富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月廿二日(月)冬至。数ヶ月前に購入し取付けぬままであった文庫本用の書棚、内装専門とするK師傳聘き取付け請ふ。師傳いつもながら時間に正確、道具箱は道具釘金具の類整然と並び一瞥しただけで仕事出来ること確か、実際に仕事の手際好く彼此九年前だかミッドレベルはPeel街金莉大厦に住いし折、バルコニーだの裡の納戸の水漏れだのひどく家主T女史の按配にて遣わされしがK師傳、それ依頼引っ越す毎にやれ水回りの工事だ寝室の普請だのと師傳に依頼すること屡々。お互い知った仲にて遠慮もなく師傳も余が何かと道具から脚立まで用意し手伝うことに恐縮もせず。今回は件の書棚取付け玄関の扉の不具合調整し客用のトイレのタンクの水位調整を依頼。昼前に全て片付けこれを機会に曝書、文庫本整理。修甲。靴磨きすれば靴墨まで固まり寒さ厳しき。昼にジム。実に三ヶ月ぶりに筋力トレ。二三十分で僅か数ヶ月前の重量に二の腕、肱が笑い脂汗泌むほど。明日の筋肉痛思いやられる。上海風呂に参り擦背、按摩に修脚済ませ日がな午後、誰もおらぬ大風呂に一人つかるも愉快。冬至なら湯に柚でも浮いていれば格別ながらそこまで期待してはいけぬ。帰宅してモツ煮で麦酒。南瓜煮、赤鯛の塩焼、韮のチヂミに蕪の味噌汁。酒は菊正宗。冬至の晩に隣家にて親族にて宴あり五月蠅いのも節句にては我慢かと思ったがどうも罵り合いだか口喧嘩始まり精神に異常来しているのであろう老妻が卓子仆したかしたらしくグァチャーンと硝子割れる音して老妻発狂したが如く大騒ぎ。男連中飲み直しか外出し隣家は静まりゴミ捨てに出てみれば隣家にて卓ひっくり返し台無しとなった食事は冬至らしく盆菜にて半ば食べてもおらず。盆菜は広東の田舎料理の所謂「おせち」にて肉だの魚だのまったりとした醤油味で煮込んだ盆盛り合わせ。マイルス&コルトレーンの“On Green Dolphin Street”実に四半世紀ぶりだろうか?で聴く。Patti Smith聴きつつ柚子湯につかり暖とる。アルンダティ・ロイ『帝国を壊すために』岩波新書読む。日本語訳が拙く訳者のロイ女史による素晴らしい「散文」を日本語で表現したかったのはわかるがたんに語りかけ口調と論説調、それに「です・ます」と何気ない随筆の如き物言いが混在し読みづらきこと甚だし。一貫した記述になっておらず。男性の訳者が敢えてロイの「女言葉」意識したことも間違い。岩波書店にしてみれば帯も新書版の半分以上の幅にまでして坂本龍一の推薦文まで付けたは今年一番のヒット狙おうとの意欲作だったのかも知れぬし実際に養老先生の「バカ本」など読むよりロイ女史のこの記述のほうがよっぽどタメになるはずがこの訳では。岩波書店の編集者納得して、これか……理解できず。
▼SCMP紙に中国でチベット自治」区の東北に位置する青海省よりRay Cheung記者によるこの地域での異常気象の報道あり。青海省といへばウイグルに続く砂漠とチベットに連なる山岳地方の印象強いが実は青海湖を有するほど水もけして豊かとはいへぬが河川多く山々の巨きな堰が湖水となった処も多し。曾ては年に十五から廿日ほど雨天だったものがここ数年は年に三四回降水があればマシなほう。Madoiと謂われる地域だけで過去十年に四千ほどの大小の湖水が消滅し160萬ヘクタールの緑地の七割が砂漠化した、と。現地のチベット族の若い夫婦は砂漠化する土地で家畜の放牧=生計に大いな打撃。工業化された地域に住む我々=自然破壊、異常気象の元凶が実は何ら異常気象の影響を受けず、じつは最もエコに則して生きる辺疆の地の人々がその最も深刻な影響受ける不平等。
公明党代表の神崎君、廿日に実質的「日帰り」で陸上自衛隊派遣予定地イラク南東部のサマワ訪問の後クウェートに戻り「サマワ市内は比較的安全」で「復興支援の様々なニーズがある」と述べ現地の治安安定を認め防衛庁は「陸自先遣隊派遣の環境は整った」と判断(朝日)。公明党は自民と組むことで与党内にあることで自民党の専政をば抑制するはずが自民党期待以上に自民のため献身的貢献。イラクの「現場」をば日帰りでちょっと眺め安全宣言とは立派なもの。安全なら長期滞在し公明党サマワ支部でも組織すれば宜し。