富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月六日(日)昨日に続き天晴れな空。今日はだいぶたまった新聞雑誌抱えて海浜、お天道様下読書。『デイヴィッド・コパフィールド』第三巻読了。中野好夫の描くディケンズの世界は映画でいえば成瀬巳喜男。どうでもいいような人間関係の話なのだが同じどうでもいいような人間関係を小津が撮ると抽象化の果てに意味をもたせてしまうが成瀬の場合の滑稽に映る人間の性というもの。それにしても譬え話にジャック・ケッチなる人物が出てきた時に注釈で「ジャック・ケッチは17世紀にいた実在の有名な死刑執行人。わが首切り浅右衛門に当る」って読者のほとんど誰も「わが首切り浅右衛門」を知らず。昭和42年の初版上梓された頃でも果たして首切り浅右衛門はどの程度の認知があったのかわからぬが。成瀬巳喜男で突然思い出したが林芙美子の生誕百周年だそうで1962年に映画化された『放浪記』をまだ見ておらず。高峰秀子林芙美子役は現代でいえば林真理子の自伝小説を松嶋奈々子が演じているようなものだが脇を固める役者がいいねぇ、岸田森まで出てる。夕方一旦帰宅してHung Homの葬儀館にS氏ご母堂の告別式。81歳の往生にて葬儀でありながら「吉」の字目立ち長寿のお祝いの形をとる。道教の道士による弔詞の文句が神道の葬儀での詞と同じく故人の半生語るのを興味深く聞く。終わってZ嬢、葬儀参列のU女史と尖沙咀重慶マンションのSwagotにて印度料理。晩に九龍公園の体育館にて少林寺の修行僧による少林寺拳法の武演あり参観。