長・曾蔭培君(政務司長曾蔭権君実弟)新創建有限公司天下り就職。月給約五百万円の取締役。警察トップは前任の許淇安君が嘉華集団、その前任の李君夏君(初代の華人処長)が李嘉誠君の長江集団と三代続けての民間デベロッパーへの天下りに、その公職経験者の強欲ぶりと面の皮の厚さに呆れるばかり。本来、警察トップといふ立場ならば中立に徹し余生をば南海の別荘ででも過ごすべきところ財界に取り入り男芸者ぶり発揮とは。現職の処長は江沢民君来港の折にデモ隊の江沢民への罵声に対してベートーベンの「運命」をば流し罵声封じ込めたほどの「何でもできる男」でこれもまた数年後の天下りは必至か。警察は財閥の守衛である、と思えば理解に易い構図だが。
市川海老蔵君の助六(チラシ)、今月の歌舞伎座は金券ショップにて3階わ列でさえ六千円と築地のH君より報せあり。このようなことがかつてあったかどうか。澤瀉屋スーパー歌舞伎、いや、おそらく孝夫・玉三郎のブームの頃が最も切符の入手困難か。父團十郎の病気休演は寂しきところ九代目海老蔵以来の沸騰。今月は週末でも東都に向かえぬ残念。ちなみに三階の東二扉入ったあたりが余が東都にありし頃の定席。Z嬢と見に行った歌右衛門芝翫の二人道成寺だの東側の此処に久が原のT君が坐し西にT君の弟弟子君対坐し東西からそれぞれ成駒屋に掛け声かかりそれはそれは華やかなりし光景。確か梅幸がまだ元気に藤娘を踊っていた頃で十六七年前か。京都の南座の改修工事の前、最後の顔見世が確か先帝崩御の年の暮、南座の桟敷に久が原のT君やZ嬢と映る写真あり、その頃のこと。それにしても松竹のHPにて「平成3年松竹株式会社会長永山武臣により、京都の街の景観にとけこんだ外観はそのままに内部を全面改修し、最新設備の近代劇場として改築され、11月新装開場記念吉例顔見世興行によって新時代の幕を開いた」と南座の紹介あり(こちら)。平壌の万寿台議事堂で「金日成主席の……」ぢゃありまいに、自らのHPでの会長の功徳を賞めるこの扱いは異常。しかも「永山武臣により」は恐らく「改築され」に掛かるのだろうが、途中に「改修し」とあり、後半は「南座は」といふ主語もないため、日本語として非常に悪文。せめて「劇場は、平成3年松竹株式会社会長永山武臣の命により、京都の街の景観にとけこんだ外観はそのままに内部は最新設備の近代劇場として改築され、11月新装開場記念吉例顔見世興行によって新時代の幕を開いた」とでもすれば「まだ」マシか。
▼昨日の朝日に教育基本法に関する自民・公明両党での改正検討会の中間報告案に関する記事あり。「愛国心」に関して自民は「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」とし公明は自民の「郷土と国を愛し」を「郷土と国を大切にし」とすることで譲歩とか。開玩笑。自然に愛おしまれてこそ愛、教育基本法の改正などで社会改革誤魔化すより自然と愛される郷土、国家つくることこそ自民党の代議士諸君の本来の為すべき事。郷土を離れ家庭省みられず少子化続く、この根本原因が何処にあるのか。不信感なり。このような愛の強要など不信感を余計募られるばかり。公明党公明党。女性が「アタシのことを大切にして」といふことはその男女の間が上手くいってない証拠。本来愛されていれば「大切に」などといふ必要なし。法改正にて世の中改善されるほど簡単に非ず。日蓮聖人の教えなら日々の生活に於いて一滴の水が集まって海となり一歩一歩の積み重ねが千里の道を行くように日々の積み重ねが大切。自民党の社会改革の玩びに寄与するは不要のはず。

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