富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月朔日(土)快晴。昨晩の深酒に朦朧と起きて新聞見れば仕事にて係りなきにしもあらぬ某社の職員大幅解雇事実上の業務停止の報あり眠気も覚め当方の関係者らにお知らせなど済ます。昼にかけて裏山のジョギングトレイル八キロほど走る。夏来たり陽光肌を灼き汗瀑の如く遉に昨晩の酒も抜けつ。午後は金鐘にて高座ニ上ル。競馬は本日冠軍一哩賽(Champion Mile)ありSize厩舎のスーパーキッド堅いと見て抑えに穴でステイヤングを入れると穴馬で水星(Figures)一着でスーパーキッド二着にステイヤング三着。こういう時に限って連複だけでワイド買っておらず。この二着の二三着でHK$100とまずまずの配当を逃す。ジムにて鍛錬。未だ見習いの指導員に「初めてか」と失礼なこと言われ否定したがやたらと善意といふお節介甚だしく而も間違ったことばかり指示され不愉快。XTCアイス店にてジェラート購い帰宅。灣仔の波止場付近は大陸よりの観光客の観光バス多く混雑。岩波の『世界』に三月号より連載されていた陳真女史に関する半生記読む。著者は京都女子大教授野田正彰氏。陳真女史は七十年代に北京放送の日本語放送のアナウンサーで流暢な日本語に聞き馴染んだ聴取者多いはず。余もその一人。九十年代には来日しNHKの中国語講座に出演していたと知る。日本の敗戦後陳真の父の陳文彬が台湾大学に招聘され台北に渡りこの陳家が住むのが台北市でも台湾大学教授官舎のあった古亭町とあり、此処が今の温州街、(牛古)嶺街……とありなるほど楊徳昌監督の『(牛古)嶺街少年殺人事件』で彼らの多くが知識人層の家の出にて主人公の少年少女らが台北でも名門校の建国中学に通う環境が此処なのだ、と納得。野田氏の文章読進むと偶然にも!陳文彬が四十七年の二二八事件のあとに建国中学に学生と市民集め民衆蜂起は国民党の圧政との戦いで外省人迫害ではないと説く記述あり。荷風散人日剰昭和十四年二月読む。
▼昨日の中国海軍のミサイル駆逐艦だの潜水艦八艘の入港、公式的には海軍創設五十五周年記念の香港市民との祝賀だが、今朝の朝日には「香港行政長官と立法会選挙で普通選挙を導入しないとした全人代常務委の決定について、香港の民主派が反発していることに圧力をかける狙いがあると見られる」と分析。当地にては蘋果日報すらこの軍艦来港を台湾の総裁選挙がらみの威力誇示かとするが、朝日ほどの極論はなし。本日より中国はメーデーの大型連休にて本日大陸より来港の観光客は十七万人に及ぶとか。

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