富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月十日(金)昨晩はというか今朝4時くらいまでホテルの比律賓「カフェ」でのご乱痴気騒ぎは続いていただろうか。ジャパゆきさんならぬドバゆきさんのフィリピン娘も少なからず。Al Jazeeraなどテレビで流れているのだがアラビア語などAlが定冠詞であることくらいしか理解しておらず残念。雙十節。英語紙Khaleej Timesは本晩在ドバイの台湾商業部の主催により“92nd Anniversary of the founding of Taiwan”の晩餐会あり、と。中華民国建国92周年であり台湾は独立しておらず(笑)。ホテルにて朝食済ませ朦朧としたままホテルの屋上のプール。摂氏39度、余りの炎天にさすがの余も眩暈するほどに少し泳ぎジムにてかなり久々にウェイト、少しだけ走る。数キロ先に立ち並ぶ超高層ビルもゆらゆらと陽炎の如し。金曜ゆえ祈りの日にて市街は閑か。午後にはぼちぼち商業地区は復活するそうで部屋にて午睡。午後、ホテル向かいのBur Juman Centreという商業モールへ。入口付近にいきなりSushiといふ文字見つけた気がして「まさか」と思ったがアラビア人経営の回転寿司(写真)。確かに回教に生の魚を食うなといふ戒律もなし。かなり高級なモールらしくVuittonだのFerragamoだのの直営店多くアラビア人のかぶり布など扱う店にはジバンシー特製の美しいかぶり布まであり(写真)。モールのフードコートにてインド料理で蝦のマサラ食す。フランスで中華は香港のほうが美味いのは当然としても期待のベトナム料理もイマイチにてそういった意味では世界のどこで食べても水準が維持されているのはインド料理が確かかも。それにしても商業モールのフードコートで食しスタバの珈琲飲むといふのは世界のどこでも典型的な「当たり前」の風景。快適、便利なようでこの単純化globalismそのものかも。倫敦が基点の都市情報誌Time Outのドバイ版スタバで見つけ(Dhs10)一読するに、この表面上は戒律にて健全な都市はとりあえずライブハウス=音楽とスポーツ活動(水上スポーツから三種鉄人まで)で蟠かまりを発散させませふ(とまるで「どうしても異性のことが気になったり、自慰がしたくてたまりません」という質問の答えのようだが)といふ感じ、ちなみにインターネットも所謂エロサイトには一切つながらず。ホテルに戻り夕方より香港=水上レストラン、東京=吉原松葉屋でのお大尽遊びの如きドバイ観光といえば、の夜の砂漠観光。朝食の折、ホテルの観光デスクで尋ねればお一人Dhs175と(Dhs220を暑い閑散期で割引というがこれもホテル価格で高いのだろうが)まぁ二人で六時間で食事から込みこみで一万円以下ならいいか、と参加を決めてのこと。トヨタの八人乗りの大型ランドクルーザー、一組行方不明でカナダ人の若い男女と私らの四名のみ。国道44号線を時速130kmで東のオマーンにむけて50kmほど快走し一面の砂漠(写真)。ふと安部公房の、といっても「砂の女」ではない、この砂漠は鳥取じゃないから「砂の女」も物語で重要な役割の近隣の村落すら存在せず、17歳の頃に読んだ、安部公房の確か『砂漠の思想』といふ思想書を思い出す。此処に同じ旅行代理店のクルーザー十数台集まり砂漠へと入り砂漠の丘陵をクルージングする一興といふ嗜好。クルーザーは砂漠に入る時にタイヤの空気圧をかなり下げたのだが、そういうものなのか。クルーザーで砂漠を走り駱駝と羊の放牧場?に遊び行楽者が砂スキーだかの余興に遊ぶ頃、それに興味もなく、Z嬢と小高い丘に登り丁度、砂漠に落ちる夕陽を眺める(写真)。今宵は満月。