富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月廿八日(金)早晩にジムに入れば雷雨激しくジムの窓より眺む中環の超高層ビルも雨で見えず。落雷轟くこと暫し。「忽然1周」といふ他人に「これ読んでいます」と云ふのは恥ずかしきほど無教養の週刊誌を入手。芸能人のスキャンダルにもならぬどうでもいい取材ネタで勝負はアサヒ芸能の如し。今週号の特集はカンヌ映画祭でトップ記事はカンヌで「梁朝偉トニー・レオン)が妻・趁嘉玲の着替えの間に三分間だけ張曼玉マギー・チャン)と忍び会い」、その他の記事は「梁朝偉が日本人のガキに最優秀男優賞取られてムッ」だの「農民(=田舎者)映画監督・張芸謀もカバンはルイヴィトンづくし」だの「キムタク、カンヌでの赤絨毯で掟やぶり」だのとまことにどーでもいいカンヌ記事続き、極めつけは忽然1周お得意の「芸能人ホテルの部屋侵入」で芸人チェックアウト後の部屋に侵入しゴミ箱の中まで徹底撮影といふまことに下品な企画(だが最も可笑しいのが事実)。かつてアイドルとして売出した二人組Twinsのホテル客室より煙草の吸殻から酒瓶まで撮影の「スクープ」もあり。今回は中国の誇る大女優・鞏俐(コン・リー)と売出し中の章子怡の客室訪問。鞏俐のゴミの散乱しぶりお見事。イヴ=サンローランのハイヒール靴までポイ捨てでさすが大女優の貫禄か。ストッキングは中国国産。章子怡の部屋は鞏俐ほど散乱っていないものの部屋のきれいな絨毯に瓜子種の殻があちこちに散乱り中国の田舎者よろしく部屋で瓜子の種つまにながら其処らに散乱す粗行。極めつけは金城武先生で年上の「伊藤」なる男性髪形師を助手としてカンヌに同行、ホテルは同じ部屋に泊りバルコニーで一緒に寛ぐ姿など隠し撮りされた上に忽然1周が客室に侵入するとダブルベッド(笑)。「金城本人がベッドに寝て助手はソファ」などと言逃れされぬためにとベッドの左右両側の床に敷かれたタオル布まで撮影し「二人で寐ていた証拠」と証拠写真の徹底ぶりに笑ふ。芸人にプライバシーなどなきことは芸人ゆへの業か。見られてナンボの世界、恐ろしや。テレビつければニュースでイラクで日本人ジャーナリスト二人が死亡か、と。勝谷誠彦氏が日記で今朝早く被害者が橋田信介氏と甥の助手ではないかと危惧強めるがそれが当る不幸。橋田氏の『イラクの中心でバカとさけぶ』も『戦場特派員』も書評でいくつか見て読もう読もうと思いつつ今日に至る。NHKのニュース10観てこの二人の妻や母、叔母といった人たちの悲しくもきれいな笑みを浮べた「自分の好きでやってきたことですから」といった物言いに、日本にもこういう大人がいるのだと妙な感銘受ける。この家族もまた罵詈雑言に遭うのかも知れぬが負けぬのは確か。それに比べて小泉三世の「以前からイラクには入らないでくださいと勧告してたんですけどねぇ」のその「ねぇ」が耳に残る。不愉快。ジャーナリストが入って真実伝えることなければ三世の盟友ブッシュ二世の軍隊がイラクにて何をしているのか伝わらず。イラクとは小泉三世の政府が「入らないでください」と勧告する危険なところ。なにが戦後処理だの復興支援か。戦場。それゆへ戦場を専門にする写真ジャーナリストが要る。雨歇んだかと思うとまた驟雨あり。まだ性懲りもなく大江君『万延』読む。
▼先日「商業電台」の「風波裡的茶杯」の司会降板せし「香港政界の青蛙」李鵬飛君降板にあたり具体的な中央政府よりの政治的圧力なしと語っていたが一転して昨日の立法議会民政事務小委員会にて参考人として参加し具体的な政治的圧力について語る語る。親英から親中に転じ今度は民主派なのだろうか……と揶揄も易いが全人代の香港代表の身分を考えれば保守派の彼の今回の翻身は何だのかんだの言って香港が為と尽力してきた李君にとっても本来もっと理想的であると信じた中共政府のあまりの被害者妄想的な硬直ぶりに呆れたのが本音か。香港にて戦後の混乱から懸命に努力して繁栄を得た世代が最後に香港が悴れる姿に「やっぱり許せぬ」と。この李鵬飛証言を日刊ベリタに記事送稿。

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