富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月十日(木)晴。昨晩より腹痛あり今朝ひどくなり昼に養和病院にてL医師の診断請ふ。待合室のフィッシャーの瞞し絵とダリの絵画の間に挟まれたテレビの画面に米国元総統レーガン国葬の模様映る。ブッシュ二世の不在は米国内で開催のG8の為。どうせなら先進国首脳をばレーガン国葬に参加させ垂頭させるべき。その国葬の映像眺めつつ手許には昨日、新宿のL君より送られし米国の劇作家Larry Kramer氏の「アドルフ=レーガン」といふ文章のコピーあり診察待つ間に一読。題名の通りアドルフはヒトラーの名でありレーガンヒトラーに詰ったもの。“Our murderer is dead. The man who murdered more gay people than anyone in the entire history of the world, is dead. More people than Hitler even.”といふ書き出し。レーガンが“The American People”といふ時に同性愛者だのの社会的マイノリティは含まれておらずレーガンの時代こそHIVまだ「同性愛の病気」とされ偏見から早急な対策がとられず多くの感染者が命を落としたことでKramer氏はレーガン君に対して「どうせなら大統領就任以前に死んで欲しかった」と言い切る怒り。レ君に象徴される米国の、殊に加州のあの風土こそホモフォビア的な風土。晩まで胃腸炎続き其れ口実に灣仔の李景粥品専家にて粥食す。魚片痩肉粥。当然美味なるはこの店の主人かつて上環の生記に働き後に旺角に共同経営にて景記開き数年経てこの店の開店に至る。生記よりの熟客多く旺角に移りし折は地下鉄にて旺角まで往復して粥を啜る客まであり。近くに「Q麥」川麺あり。店の前を通り過ぎるが今月末にて閉店と知り後ろ髪引かれる思ひにて辛味なければよいか、と粥食しておきながらQ麥にて四川雨線を一椀食す。麻辣抜キにて些か物足りぬが致し方なし。記念に店の注文票(画像)。ペン立てのボールペン、インキがアクリル製のペン立ての底に溜りインキがボテつくボールペンにてこの注文票に客自らが注文記入する仕組み。かつて流行った頃はこの注文票が、調理場の湯気に煙る硝子にずらりと貼られし光景彷彿。九龍に薮用あり。某ミッション系私学の教室の黒板横の壁に聖書より御言葉あり。When the wine had given out, Jesus's mother said to him“They have no wine left”(John 2:3) と、これはヨハネ福音書の「葡萄酒注ぎたれば母ヰエスに言ふ『彼らに葡萄酒なし』」で周知の如く、このあとにイエス様が水を葡萄酒に換え、信仰の心あらば……といふ筋ながら、この掲示された部分のみ読むと「酒がなくなったよ。母は息子に「ちょっと、もうあのお客さんたちに出す酒はないよ」と言った」と読めてしまい、酒屋手伝う健気な息子恐る恐る「お客さん、あいすいません、手前どもの酒はもうこれっきりってことで」とか吉野家の「お酒はお一人様三本までとなっております」想像してしまい酒に見せて水でも出そうものなら泥酔の客当然のことながら「なんだと!、馬鹿野郎、酒がねぇだと、この野郎、水で誤魔化そうって気が、テメーっ」っといった光景想像も易し。どうも信仰には至らず。
▼蹴球選手中田英壽君女優宮沢りえ嬢との接吻写真掲載されたとして雑誌社を告訴(朝日)。東京地裁(井上哲男裁判長)「中田さんが不快をおぼえたのは明らかで掲載には公益性もない」とし被告側に百十万円の支払いを命ず。貸切の飲食店での写真撮影に「プライバシー保護が高度に期待されていた」とし「異性とのキスシーンは公表されたくない気持ちが強い事柄」で「承諾なく掲載され肖像権も侵された」と認定。このテのネタある時に噂の真相誌なきことの残念。噂真あれば「中田、××疑惑払拭に法廷まで利用し女好きアピール」とか書かれるのだろうか(笑)。いずれにせよかなり出自の怪しき意図的と思われる写真提供は「公益性がない」のは確か。私益ばかり。貸切の飲食店とは写真撮影のための貸切か。「異性とのキスシーンは公表されたくない」って「裁判長!」「どうぞ発言を認めます」「同性とのキスシーンは公表されてもいい、という解釈で宜敷いのでしょうか?」の世界。芸能といふ異次元をばこの世の権現の如き司法が裁く滑稽さあり。

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