富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月廿九日(土)晴。昼前にハッピーバレーの日本人学校にて学校開放日だかの古書バザーあり本漁りに訪れる。かなりの人出に対して本多からず人混みかき分け本が残る一角見つけ近づいてみれば余が数ヶ月前の蔵書整理にて放出しバザーにと提供した本の数々。実に寂しいかぎり。ドグラマグラだの南方熊楠随筆集だのブレイザーの金枝編、荷風ふらんす物語だのの文庫、芦原義信や陣内、川本といった東京都市論の新書など一向に見向きもされず。気軽に読めるミステリー、赤川次郎群ようこなど人気は当然か。売値は文庫、新書が一冊HK$2、新刊書でもHK$5とお安く廿冊ほど購入。古本バザー会場の出口あたりに「ご自由にお持ちください」なる本の一角あり余のM、モース著『社会学と人類学』上下二冊(新刊なら約五千円)がやはり専門書だからか無料の汚れた絵本だのと一緒に放置されておりあまりの悲しさに再び余の手に戻す。午後九龍。晩にT君夫妻、Z嬢と待ち合せ記者倶楽部。一月に記者倶楽部にて開催予定の会合の宴会場下見してダインにて夕餉。エール飲みウヰスキーソーダでサーロインステーキサンド、とアップルパイ。このところ毎晩、山崎俊夫一二編ずつ読む。昨晩は伽羅小袖、志羅川夜舟。今晩は麝香猫。山崎の文章の上手さはまさに大正の口語体の、一葉とでも言うべきか。