富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月廿四日(水)曇。ホテルのビュッフェ式の朝食は大の苦手。昨晩市街のCafe e Nataにて購ったパンケーキ部屋で食す。Z嬢ホテルのヨガ教室に参加。余は少し泳ぎジムで運動。Z嬢は珠海の海に向ってのゴルフ打ちっ放しに海岸に参るが海風強く本日は閉鎖。余は普段読まぬAWSJやChina Dailyなど読む。China Dailyは人民日報の英文版なわけで台湾の総裁選挙を‘Presidential' electionと‘'つきで表現して北京政府が台湾の国家元首たる総統を認めておらぬことが‘'なのだろうしPresidentとは絶対に呼ばぬわけだが結局記事のなかでは何度もPresidentialが登場し立法議会なる表現など改竄しようもなく結局は台湾の国家を体系として認知してしまふような表現が興味深し。今日のSCMP紙では満を持したようにFrank Ching氏が週一度の連載論評で台湾総統選挙に触れ、今回の選挙の正当性であるとか欺瞞には触れず(触れても憶測で終る現状では陰謀説だの問いても無駄といふこと)民進党支持が前回にも増して増えていることを北京政府は真摯に考察すべきであり台湾侵攻だの武力での威嚇など全く効果がなく具体的に台湾にとって中国が何ができるのか、中国と統一されることで台湾にどのようなメリットがあるのかを提示できぬかぎり中台統一は不可能、とChing氏。御意。79年に中国が文革後の平和戦略として初めて台湾に統一呼びかけた時は「同じ黄帝の子孫として」と一衣帯水もう一度おなじ民族としての統合を謳っており、その時に比べて現在の対台政策は台湾人の共感呼ぶものでなし、と。昼に澳門のカジノ王Stanley Ho君経営のホテルリスボアに参り(カジノに行かぬので来る機会も少ないホテルだがかの有名なるホテル地階歩けば商店街に昼から徘徊する娼婦多し。何故かホテル地階のモール街に果物屋も多し)フランス料理のRobuchon a Galeraに食す。澳門屈指の西洋料理屋にて格は極上。値段も香港並み。トリュフ使った料理で最近香港の食通の間でも有名になり今日は澳門の食といへばこの人・鐘偉民氏の姿もあり。フォアグラとアボガドの前菜、主菜はトリュフと生ハム。秀逸。昼はそれが288パタカであるからお得。ワインもこの店はワインリストが六十頁にも及ぶ数千本の貯蔵で有名だが値段も澳門では考えられぬ強気の設定。Chateau Guard Laroseのグラス売りで170パタカ。香港でGadi'sでもHK$120くらいだろうか。給仕の仕事の真面目さも客がいろいろな意味で「その筋」の方多く失礼が赦されぬからかと案じつつ女給の一人が終始チューイン愚ガム噛む愚行あり愕然としたが通るたびに睨んでいたら祈り通じたかガム噛み止める。香水もきつく本人のデリカシーのなさは当然だが周囲の同僚がよくも何も言わぬものと呆れるが彼女がStanley Ho氏の遠戚の縁戚関係者であったりして周囲も何も言えずとか、とZ嬢と揶揄。食事終って再びホテルに戻り午後は部屋で寛ぎ微睡みつつ大西巨人神聖喜劇』読む。中国の六名の愛国人士が尖閣列島に上陸し沖縄県警に逮捕されるとニュースで知る。NHKワールドのニュースも前置きなしで「わが国の領土である尖閣列島に本日……」とは。かりに五島列島に中国人が無理矢理上陸した場合に「わが国の領土である五島列島に本日……」とは言わぬわけで「わが国の領土」と言わねばならぬところに「この位置ぢゃ中国や台湾が領土権主張しても仕方ねーよなぁ」といふ無理があり。日本領土としての不法入国での逮捕に小泉三世は「法令に……従って対処…すること……が…法治国家として…………当然、ですからね」といつもの役者の下手台詞でコメントしていたが、中国側も日本側の逮捕行為について火に油注ぐような対応見せず「釣魚台の領土権問題については日本政府と外交交渉を続ける」としつつ「中国は領有権を公式に主張しておりそこへの上陸をしようとする中国国民について行くなといふ法的規制はできぬ」って確かにそうだろうが国内でどれだけ人権侵害しているかを思えば「よく言うよな」の感あり。国家主義のとくに領土問題は犬も喰わず。絶対に両者満足する(尖閣列島の場合は台湾もいれて三者か)結果などないのであるから寧ろここを日中台で海洋自然公園にでもして三つの地域からの子どもら受入れるキャンプ施設でもつくって友好親善にでも活用すべき。晩に再び市街に出て内港の沙梨頭(二十九号埠頭傍)にある「六記」(写真)にて名物の米通魚球、蜆炒め、竹升印麺の雲呑麺と格別なる及第粥食す。麦酒は海珠麦酒。及第粥の美味さは文字に表すも難き微妙な旨味。六記より街路に出たところで澳門版汚宅拝見!といった雰囲気醸す古物商?発見(写真)。捨ててある物など拾い売り捌く筈が売り捌けぬ儘に収集は続き店舗兼自宅?に積り積ったのか店前まで品物?溢れ店舗内に入るには天井近くに微かに開いた空間があるだけでそこに上がる梯子あり。この店?営むと思われる思われる老夫婦は路上で生活とかなり本格的。十月初五街を漫ろ歩き黄枝記(写真)も通るが流石に復た粥食すわけにもいかず。小粋な店の並ぶ草堆街を抜けてCentro=旧市街中心。杏香園にて杏仁湯丸とアイスクリーム入り紅豆沙食し車拾ってホテルに戻る。『神聖喜劇』読む。昨晩は澳門競馬あり今晩はドッグレース開催ながら亦も結局マカオで賭け事せず。