富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月初四日(火)昼に香港で実況中継ありのメルボルンカップは巴里の凱旋門賞の屈辱果すことDettori君に期待するが×。日本の衆議院選挙と香港の区議会選挙の日程勘違いして衆議院選挙今週日曜日といふことに気づき反・小泉自民党の意を込めた貴重なる一票投ずるためにEMSにてHK$99もかけて送付、そこまで費用かけた分せめてもの楽しみはtrackingくらい(香港側、日本側でちなみにEMSの郵件編号はEE430145716HK)。黄昏より尖沙咀に遊ぶ。尖沙咀に向かう地下鉄にて馬主C氏知古の某氏と遭い今晩の競馬予想。馬主C氏のDashing Champion昨晩の倍率13倍がすでに8.8倍とのこと、今季二冠一李で斤量上がり対策として騎手を見習の梁明偉君として5磅減としたのが吉とでるかどうか、が焦点。二更近くに銅羅湾に戻り珍しくCitysuperの食堂街、この時間ならまだマシかと元八ラーメン。Citysuperで食品部門を仕掛るK氏に数年ぶり(Citysuperの創業者I氏の告別式以来か)に邂逅、最近の商売ぶりについてなどラーメン食しつつお聞きする。Happy Valleyの競馬場。Dashing Championの倍率一時6.4倍まで下がる。このレースはSouth China Morning Post紙の記念すべき創刊百周年記念レース。C氏にレース展開の予想尋ねられ軌道狭きC道で最外の12枠となれば出走良きDashing Championなら飛び出して先頭に立つことも可能だが強豪馬少なからず1650mで逃げ切るには難あり、レース引っ張る先行馬が一頭いてそれに着いていけば斤量117磅で勝算かなりあり、と(当然そんなことC氏にせよ伍調教師にせよわかった上だが)期待。会員席より公衆席に出てCarlsberg麦酒一杯立ち飲みしていると返し馬でのDashing Championは素晴らしい快走見せるが梁君ちょっと距離長く走らせすぎと思え凝るばかりだがゲート近くに戻ってくればDashing Championこれから走るのが楽しみと見えてならず。梁君も騎乗初めてのDashing Championを撫でつついい感じ。レースは予想通りの展開みせ最後Dashing Champion競り勝って頭差で一着。倍率は8.5倍まで落ちており馬券的にも有難い限り。口取りに参加させていただく。SCMPの創刊百周年記念盃の授賞式でC氏ご夫妻ご満悦。賞金HK$100萬かけたHappy Valley Million Challengeは5位にいた同じく伍調教師のGrand Fighterが今晩17倍のところ一着に入り12点獲得しDashing Champion抜いて一位に踊り出、Dashing Championがこの勝利で再び抜き返すといふ俄然猛烈な争い。この日、SCMP紙の創刊百周年記念でとても立派な競馬特集紙が無料配布される。
朝日新聞国際衛星版国際面トップ記事に(なぜ?笑)「香港の路面電車工夫重ね健在」といふ記事あり(香港=三木特派員)。記事冒頭に「香港の路面電車は香港電車公司が経営する私鉄だが、香港人が「電車(ディンツェー)」と呼べばこの路面電車を指す」という一文あり、朝日の文章力復た疑惑わざるを得ず。この文章が拙いのは「香港の路面電車は」を主語としてそれが「私鉄だが」に掛かり、そこで香港の路面電車=私鉄、という前提で、「だが」香港で「電車」といえば「この路面電車を指す」と続くから、悪意をもって読めば(笑)「私鉄だと電車と親しまれていけないのか?」「公営ならいいのか」ふーん実に朝日らしい(笑)とか、そこまで揶揄はせぬが(してるか……)、ようするに言いたいことは「ふつう電車といえば普通名詞で香港にも電車は他にいくつかある。しかし香港人が「電車」といえば、決まってこの、香港島を走る二階建ての路面電車を指す。それくらいこの路面電車は庶民に親しまれている」ということ。記者よりも外報部のデスクとかが何をしているのか、と気になる。あの書出しでは公共交通機関の民営化の問題とかか、と察せられるようなもの。この冒頭の難文すらクリアすれば後は普通に読める記事なのだが、実は問題あり。解説の囲み記事で「香港では九龍広東鉄道軽鉄部も元朗〜屯門(略)に路面電車を走らせている」と紹介し、これを読んで、「あ、香港には他にも「電車」があるのだな」と合点するのだが、これが誤解。この九広鉄道(KCR)の経営する軽鉄は文字通りなら軽便鉄道で鉄道だが確かに道路のなかを走る部分があり路面電車といふ言い方も可能、しかも電気式であるから電車、ゆえに朝日の記事ではこれを電車という範疇として「香港島を走る路面電車の他にもある香港の電車」として扱っている。だが、問題は香港ではこの軽鉄を「電車」とは呼ばない事実。軽鉄は軽鉄なのである。しかも更に重要なことは鉄道を走る列車は電気で走ろうがディーゼルだろうが中国語では「火車」。この軽鉄も軽便であれ鉄道ゆえに電車ではなく火車になるはず。更に同じKCRの主要路線である九龍〜深センの東鉄も電車が走っているが火車と呼び誰もあれを電車とは呼ばず。つまり香港で「電車」といえば軽鉄があろうがなかろうが鉄道を走るのが電気式だろうがなかろうが、電車といえばこの香港島のトラムしかない、ということ。記者のいいたいことは単純なことでわかるのだが、簡単なことをヘンに絮い表現にした結果がこれ。
▼築地のH君発見の興味深き衆院選挙候補。神奈川9区の小林武治候補(61歳)。「憲法改正する必要はない。平和憲法、民主憲法として世界に誇れる内容を有している」「イラクへの自衛隊派遣は日本が独自に決める問題ではない。国連軍に自衛隊が加わり、イラク派遣隊として出征する場合は行かねばならない」「真の人間教育、規律、倫理の厳格さを教える教育内容にはほど遠い。規律の重要性を訴え、教育基本法を守るべし」と大変真っ当な主張。何が興味深いかといへばなんとこの小林氏、元産経新聞経済部記者。産経勤務の経験をもとに国の経済政策を批判、立て直しを主張する、というのがウリだそうだが、つまり産経新聞の主張とは真向から対立する護憲平和主義で産経での経験は反面教師か(笑)。サイード追悼といいリーチ監督への授賞といい産経新聞、じつは中道リベラル左派なのだろうか。小林氏の「規律の重要性を訴え、教育基本法を守るべし」という主張は、アタリマエのようにみえてある意味斬新、とH君。最近に日本といえば「国の最高法規を守れないような連中が規律重視を訴えている」矛盾多き現実、「都合悪いルールは守らなくてもイイ、という規範意識の破壊を身をもって体現してる」のが日本政府。この小林候補はそういった時代に必要なはず。