富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月廿一日(金)天気予報寒波襲来告げ気温下がる曇天と宣ふが晴れ廿五度に汗ばむほど。Tripod.comへの不通先方より米国東部時間廿日ぢゅうに問題解決と報せあり今朝繋いでみれば復旧あり。どうも日本からの接続に難あったらしく余のサーバーも日系某社は日本経由の為か不通だった模様。余一人の事にあらずtripodの顧客服務頁には報告あるが Some users who are attempting to access or edit tripod sites have recieved error 404 messages, page not found messages, gateway timed out messages, and other messages instead of the sites they are trying to reach と吐かし何が some users だろうか。この数日間の不通にて余のサイトが開かぬのは日頃の余の言いたい放題に政府当局からの圧力か?といふご冗談も知人より頂いたが余の如き小物相手にされる筈もなく日本にて対政府与党への放言など憲法に保障された言論の自由の内、我が国でタブーといへば畏くも宮中、ふと思い出したは『噂の真相』一行情報に永六輔氏「こともあろうにNHKの」番組で畏れ多くも皇太子殿下を「浩宮と呼びつけ」にしたとかしないとか、言論の自由あっての泰平、余も数日ぶりにこうして上網するにつけ放言できる有難さ身をもって痛感するばかりなり。ところでこの不通にて余も余なりにいろいろ立回っておればふとドメインネーム登録サイトに辿り着き当然 www.fookpaktsuen.com は余による登録、ふと詳細をば見れば余の住所だの電話など閲覧可にて「すわ大変」、この心境仙台弁では「ガオる」といふが登録時の余の注意不足に起因、まさにガオり慌てて変更済ます。久々に自宅にて晩餐。神戸漁協の須磨産の味付け海苔、小田原の山葵漬、おこわなど。NHKのNews-10見ればバクダッドの外国プレスなど集まるホテルでロケット弾による爆発ありヘルメット、PRESSと書いた防弾チョッキ着た特派員氏ホテルの前に立ち「爆発のあとアメリカ軍がすぐに治安部隊を出し治安維持にあたり上空にはアメリカ軍の飛行機が警戒にあたっています」とまるで米軍は正義の味方。米軍がいるからこのような惨事続くのだが。その中継を受けてスタジオではバクダッドの市街地模型を眺めながら「今回爆破があったのは……」と相変わらず爆撃地点の検証などといふ意味なき報道、だが相手は驢馬の牽く荷馬車(笑)、『インディ・ジョーンズ』の映画の如し、それを爆撃地点の検証することの滑稽さがNHKには理解できぬらしき。今井環君は今回も「やはりまだフセイン支持をするグループがおり、今回の犯行に挑んだわけですね」と。違うって。もはやフセイン支持の奈何ではなく単に対米民族闘争と化しているといふこと。かふして米国がいくらテロ征伐挑まふとも事態は深刻になるばかり。
▼昨日土耳古イスタンブールHSBC爆破され曾ての香港上海豐匯銀行も地銀より世界銀行目指し名前より香港上海なる土着色消すが為にHSBCと頭文字だけの名義変更、これ功を奏し世界第二位の規模とは驚くばかり、香港にてはついHSBC爆破と聞き地元行の土耳古支店狙われた如き錯覚、香港警察も香港のHSBC総行など警備強化、だが土耳古にてHSBCも三千名だかの従業員有す大規模行にて地元業務が基盤、HSBCは今や香港の銀行に非ぬこと改めて実感するばかり。
▼ところでその土耳古での英国といふ我らが自由主義勢力を狙った残虐極まりなき爆弾テロ行為(ブッシュ語的表現)の報道見ようとcnn.com見ればトップ記事はマイケル・ジャクソン容疑者とは。築地のH君に言わせれば「チンパンジー相手にしていればよかったものを」と。確かに。マ容疑者の兄Jermaine Jackson氏は今回の逮捕について“Michael is innocent”と弟を弁護。45の男に innocent もなかろうが、今や innocent なる言葉は現代の代名詞。米国の先代大統領も華盛頓の白宮にて葉巻でお戯れとは本来なら赦されるべきなかろう珍事ながらクリントン氏のどこかinnocentなる面に温情集まり放免。当代の米国大統領、日本の首相のinnocentさも今さら言うに及ばず。マ容疑者の声明は“Lies run sprints, but the truth runs marahons. The truth will win this marathon in court”と力強いが、この決め台詞、検察とて同じ文句のはず。マ容疑者の半生振り返れば越後獅子が如き小芸人ぶり、そして全盛の華々しさ、で性趣の醜聞に凋落とマ容疑者、実に芸能のおどろおどろしき半生。中上健次先生ご存命であればこの物語どう読んだか、と想像するばかり。それにつけてもマ容疑者の被告人写真(写真)なんといふ形相。紐育時報は“The picture showed a hollow-cheeked Mr. Jackson with his head turned slightly to the right, his eyebrows sharply arched and his eyes wide open and staring directly into the camera. His lips are thin and bright red and his nose bears a distinctive chiseled look that Mr. Jackson acknowledges was achieved surgically.”と徹底的に描写。ここまで凋落せし形相、歌舞伎なら夜鷹の役もつこうか。かりに実刑となって出所せば五十路、再び奈落の底から舞台にたち照明浴びてこそ芸人、脱疽で手足切断しても舞台にたったといふ三代目沢村田之助見るほどの畏れもあるやも知れず。それにしてもこのマ容疑者の嫌疑、日本でも某芸能プロダクションの社長であるとか、Sirの称号英国女王より頂く高名なるSF作家の先生も同趣。後者は某国の官憲捜査に乗り出すもSirの称号汚すこと怖れし英国政府が外交ルートにて手を回したといふ噂もあり。マ容疑者の罪は放免されぬにしてもなぜマ容疑者「は」検挙されたのか?は月本氏的に十分に考えるべき問題。
▼本日の産経、連載コラムで曽野綾子先生「イラクとの開戦前後から、私は産経新聞の論調と自分の心に時々隙間を感じることがあった」なる重大告白あり、と産経愛読のH君より。「アメリカの。それもブッシュ政権の見通しの悪さと愚かさの結果と言ってもいいイラク侵攻に日本が一筋に追従していいと思えたことはなかった」と正論。だがそれに続く言説は、いまのイラクで戦う相手は無法のゲリラなので国際法は通用せぬという展開を見せ「アメリカも日本のオピニオンリーダーたちも、戦う相手が正規軍ではなくゲリラだということを忘れているように見えた」「ゲリラがジュネーブ条約を守るなどということは初めからありえないのだ。ゲリラはその日その時の気分次第で、捕虜を好き勝手に扱うだけである」と……これも考えようによっては曾野先生らしいといへば先生らしい極論か(笑)。これを多摩のD君に尋ねるとD君指摘するは曽野先生の国際法理解おそらく第二次大戦前くらいでとまっているのではないか、と。戦後は民族解放闘争に一定の正当性があると考えられるようになりゲリラにも捕虜資格が「ある程度だが」与えられるようになっている、とD君(こちら参照)。実際にも例えば南ベトナム解放民族戦線などが米軍捕虜を気分次第で取り扱ったかといえばそうでもなく寧ろ現在米国がグアンタナモでやっているようなアルカイダタリバンの取扱いこそ「その日その時の気分次第」の絶好例ではなかろうかとD君。反米主張するにしては重要な論点を見逃しのキライあり。