富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2003-12-06

十二月六日(土)快晴。摂氏廿五度の無風にて猛暑。大気汚染甚。雑用済せ競馬予想済ませ昼過ぎZ嬢と油麻地のBroadway Cinemathequeに向ふが時間多少あり香港に十数年住まい初めて油麻地の翡翠市場訪れる(写真)。中国からの旅行者多少あり。広州の翡翠市場のほうが圧倒的に人も翡翠の量も多し。映画は香港同志電影展の『互角登場』監督は崔子恩(2001年)。オムニバスのビデオ作品で映画に比べても撮影、現像、編集お手軽すぎ。おまけに音声のみ別録りして被せてしまひうるさく塵紙丸めて耳栓。母親が性転換して父親演じ臨終を迎える話、ゲイに求愛された男が冗談で「性転換したら結婚してやる」と言ったおかげで性転換したその子に求婚される話、カソリック信仰する青年の信仰と救済など。脚本の発想そこそこ面白いが北京の芸術系の学生の卒業制作の習作の域を出ず。九龍にて高座あり。晩に帰宅して湯豆腐。昨晩ビデオみて見たQueer Eye for the Straight Guy見る。馬主C氏のDashing Champion、また第二班に降格し再び一勝あげHappy Valley Championとなるべく挑むが年に二度のハッピーバレーの昼競馬ながら訪れられず。夜に冴える馬であること今日も証明し負試合。余の予想も全く合わず水曜日の儲けすべてご破算。
▼多摩のD君よりボクチャン防衛長官の5日夜のテレビ東京の報道番組での発言、D君もはや「絶句」と届く。ボクチャン、イラク自衛隊を派遣する際の条件となっている「非戦闘地域」について「自衛隊の行く所、活動する所が非戦闘地域だ」と(呆)。イラク復興支援特別法上の「非戦闘地域」という考え方が治安の実態よりも観念的な概念であることを事実上認めた、と共同通信電。さらに「自衛隊の活動が憲法の枠内で行う、ということが、非戦闘地域という意味だ。安全な所などとは1度も言ったことがない」と強調のうえ、イラクの治安の悪化に関しては「100%安全な地域など地球上にない。東京でも女子中学生が突然襲われた」と反論。これが日本の防衛長官の知的水準。余は寧ろ優秀なる防衛長官より愚鈍であることで「マトモなこと云って国民がなるほどと納得してしまうよかいいのでは?」とD君に告げたがD君は「このレベルの説明で納得してしまっている」国民少なからず、こんな国は他になし、と。独裁者もう不要で自発的に服従する国民。ある意味で究極の社会、とD君。こんなモデルは作りたくても作れるものに非ず。イラクも日本ほどの統率社会であれば占領もさも上手くいったものを。同じような危険さについて週刊読書人(12月12日号)で森巣博氏と上野俊哉氏が文部省の「副読本であるから強制ではない」と言いつつ全国の学校に配った道徳本『心のノート』取り上げ、異人をば排除して一つの社会に向かう日本社会の危険性を、例えば北朝鮮救う会の署名運動にて普段は署名などせぬ人まで署名に加わり森巣氏がその理由問えば「だって仕方ないでしょう」と、その感覚に怖ろしさ感じる。今回のイラクでの外交官の殺害とて昭和大帝のご逝去の際のご記帳「ブーム」に近きものあり。森巣氏はそういった社会の全体主義の流れに対して自らは非国民の総意に基づく国民不統合の象徴とらなむべく不良中年でありたい、と。御意。