富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月初三日(水)晴。晩にZ嬢と尖沙咀のインド料理屋Gayloadにて刺身……の筈もなく当然インド料理。中環のアショカと並ぶインド料理の老舗。ドライマティーニ注文せばもうけして驚かぬが余の風邪で鈍感な味覚にもベルモットのみの味。女給にドライマティーニであると告げるが、だからバーテンはマティーニ注いだ、と。インド料理屋とはいへ酒場の担当がメニューにもジン&ベルモットとまで懇切丁寧に書かれているドライマティーニを知らぬのは問題。だがそもそもの問題はベルモットの瓶にマティーニと書かれておりベルモットマティーニと洽く誤解されていること。かなりあっさりとしたインド料理。多少物足りなくも菜食者にはふんだんの品数。文化中心にて倫敦交響楽団の演奏会。指揮は若手のDaniel HardingでシベリウスのThe Oceanidesで始まりバイオリンに若干二十歳の庄司紗矢香嬢聘きシベリウスのバイオリン協奏曲ニ短調。庄司嬢の技量は格別、いい音色でも「ここぞ」といふところで体躯的な限界ぎりぎりの音量。終わって満場の拍手のなか若い頃の美空ひばり的な雰囲気で大物ぶり……だが当然のことながら此処は香港であって最も目立っていたのは舞台最前列中央にご臨席の香港在住バイオリニスト西崎崇子様で深紅のドレスで起立しての庄司嬢への拍手に舞台上の庄司嬢より西崎夫人が目立っていたのは当然の事実。続いてショスタコヴィッチの交響曲5番。倫敦交響楽団なのだからそんな煽らなくてもショスタコ似合った音となるのにHarding君楽団をば煽りすぎ。楽団側がもっと落ち着いて、と抑えているような感あり。終わって誰よりも興奮のHarding君。歴史民俗学資料叢書の一冊及び山崎俊夫集遺稿1を少し読む。