富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2003-09-30

九月卅日(火)快晴。昨晩遅くホテルのビジネスセンターにてモデム確認してみると電話はホテル外にはつながらぬがフロントにはモデムでかかるわけで結局、部屋の電話が恐らく目覚しだの伝言機能がある所為で繋がらぬ、と判断。どうしようもなし。午前セイヌ川沿歩きオルセイ美術館に向えば入場に長蛇の列、Carte Museesの5日券あり先入り出来幸い地味な中階の特にオルタ、ギマール、ガレといった家具、内装の粋にただただため息。セーヌ川渡り火曜で休館のLouvre美術館の前を通り抜けPyramidのジュンク書店。30坪ほどの書店ながら文庫中心に書籍の揃えは見事。春陽堂の乱歩、小学館中上健次などきちんと揃え、香港はといへば小林よしのりだの「つくる会」系の日本史見直しだの日本人優秀論ばかり平積みすることしか能なきそごうの旭屋が一番店とは悲しいかぎり。同じ日本人でもパリのほうがずっと感性豊か、といふことか。実際に街で見かける日本人のセンスのよさは香港とは比べようもなし。茶場ネットにて日記上網、メール受信。月本氏より網の通信関係で何か東京で調達必要なものあれば持参していただけると有難い気遣い。バスでMontmartre墓地に向かいMaistre街歩きMontmartreまで参りZ嬢付近の布屋の場所確認してAnversのブラッセリにて遅めの昼食(写真)。Montmartreの丘に登り教会見学しSatieの家の前通りダリの作品館。Montmartreの丘の石段に坐り巴里市街眺め言葉もなくただ夏のような日射しにぼんやりと佇めばほとんど東京物語笠智衆東山千栄子(写真)。丘から東側にMuller街を下りChateau Rouge站に出でアフリカ系市民多きPoissonniers街にてZ嬢アフリカ産の布生地屋眺める。Poissonniersより地下鉄でSt-Lazareの鉄道駅。Printemps百貨店、品揃えはダイエーの如し。黄色のネクタイ購ふ。隣のGaleries & Lafayette百貨店の店先の階段に長沙の百貨店店頭かと錯覚させるが如く中国からの旅行者の親父ら座り込むなか店内に入れば店の格もHarrods、高島屋三越に匹敵するLafayetteながら百貨店発祥の地といわれる巴里にあってもやはり百貨店商業文化の限界見た思い。St-Lazzare駅のほうに戻り羅馬通りにてZ嬢ピアノの楽譜屋。メトロの站Europeといふ名前も面白きところこの付近の街路の名も羅馬に始まり倫敦街、維納街、マドリッド街、ストックホルム街、エジムバラ街、ナポリ街、聖ペテルスブルグ街、モスクワ街、コペンハーゲン街にダブリン広場と欧州の都市の名ばかり。かなり奇妙ながら恐らくはこのSt-Lazare站より欧州各地への列車が出ていたからか、と推測。メトロにてホテルに戻ろうとせば乗換えのSebastopol站にて電車動かず。復旧の見通しなく帰宅ラッシュの乗客も降車し始めBeauboug通りよりバスに乗換えSt-Michel。一旦ホテルに戻ればホテル前のセーヌ川沿いの道に突然警官現れパトカーが何台も車両規制始め何事かと思えばシラク大統領が専用車にて疾走。ホテル近くのGrand Augustius街は蛙ばかりの蒐集が店を飾りここ数日かなり気になっていた料理屋Roger La Grenouille (tel 01 56 24 24 34) 、裏道の小料理屋と思えば1930年からの老舗。店内は蛙のほか主人のかなり極度の蒐集癖で集めた小物だのネクタイなど飾られ壁のポスターには客の落書きだらけ、横浜の岩田穣氏といふ千社札もあり。エスカルゴ、鵝のテニーヌ、主菜に牛肉のtartareを頼むと主人に「その牛肉は生肉だがいいか?」と念押され、思わずMr. Beanの映画にて巴里の高級料理屋訪れたMr. Beanが仏蘭西語解せぬのに格好つけて頼んだ料理が何の味付けもなきtartare、つまりただの生ミンチ肉、それに閉口しつつ見栄で残せず麺包くり抜いたり皿の裏だの砂糖壺にtaratare蔽し食べた振りする作品思い出し、実際にtartareに閉口する山窩の客少なからずか、とZ嬢と笑い止らず。だが実際にはこの店のこのTartare Boeufつまりユッケ・フランセ(笑)秀逸の極み、この野蛮の極み余がこれまで食せし仏蘭西料理にても今後忘れ難き一品、これを清酒にて肴にしても格別のはず。店は満席の繁盛は大したもの、だが主人と内儀二人で客配らい切り盛りし何かと待たされるのもご愛敬ながら締め切った店、空調もなく、烟草の煙と人いきれで室温も上がり汗泌むほど、酸欠状態にてじっと待たされるは地元の者は何くわぬ顔で歓談ながら香港人なら冷房もなく気分悪く食事も楽しめぬはず。今日漸くTime Out誌の巴里版見つけて英語にていろいろ観光情報仕入れ、BBCもテレビの他普段聞き慣れたラジオ放送の周波数もTime Outにて漸く判り安堵。