富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月廿九日(金)快晴。試しに健康診断など受ければ尿酸値高く痛風の惧れあり要再検査と。二年前に人渠?といふのだろうか人間の船渠(ドック)ならば、に入った折には医者「健康ですよ、運動もよくされて肥満など問題なし」と宣ふとニンマリとし「いやー、それにしても香港でさぞかし美味しいものをお食べになっておりますな、肝脂肪だけは実にきれいに付いている、普通はもっとぶよっとつくのですがね、運動されて肝脂肪もきれいに付いたかな」と笑はれもしたが、今回は尿酸値8を示し流石に痛風は恐れ入り築地の大石国手の許を訪れ……は荷風、銅鑼灣の某医務所訪れ再検査の採血。結果が悪ければ三ヶ月薬服し麦酒、赤葡萄酒は飲まずプリン体多き食品は控えるよう忠告される。つまり蟹味噌、鮟肝、牛レバーに唐墨といった珍味は絶対に×、食品の参考例に列ぶ食材を見れば「旦那、今日はいい××が入ってますぜ」ばかり(笑)。赤葡萄酒は百歩譲っても(といっても仏蘭西へ行くってのに……)麦酒は飲めず、麦酒が飲めぬことは一万歩譲ってもこの食材から離れることは死んだも当然、いやはや。ただただ審査結果良好を願ふばかり。夕方に久々にジムでの鍛錬も今ひとつ力入らず。帰宅して浅蜊のパスタ。そういえば築地のH君とZ嬢と偶然入った築地の「鳥芳」、H君は昼餉に「鳥焼き丼」を注文。味噌汁お新香つきで金八百円、鶏正肉三串分につくね一串分、しし唐二本に炒り卵までのって味付けはあくまで関東風にこってり、やはりなかなかの一品、と。それよりも驚くべきは客の入りで、一時過ぎで勤め人の昼休みは盛りを過ぎた時間にもかかわらず卓子は全席満席、奥の畳敷の小上がりにて、と。鶏のレバー、ハツ、ミノなども食せなくなるのだろうか……。
▼『世界』Arundhati Royの「帝国の民主主義」という文章あり(邦訳は劣いが)法的に正当な手段で選ばれたのではない男が率いる世界で最強の民主主義国家が起こしたイラクの戦争では、実際に戦っているのは米国の貧しい若者たちであり、米国上下院議員のなかで自分の子供がイラクで戦っているのは実にたった1名にすぎず、志願兵の殆どが生活のために貧しい者が軍役についているのだが、この戦争で利益をあげているのはブッシュに近い企業ばかり。最悪。ちなみに昨日現在のイラクでの「戦争終結」以来の米軍の死者は82名。泥沼。
▼京都南座の顔見世、雁治郎と猿之助の昼が傾城反魂香、玉三郎道成寺、夜は雀右衛門猿之助の一条大蔵譚、仁左衛門玉三郎の郭文章だそうな。絢爛。祗園の若松の女将さんも楽しみだろう、この芝居。「芝居は」やはり日本。