富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月廿四日(木)朝目覚めれば風雨強からずも台風警報八号発令されしまま。朝寝貪れば八時十五分に八号警報解除されすわ出勤となり交通機関の混雑は想像に易し。公共機関、銀行など八号警報解除から二時間後をメドに再開が通例にてそれに応じての出勤の様いざ召集あらば鎌倉に急ぎ馳せ参じたる御家人の如き忠勤ぶり。『デイヴィッド・コパフィールド』読了。主人公が作家となり高名を得てからの記述にはさして興味もなし。銀行再開確認して旅行用にT/C準備。最近の銀行「お得意」と平客の扱いの差に凄まじきものあり隣客との間仕切あるboothにて椅子に坐らされ懇切丁寧なる対応。金鐘の運輸署免許中心にて国際免許更新。手続きに僅か10分要すのみ。郵便での申請も可。天候は八号警報解除されたが雨風寧ろ強まり連日ジムにも行く気も失せCovaにてtiramisu購いGordonのginとMartiniのvermouthも仕入れ帰宅。早速Dry Martini飲みつつ新聞読み、煮うどん。月刊『東京人』のホテル特集読む。東京にバブルの頃にも想像できぬほどの高級ホテルラッシュが2007年まで続く。そういった再開発と商業施設の賑わいといへど結局は内需ばかりにて、それも主婦層であるとか若い女性といった申し訳ないが今後の更なる経済効果が期待できぬ層に因るもの、国内の資本だけが巡回するだけでは長期的な景気回復など期待できず。冷静に世界中からどれだけの商務、観光の客が今後東京訪れるかを考えるべき。依然規制多く外国企業が入り込めず諸物価人件費高い割に言葉通じず諸作業丁寧確実通り越して時間と手間ばかり要し商いの機会は他の亜州諸国へと流れる現実。その空虚なる中心にホテルだの六本木ヒルズだの汐留ナントカだのと開発ばかり進みいったい何を外から誘致しようといふのか。『神聖喜劇』少し読む。
▼今晩28年に及ぶ公務員生活終える保安局長ゲシュタボ葉劉淑儀女史多くの市民から温情あふれた送辞だの花束に囲まれて辞任。親中派の御用連中の仕業、虚態。葉局長、たかだか地方自治体の一局長の立場ながら昨日突然の北京訪問にて北京中央の関連部署の長に辞任の挨拶とか。香港特区政府の北京事務所もこの葉局長の突然の上京攫んでおらず。福岡県公安委員会の委員長が実質的な引責退職の際に上京し国土交通省だの総務省の大臣クラスに面会の如き非尋常なる行為。単なる辞任の挨拶どころか董建華辞任後の第三期の将来に向けての布石ではなかろうか、といふ憶測あり。今回の辞任は愛娘の進学のための北米移住だそうだが(娘も葉局長の娘といふことで香港でかなり色眼鏡で見られるのも事実)2007年には娘も大学に進学しており葉にとって香港政界復帰には時期的に適合。まさか行政長官に推挙あるまひが政務司司長の人選に挙がる可能性など否定できず。葉本人の性格などかなり歪んだものあり問題あるが、それ以上に問題は親中の左派にとって首長級の指導力ある人材乏しきこと。御用政党民建聯の曾金玉成が最有力候補であったが50万人デモでの「たわけ」ぶりにてすっかり男を落とし右往左往する言論はすでに政治的には「終わった」感あり。そうなると不快に思われるもpopularityかと思えば葉女史は左派にとって重要なる人材。かりに次期行政長官が梁振英ほどの親中人士になれば幸いだろうが仮に直接選挙が実施され中道リベラルな行政長官などになったとした場合、政務司司長として葉女史あたりが起用される可能性はなきにしもあらず。南無阿彌。