富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月廿七日(木)晴。香港大学にて日本の近代文学研究されるC先生にお目通りいたしたく郷土歴史家でC先生と懇意のK氏に紹介していただきK氏とともにC先生の研究室訪れる。在港日本人の社会史につき教示いただきたい件のお願い。C先生の研究室の書棚一覧すれば垂涎の書籍並び数日籠りたし。明治は本当に面白い、と先生。御意。鴎外、露伴など香港大図書館にずらりと全集並び明治文学の蒐集の充実もC先生ゆえ。あらためて明治の文学につきお話いたいところ。K氏と香港大博物館の香港早期娼妓場所の展覧。K氏、展示される写真資料一瞥するなり「これは全部 P.H.Cさんの蒐集ですね」とご明解。さすが。この蒐集のC氏は当然K氏懇意の人。丁度博物館のL館長いらっしゃりK氏紹介するとK館長もK氏の高名存じられており今後何かと協力を、と。研究者の専業につかず地道に香港歴史探求するK氏の姿勢に感銘するばかり。香港大図書館に寄るK氏と別れ記者倶楽部にて一憩。尖沙咀。M君に車で送られM君給油のため尖沙咀のKCR地下延長工事凄まじきなかMiddle Rdの給油所に向かえば地下駅工事で給油所閉鎖、結局旺角まで給油に行く不便。
▼仙台弁につき仙台出身の畏友より仙台弁サイト見せられる。彼曰く仙台弁の中核概念!たる「いずい」が載っておらず、と。確かに。「いずい」は他の言葉で代弁しにくき感覚にて(浅野知事の個人サイトにも記載あるがこのサイト靖国以上に公人私人の区別際どし)まことに下品なたとえ乍ら仙台ネイティヴの某君がチンチンの場所直しながら「いずい」と表現したこと挙げると畏友も「いずい」の用法例としてはまず最適格で「まさにその感覚」と。わかっていただけるだろうか。
朝日新聞イラクでの伊軍駐屯施設へのイラク側の攻撃が「自爆テロ」でなく「攻撃」とした件につき、あれはやはり「すごい暗闘」も「経営幹部の珍しい英断」もなく記者か当番デスクの小さな勇気と感性で朝日だけが自爆テロという誤った見出しをつかずにすんだ見識。続報でも「攻撃」用いており外報部内では共通認識かも。
▼数日前の蘋果日報の随筆で陶傑氏述べるは香港にていま最も尊ばれるべき品格とは映画見終わった際に周囲の金髪仔や似非中産階級が銀幕に劇終 The End と出るなりすかさず席を立つ中、場内清掃の従業員の「早く席を立て」といふ執念の睨みも無視してじっと席に停まり役者や制作者名、撮影協力場所などのタイトル終わるまで見続けること、と。但し、と陶傑氏、これは洋画に限ることで、と。なぜかといえば港産作品となれば撮影協力場所に並ぶのは二十年このかた金殿サウナ、新同楽海鮮酒家、富都夜総会、旺角石本蘭街街坊委員会(香港の歌舞伎町振興組合)に警務署公共関係科ばかり……つまり香港映画はヤクザがサウナで組のモンと打合せして料理屋で対立する組の若衆に射たれナイトクラブに対抗する組の幹部を襲い夜の繁華街で撃ち合いとなり警察が登場、と、そればかりという陶傑氏らしい揶揄。