富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月廿三日(火)曇。台湾の選挙後遺症など気になり近所の新聞屋に数日分の新聞三紙の前払いし溜めるやふ依頼。数日分の旅支度するも電脳、携帯、iPodなどケーブルだのACアダプターの類の多さ。荷造りついでに要らなくなったモデムカードだのかつてのdocomoの携帯のアダプターなど処分。名前忘却のP社のモデムカードなど当時まだethernetなど普及しておらぬ時代にethernet兼用のモデムで二千数百ドルした代物も今では利用価値もなし。昼前の水中翼船でマカオ。いつも澳門に昼につくとそのまま埠頭前のイタリア料理屋に参るのが常ながらホテルのシャトルバスで一路コロアネ島のWestin Resortに向い投宿。荷物預け車でコロアネ島の路環の集落に向いRestaurante Espaco Lisboa=里斯本地帯餐庁(写真)にて遅めの昼食。狭いながらも快適なる樓上のバルコニーで葡萄酒Quinta Aveleda抜栓し西洋蜆のバター炒め、蛸のサラダ、スープはカルドベルデ、海老の蕃茄ソース蒸しに温野菜、チョコレートボーロに珈琲。珠海の暖かい風を浴びつつのんびりと二時間。バスで黒砂海岸。誰もおらぬ海岸を散歩してホテルに戻り部屋に入る。宿泊客少なく今回は一泊はZ嬢のマイレージの中途半端に余ったポイントの利用ながらアップグレードされ建物角部屋の黒砂湾より珠海の海一望するスーペリアの部屋供される。余もZ嬢もホテルの部屋に入るとまず荷物を徹底的に片付ける主義にて三十分ほど無言のまま部屋の整理整頓。ホテルの飾った按摩朝食有料ビデオの案内などの札なども一切片付けてしまうのが大切。今回初めてiPod携帯したが余の数百枚のCDがこうして旅にありホテルの部屋の音響で聴けるとは感慨無量。部屋にbroadbandの設備あるのは嬉しいが接続せば24時間HK$150の有料と知り驚愕。ゆへにモデム接続。早晩にホテルのシャトルバスで市街に出で新馬路の金庸図書館なる場所訪れるが観光客相手の土産物屋に客寄せのため取って付けたような六坪ほどの空間に金庸先生の書籍並び直筆原稿とゲラが展示されるのみ。金庸先生の略歴すらなし。金庸先生ともなれば直筆の字にもさすが味わいあり、と感じた程度。正真正銘の煙草屋で(今どきかふいふ喫煙具からタバコ草まで売る専門店も稀になり)パイプ煙草のMc Lintockの野苺薫るアロマ物購えば50g包が僅か20パタカ。酒煙草の廉価は澳門こそこの世の天国と感じ入るばかり。旧市街抜けて(写真)Clube Militar de Macau=澳門陸軍倶楽部のバーで地麦酒飲み一憩。名前こそ陸軍と勇ましいがかつての澳門駐留ポルトガル陸軍の将校用倶楽部の名残り。この倶楽部、食堂は一般に開放され随分前に一度昼食に訪れたがバーと地下のパブは倶楽部会員専用にて今日が初めての利用。客も少なくバーは広く落ち着いた空間で心地よし。新馬路の旧市庁舎=民政総署画廊が夜の七時半だといふのにまだ開いており上海書画院の作品展「翰墨神韻」開催中。参観。午後三時までの昼食でさすがに腹も減らず、ただこのままホテルに戻っては夜中に空腹感じる予感あり、さてどうしようとふと北京水餃思い出し数年ぶりに「北京水餃」訪れる。この店の名前が北京水餃といふ。これじゃ東京蕎麦とか大阪うどんの如し。だが店の主人は「全港澳唯一北京人開的水餃」と名告て憚らぬほどの自信あり実際に香港澳門で最も秀逸なる餃子供す店が此処。場所は新馬路の大豐銀行の向いの路地・新填巷五號。お世辞にもきれいとはいへぬ雑多な店だが餃子の美味さは格別至極。狗不理飽といふ饅頭(犬肉?……笑)が主人のお薦め。まだ若い主人は北京は海淀区前辛荘の生れと生っ粋の北京人で店には「餃子と京劇は北京名物、国粋」「京腔京味多句地道(Jingkong Jingmei Goudidao)北京の味は地元に限る」と誇るほどの北京餃子への入れ込みあり。韮肉猪肉水餃とこの犬不理に麦酒大瓶一本と豆乳で29パタカ。450円程度。車を雇いホテルに戻り室内プールには人影もなくジャグジー興しサウナ、蒸風呂の施設も一人占めで快適至極。部屋に戻りバルコニーから暗闇の黒砂海岸から珠海の海見渡せば幾艘かの漁船が浮かび密輸船の摘発か海上遠くに中国のヘリコプター舞ふ。iPodコルトレーンピンクフロイドなど聴いて雲一面の夜空見上げる。
▼終末はデモ参加に多忙な武蔵野のD君より。土曜は気温摂氏2.7度とかで降雪のなか立川から横田まで5時間くらい歩いた、と。周囲の目は「よくやるよな」程度なのだろうか。ちなみに立川で「たかだか」郵便ポストにビラ入れて逮捕された人の保釈金が一人二百万円とか。一ヶ月拘留されたことぢたい無法とD君。確かにこの程度のことでこの強圧的な官憲の手段は日本の民主化レベルは明らかに近いうちに韓国台湾香港に及ばず中国にも近いうちに抜かれるかも。
▼ホテルでAsian Wall Street Journal台湾総統選挙の分析読めば先週金曜の銃撃で非常事態警備に当たり翌日の選挙で投票できなかった軍警察関係の数は十九万人とか。国防省は一万三千人のみ投票日の土曜日警戒にあたり投票できず二万五千人には二時間の猶予与えられそれぞれの投票所での投票促されたといふが任地より二時間で投票に往復できる兵隊だの警察官がどれだけいたものか。ただし政府側は四年前の総統選挙でも(当時は李登輝先生引退での選挙で亜扁当選にあたり国民党支持者の間で李登輝先生に対する国民党主席辞任要求のデモあり)同じ程度の数の国軍兵士警備についた、と説明。今回の選挙では無効投票が約34万票(2.5%)と前回の1%に比べ倍以上あり、しかもこの無効数が当落差の11倍にもあたることが疑問視されているわけだが、不正があったといふ点については、今回の選挙での投票形式が前回に比べかなり有効票の審査が厳しくなったこと、また両党の馬鹿げた選挙戦に呆れ民進党・国民党の両党いずれも支持できぬといふ市民がかなり無効票投じた事実もこの記事で紹介あり。確かに今回の選挙では数ヶ月前に中央研究院院長李遠哲ら学界財界芸術界の重鎮三名が両党に対して買収や罵倒合戦の余りに貧困な闘いぶりに苦言呈し民衆の間にもこの両党の姿勢に倦厭感あったのは事実。