富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月十六日(水)晴。恒生指数が10000を回復。昨年12月3日以来の高値。僅かながらの財テクにてファンド減りつづけたものが急な回復見せるは安堵。夕方昨日からの疲労にて早々と帰宅しようと思ったが余りの空の青さに酒場にてaleでも一飲を欲しふと思えば昨日送稿済ませた日経GalleryのM氏と打合せの要もあり電話すると時間ありとのことで太古坊のEast Endにて一飲。帰宅して鮭の炊込飯。食事の最中より瞼下がるほど睡魔に襲われしが、NHKの「ためしてガッテン」にて遺伝子組替えだの遺伝子組替食品がテーマ、具体的にどうすれば遺伝子組替えができるのか、はお得意の「サルでもわかる科学」タッチにて説明上手だが、そもそも「どうすれば」以前に「なぜ必要なのか」「どんな問題があるのか」の思考が圧倒的に欠如、遺伝子組替により糖尿病などを治す働きのある稲の栽培など取上げているが遺伝子組替えの生体的なリスクとたかだか一個人の、しかも現代の食生活だの嗜好だのを要因とすることの大きな糖尿病を治すことで、どちらが深刻なのか……などと思っていたら少し眠気も覚め、20時のニュースにて保安局長葉劉淑儀(Regina Ip)の辞任を知る。テレビ新聞でこの女史の顔見るだけで不快極まりなき日々も終わると思えば吉事。実は6月25日にすでに董建華に対して辞表出していたそうで、7月1日の50万人デモでの葉への不信任も翌週の自由党党首田北俊の行政会議よりの辞任による23條審議の延期も実は葉の辞任決意以降。余計な政局不安を招いたが結果的には葉がさっさと辞任していると政局の混乱なく葉辞任が幸いして政局ここまで不安定になっておらぬ可能性も?と思えば結果的に董建華がここまで葉の辞任受理を延ばしたことは香港にとって董建華辞任に拍車かけることになったはず。だが葉の辞任声明読むとこの人の性格だろうが「負けておらず」23條立法は香港市民が不安に思う内容に非ず後継者により立法化されることへの期待表明。いずれにせよこの強圧的な局長の言動に対して市民がかなり不快感を得たことは事実で、23條の白紙草案(White Bill)からの法制作業について「タクシー運転手だのレストランの給仕だのマクドナルド店員だの23條について何も知識もない連中とアタシが何を議論すればいい?」だの民主主義に対して「ヒトラーだって民主主義を標榜してた」といった発言だのその強権的な姿勢が23條立法への反感と相応したのが事実。つまりこの立場に立つほどの器と性格に非ず。消え去って当然。この吉報を知り睡魔に襲われ爆睡。
▼香港大世論調査センターの主任の鐘庭耀氏、三年前に董建華が香港大による行政長官の支持率調査を不快として香港大学長に調査中止の圧力をかけ副学長がその命を受けセンターに中止の提案に動いたことを鐘庭耀氏が暴露、行政長官のこの癡呆ぶりが問題になり正副学長は辞任し、鐘庭耀氏は一躍正義の人。それ以降積極的な民意調査続けるが昨日の『信報』に7月1日の50万人デモでの調査結果を発表。デモ参加の市民がどこまで本意かなどと揶揄もされたが、調査結果によると23條立法反対が非常賛成と賛成合わせ89.8%、政府の粗忽な行政ぶりに耐えられずが91.5%、政府への失望は91.9%と23條への具体的反対より政府に対する不信任が若干高し。董建華辞任を望むのが82.6%、市民の世論により辞任させるべきが83.5%なのは董建華を指示する者が政府非難者より少ない、つまり董建華に任せることへの信任のようだが、これはそれよりも董建華が辞めて誰がなったところで北京中央の指示で動く操り人形で変化期待できぬ、といふことであろう。またデモ参加者の83.1%がインターネットを毎日利用しており、購読する新聞では香港の発行部数では東方日報、蘋果日報、明報の順に多いのに対してデモ参加者では蘋果が49.5%と過半数、東方は22.4%、明報は15.7%と蘋果日報が香港にて反体制派のかなりの支持受けていることが明確。
▼中国で沿岸の無人の小島を50年間の契約で個人、企業に賃貸(実質的な分譲)を開始。中国は50平米以上の島が約6,000ありそのうち僅か6%に居住者あり。賃貸料はわずか10万元(200万円弱)から。共産主義国家にあるまじき政策、と非難もできるが、資本主義国家にては島の所有者あり、国家が土地占有する共産主義国家ゆえ、しかも土地を人民に解放した、とでも言えるだろうか。用途してはリゾート別荘、観光、動物飼育や港湾開発などが期待されるが、絶対に不法カジノ、賣春島が生まれることは間違いなし。
▼『週刊新潮』に「私は紀宮の姉よ!」と皇居に乗り込んだ「超有名女優」」といふ記事あり。記事読んでおらぬが築地のH君によると「超有名」というには若い頃の活躍に比べると萎んだ感じあるが女優のFだそうだがもし同じ女優でもKが「私は秋篠宮の母よ!」といって皇居に押しかけたら……「重の井子別れ」か、とH君。
▼1967年からの「仮面の忍者赤影」にて赤影役の坂口祐三郎氏が逝去、享年61歳。ヒーローの赤影、その若衆的な(バッドマンのロビン的な)青影と、年長でありながら道化役である白影と、その人物設定の妙。竹中半兵衛役が里見浩太朗。白影役の牧冬吉が98年にすでに物故しており(こちら)子役であった青影の金子吉延が大森一樹の『ヒポクラテスたち』に出ていたとは今日まで知らず、23歳で芸能界引退していたそうな(こちら)。