富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月初八日(木)昨日購入のiPodの売上げ世界にて二百万台に達したとか。40GBという容量、約1万曲の貯蔵可能にてCDなら約一千枚、少なくとも余のCDなど全て貯蔵してもまだかなりの余裕。ふと昨夏購入の中国の若手歌手「張敬軒」君のCD聴く。広州で活躍の、十代の頃には市内のホテルのステージで歌い、まだ二十歳そこそこだがR&B系のポップスをば中国、香港にてはかなり珍しく自ら作詞作曲、編曲から歌唱、楽器まで熟す実力派。久保田利伸的でもあり。香港にて今ひとつ人気沸き立たず残念なところ。中環に晩集ふ市民は昨日の董建華施政方針演説うけて董建華への不支持表明、立法会議事堂周辺にて抗議のキャンドルサービス行ふ。民意尊重など口先だけ、結局全て北京中央にご意見伺いの姿勢で開き直りの董建華、あそこまでの忠犬ぶりで自らよくも恥ずかしさもないのは立派。今日になり一昨日の新聞など読めば畏友William登β達智君が経済紙「信報」の毎火曜日連載「智百厭」に綴ったアニタ・ムイ追悼の「假如似水流年有天意(もし水流るる如く年月流れ天意もあらば)」あり。普段なら登β君には「さすが巧い」と読む者唸らせる筆致ながら弔文ゆへ賞めるは失礼、だがさすが登β君らしい、他の者にはとても書けぬ、アニタ姐の大きな人柄をば形容するに値する言葉の世界が其処にあり。
▼政府統計によれば昨年一年に香港と中国の境界線越えて往来した者の数、実に一億二千八百万人。つまり日本の人口とほぼ同じ。かつて「竹のカーテン」の向こうと云われた中国に香港から羅湖の木橋を渡っていた時代も遠い過去。一億越えれば香港政府が通行税検討する算盤勘定も理解できなくもなし。
▼埼玉県北足立郡にて投資会社経営の十九歳の青年国内では販売不許可の合成薬物「2CT-2」インターネットで販売したとして薬事法違反(無許可販売)の疑いで逮捕される(朝日)。2CT-2なる薬物、たかだか性的高揚感が得られ幻覚や幻聴ある程度のお遊びクスリにて服用はまだ合法だが販売となると薬事法で処罰対象。青年は単にネット上にてこのクスリの存在知り米国の業者より個人輸入仕入れネット上にて国内で販売、約五千人の客相手にこの青年の2CT-2売り上げ1億円を超え純益でも五、六千万円。青年は高校を1年で中退、大学入学資格検定にも合格し大学受験の準備だがこの薬品販売好調ゆへ昨年八月に有限会社設立し同薬の売上げの一部を先物取引等へ投資。なんと自立心旺盛なる機智的な若者。暴力団覚醒剤商売ぢゃあるまいし、渋谷などで浮遊している若者らに比べれば向学心もあり若いのに先物投資まで積極的とは非の打ち所なし。これほどの才ある若者のこの程度のおクスリの販売で、しかも直接米国から購入できぬ国内の好事家に便宜図った程度のこと、1億円といふと暴利のようだが五千人の客なら1万円のクスリをば倍額で国内で流した程度、その若い才能をば摘み取るとは警察も野暮、と思ふがZ嬢曰く、まぁ未成年で、成人でもこれ初犯ならまず執行猶予であろうし、これ程の機智ある青年であれば薬事法に牴触することなど当然理解した上でのことでは?と。御意。このくらい人生の投資行為か。
長野県知事による県名の「信州」への変更検討発言に対して総務省事務次官が「県の名称というのは長野県知事に承認権があるのではない」と述べ(「承認権がない」のはお役所行政上正しいが)「全国の他の自治体だって長野県という呼称によって情報を管理し、手続きなども進めている。知事の思いつきで『地方分権だ』『これはやるべきだ』という話になるものではない」と批判(朝日)。小学生でもわかることだがこの総務事務次官の発言によれば総務省推進する平成の市町村大合併とて難しく、こういった地域名称の変更などを従来の住民票の帳簿管理でなく電算化して容易にするためにこそ総務省推進する住基ネットがあるはず。結局のところ総務事務次官の意図するところは市町村合併など「総務省主導の」地域活性化は問題ないが康夫チャンによる「信州」が総務省的なる地方行政から一歩出たところでの真の住民自治を狙ふところ、それが総務省としては困るといふ、単なる役人の狭い了見。そもそも「長野」なる県名、信濃国にあって善光寺領の字名程度の地域であった「長野」という地に明治になって県庁舎建設され地名を採って「長野」と名付けた程度。これほど広い饒かなる地域性ある自治体でありながら松本、諏訪、伊奈などの人にとっては何ら関わりもなき「長野」なる名は改名検討される意義あり。だが「信濃」とせず「信州」ゆえ政府にしれみれば「州」制度に利権的反発あって当然だが。