富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月廿八日(日)朝ようやく初訪の巴里の市街案内など目を通し地図頭に叩き入れオルセー美術館。街は日曜の午前中など閑かななものながら美術館の中は観光客の群。余は印象派より何よりもJean Baptiste Carpeauxの彫刻、彫刻、彫刻。これだけカルボの作品を一度の機会に拝めるとは。eroticismと美が分離させられる以前の時代に生きれたカルボ。間違って中階とばし上階へと進みドガ、モネ、ルノワールなど見ても余はあまり関心なくカルボなど彫刻でかなり消耗していた集中力ゴッホで完全に消失。遠くから見るべき作品観衆多く至近距離にてあの筆致を見ていて気持ち悪くなってきたのが事実。多くの観衆、絵画をば写真だのビデオに収めることに熱心、見るものと言えば写真に添えられし画家の名と画題や作品案内の冊子ばかり。冊子に書かれた作品案内を読みそれと絵を照らす。愛媛にて美術に携る友人が語っていた作品と対峙してみることの大切さ。対峙して「憑かれ」てこそ本望昼すぎとなりSt-German des Presまで散歩してSartreで有名なCafe de Floreにて軽く昼食。チーズとハムはさんだsandwich、カフェオレ、麦酒が何故これほど美味なるか。香港の茶餐庁と丸きし同じメニューなのだが。店内に雀一羽、客のこぼした麺包屑を啄ばむ。Z嬢が麺麭屑を地面に放れば遠くから足下に一飛してそれ啄むを柔らかな午後の陽光の下眺む。オルセーでの疲れあれどもSt-German des Presより95番のバスに乗り市街北上しMontmartreの丘陵を越え18区。Porte de Montmartreより東にPorte de Clignancourtまで蚤の市 Marche aux Puces素見。亜刺比亜人の営む中古の電脳屋にモデムカード見つけるが肝心のモデム挿入する部分なし。Z嬢日本人女性の業む装飾品屋にてブローチ購ふ。夕方になりmetroにてChatelet経由でPont-Marie。St-Louis島のにてBerthillongelato頬張る。シテ島に渡りNorte Dame寺院参拝。日曜の弥撤の最中、余を含む観光客が教会に押入り、それだけでも五月蠅きところ禁止されているはずの閃光パチパチと写真撮影。旧約聖書の聖人たちも見世物の如くビデオカメラに収められ隠れ場所もなし。聖人背景に記念撮影に熱心なアジアの異教徒たち。弥撤で奏でられる風琴しばし拝聴。日曜日でも観光客にて賑わうSt-Michelを歩みホテルに戻る。午後六時すぎても陽はまだ明るくSt-Michelを再び歩きSt-Louis島の某鮨屋(といっても一軒しか在らぬが)。魚なは北海産か香港に比べ廉価。舎利いま一つ。粘りけもなく口に運ぶまでに崩れ食べ辛し。巻物も切り面のどちらを上に器に盛るか、など基本のきのはず。味噌汁出され、香港にても味噌汁出す寿司屋多いが東で味噌汁など出す寿司屋など野暮も野暮、これは西なのか余は知らず、いずれにせよ脂のった鮭の味噌汁、鮭汁は白味噌が好み、寿司のあとに脂ういた甜い赤味噌でなど食せもせずZ嬢ともども申し訳ないがいただけず。夜も更け静まりかえった島で一軒のみ店あけるAmorinoなるgelato屋にて栗のgelato購いセーヌ川畔を漫ろ歩きつつ頬張り遠くに醜悪なるほど電飾うるさきエッフェル塔眺めつつホテルへと戻る。