富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月初二日(火)台風の名は杜鵑。「杜鵑の啼序春将に闌けむ」で漢名が杜鵑のホトトギス。不如帰、子規、時鳥、霍公鳥、杜宇、蜀魂とじつに多くの字を当て沓手鳥は逍遙のご存知「沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)」は明治に五代目歌右衛門淀君。朝は台風警報1号乍ら時速30kmで杜鵑は香港に進路を定めたかのように接近、昼前には3号となり二時間以内に8号警報と予告。問題は当初先週火曜日の予定であった東区裁判所への出頭(七月末に自然公園内を自転車にて走行の咎)藪用あり出頭できず延期願い指定されたのが今日の午後2時半。午前11時20分に「二時間以内に8号警報」と予告され裁判所に尋ねれば開廷予定時間(午後2時半)までに8号警報になれば開廷延期、と。午後1時半まで待っても8号警報にならず仕方なく裁判所に着いて8号警報で徒足になる可能性高いが取敢えず裁判所に向かうが既に警報発令前に渋滞始まり二進も三進もいかず。止むなく車を降りバスに乗換え「もうどうにでもなれ」と『神聖喜劇』の頁めくるとZ嬢より漸く携帯に繋がったと電話あり8号警報発令と。今晩はY氏と食事の約ありたるところY氏より電話にて仕事切り上げホテルに退散と連絡あり。バスを天后にて降りて尖沙咀。九龍ホテルにてY氏と再会、まず一飲といふことになりペニンスラホテル、The Bar訪れるが営業しておらず。ホテルの飲食場所が台風で閉めるか?と思ったがまだ午後3時前。酒場開くには時間早すぎ。九龍ホテルに戻りバーラウンジにてJack Daniel's一飲し暫し歓談。雨風も次第に強まり何もできず。台風の日がな午後、風呂屋に憩ふ。日暮れに帰宅途中。太古城にて日本人の多い駅ながらいつもにも増して背広姿の邦人会社員多く時計を見れば午後6時半、つまり現地社員だのは午後2時すぎにさっさと帰り日本人駐在員のみ他の市場は開いているだの本社が営業時間中なので、と一応目安で午後6時までは会社に駐まり午後6時と同時に家路に急いだ、といふことか。それにしても台風の暴風雨といふのにオフィス出て自宅まで傘すらもたず帰宅できるこの快適なる香港の環境。金鐘にてはなかったタクシーも此処では拾え近距離客も厭わぬ運転手に少しばかりの祝儀はずむ。帰宅して蕃茄のパスタ。赤葡萄酒一杯のみ。一更に杜鵑は香港に70kmまで接近し9号警報発令。9号の発令はかなり珍しく五六年ぶりのはず。雨風強まり拙宅も一つの窓にて漏水あり。よくよく見れば窓の止金の不具合、取敢えず雨の通る隙間をシリコンで埋め窓が強風で開きでもせば一大事と窓から紐を引き変圧器を重しに窓開かぬよう応急措置。窓の外みれば老朽化したマンションゆえ数軒にて雨漏りあり。最悪なる隣棟の家にては窓を開けてでもいたのか強風にて窓枠が歪み窓閉らぬようで室内に雨風入り込み大騒ぎ。台風の目に入ったのか二更にはだいぶ安静なる天候。杜鵑はかなりの速度で香港を横断の様子、明日は警報解除されただの雨模様か。台風の所為でもなかろうが富柏村のサイトになかなかつながらず。『神聖喜劇』の第一巻漸く読了。