小一時間砂漠を走りこの旅行代理店が設けた「キャンプ」あり、そこで「地元の踊り」見せられた後、地元料理と。観光客相手の民族舞踊、だいたい踊り子に参加求められ……で、それが怖くキャンプを出て駱駝と遊び満月の月を愛でる(写真の駱駝の背後は画像でブレてしまったが、かなりの光量の月)。食後、運転手兼案内役の氏に水パイプ勧められ折角昨日からまた禁煙しているのに(笑)生まれて初めて水パイプ試すとこれがいい芳香にて煙草のニコチンの血管圧迫や不快感もなく、芳香は運転手氏曰く林檎木だそうで、これが最も(恐らく慣れない者には)好まれる、と。何かのついでの紙巻き煙草と違い、きちんと時間を割いて腰を下ろし一服しませふ、とこの時間がよいではないか。旧来の水パイプも素人用にはまずニコチンフィルターついて、その上にプラスチックの個人用の吸い口まで用意あり。砂漠の中を真っ直ぐに走る高速道路、空には満月、ラジオからはホテルカリフォルニア流れドバイの砂漠もどこか南加州の気分。市街に戻ると夜の十時近くだといふのに昼間とは違いどの店も開いて市街に人通りというものあり。確かに炎天下の摂氏40度に比べ夜ともなると気温も28度くらいには下り風も心地よし。金曜でも夜になると営業する店多く町歩きする時間といふわけ。もう一度Bur Juman Centreに参ればLouis Vuitton以外の店は全部営業中。ホテルに戻りすでに退宿しているのだがジムの更衣室でシャワーして砂漠の砂埃落とし着換え。エミレーツ航空手配の車待つが現れずホテルの職員エミレーツに電話すると予約はない、と言われ巴里でも一度今朝も再び確認しておりそんな筈はなく、十分待って再び余が電話すると旅行代理店が車手配取り消した、と。余は代理店がどれかも知らず一切の連絡もしておらず明らかに間違いであり直ぐに車まわすよう依頼するが須臾に電話あり代理店と確認とったが云々と。こんなことでは飛行機に乗れず、とタクシーで空港に参るがその費用は貴社に請求可能かと質せば領収書持参せよ、と。当地にてはタクシーも豊田カムリの上級種にてリムジンなみの、少なくとも巴里でのプジョーの中型車よか快適、しかも初乗料金はLhs3.50(100円)で空港までわずかLhs14と、快適さと値段では世界一であろう。ちなみに当地ではBMWのZ5がわずか450万円で一切の課税なし。羨ましい限り。空港に到着しcheck-inカウンタにて車の事情を話し電話にてそのタクシー代を請求するよういわれた、と伝えると数人集まりしばらく協議の上で「このミスはArabian Adventureなる旅行代理店によるものでエミレーツ航空に責任がなく日本で代理店に連絡して……」と。先ほどの電話での指示に従ったのだが、余は日本ぢゃなくて香港に居住するのだがだいたいこの客が何処に居住しそこにこの代理店の支店の有無もそういったこともいい加減なままただその場逃れの対応ぢゃないのか、「この程度の金額なのだから請求しなくてもいいだろうということなのか?」と質すと対応に当った職員、思わず“Yes, it's small amount”と宣ってしまい「まずいこと言った」といふ表情(笑)。ほら、金額のことぢゃなくて、そういうホスピタリティのない対応が問題なのです、だいたい東京だか香港に戻ってわずかこの500円のために時間を使うのももったいない、いちばんの得策はエミレーツ航空のミスではなくても金額が小さく、しかもその代理店が日航にとってのジャルパックみたいな子会社なのだから、エミレーツが立て替えてあとから代理店と精算すればいいだけの話、と諭すが硬直しきった官僚主義的大企業そういう機転がきかず。その小役人的職員の前でタクシーの領収書破り棄てる。“Thank you”と職員。呆れるばかり。