富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月廿六日(月)早晩に九龍の北方風味の茶餐庁に食せば店内のテレビに見入る客多し。北京の全人代常委にて香港〇七年の行政長官並びに〇八年の立法会選挙につき直接選挙否決。午前の早い時間のこの決定で午後には全人代常委副秘書長の喬暁陽氏来港し香港の各界有志集めこの解釈について座談会開催の実況中継。翌廿七日の朝日は一面トップにてこの「香港の民主主義の危機」報じ「中国政府に近い董建華長官に対する住民の批判が強まるなか直接選挙をすれば民主派に主導権を握られかねないという危機感から董長官と中国側の思惑が一致した」と伝えるが「董長官と中国側の思惑が一致」といふ分析は明らかに誤り。董建華にはこの否決で更に香港での董への不信任高まり管理不能は明白。思惑の一致などなく、真実は北京中央が九七年に企図せし安定した保守親中派による香港経営が安定せば予定通り十年後の直選迎えられたものを董建華による治港の失敗ゆへ中央は苦渋感じての民政改革の延期。この否決が中央による董建華への実質的な不信任といふこと。これについては何らかの形で書かねばなるまひ。晩に西田佐知子ベスト盤と山崎ハコのアルバム「十八番(おはこ)」にて「アカシアの雨がやむとき」聴く。切ない歌だが山崎ばかり聴いていたが改めて西田佐知子の原曲聴くと山崎がどうしようもない絶望なのに対して西田佐知子の歌の明るいとまでは言わぬが笑い声の如き力強き歌ひっぷりに驚くほど。これは何かといへば西田のこの陽気さこそ絶望通り越し気がふれての境地ゆへ。あらためて西田佐知子の凄さ感じ入る。荷風先生日剰昭和十四年一月を読む。

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