富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月廿八日(土)曇。引越して一年、引越前に改修終えていたものの住んでみれば塗装の斑だの扉の木枠の隙間だの気になる箇所少なからず亦日々の暮らしで壁を汚しもすれば電線など引いた際に目立たぬようにカバーしたもののそのままになっていたりとあちこち気になる箇所あり浴室の水道のフィルターも錆が目立ち香港にて師傳などと称されちやほやされるが「それなら自分でやったほうがマシ」の如き非熟練者少なからず漸くとくにする事もなき土曜日に重い腰上げてQuarry Bayの五金屋にて水道のフィルターだの砂紙だの平板剤など調達してきて午後まで塗装など。修繕道具だの塗装や接着といった液剤などもきちんと揃っており、我ながら日当もらってもいい出来。日本にては借家でしたくても何もできずであった余も香港にきて簡単な工事だの塗装だのかなり本格的に出来るようになり嬉し悲し。かつて中環の閣麟街にて骨董時計店営んでいたS氏が小さいながらも西港城(Western Market)に店出したと報せありお祝いに訪れる。手ぶらでは、といったん西港城に着いてから周囲を探したがワインの一本花一束売る店なくマカオフェリーの波止場へとConnaught道渡れば波止場にはかなりの人で賑わいあらためて疫禍過ぎ去ったことを認識。それにしても土曜日とはいへ人出は平常より多くSARSにて出控えていた人湧出たかのか、と思ったが来週火曜日は特区成立記念日で月曜日に休みとれば4連休か。ふと思ったのは成立記念日に23条立法反対の大規模デモあり政府がその日の映画鑑賞券を1万枚配るという愚挙に出たくらいであれば親北京の企業など月曜日代休を積極的に推進、従業員に積極的に旅行にでも行かせてデモ不参加とかもあり得るはず。ワイン屋も見つからず百年ぶりに上環の永安百貨店。歳末大売出しでもこれほどの客入らず恐らく年に二度の恒例得意客限定セール並みの人出。いったい何が起きたのだろうか。それでも街の賑やかさに眺めてどこか安堵。赤葡萄酒一瓶購い西港城。S氏に祝い。ついでに(といっても実はそれが目的でもあるが)精工舎の「鉄道時計」と呼ばれる懐中時計の玻璃表面がかなり細かい傷ありそれを磨研して頂きたくもあり。お祝い述べ葡萄酒渡すとS氏早速時計の表面を丁寧に磨研してくださり感謝。この時計、時計ぢたいは丈夫であるし電池も10年保つという逸品で15年以上前に銀座の和光で購ったものながら、オリジナルについてくる木綿の紐が意外と早く傷み香港に来てすぐ当時まだ東京にいたZ嬢にこの紐のみ購入を願ふとZ嬢和光訪れればさすがに和光だけあって和光オリジナルのこの時計用の絹製の紐あり値段は三倍ほどながら10年以上傷むどころか使うほどに絹糸が絞り丈夫と思えるほど。或る聴講。帰宅するにも日もまだ明るくQuarry Bayに向かい普段渡ることのない歩道橋に上がるとそこに床屋あり(写真)。路地を利用した露天の理髪店など珍しくもないが何故に歩道橋の上なのか、と疑問だが暑く蒸す市街にあってこの歩道橋に上がると山側(小径が山に入れば二伯公廟)から涼風あり、いつもこうなら納得。歩道橋おりたところで芝居の脚本のようにばったりと余の日経の付属誌の編集者でもある畏友M氏に遭遇。彼は土曜の夕方ふとMount Parkerの方に散歩のつもりだったそうだがここで遭っては、とEast Endにてale飲みながら競馬についての真面目な話、マカオジョッキークラブの将来性、マカオについての記事の企画など話す。帰宅して久々の晩餐。Z嬢がJuscoにてちょうど刺身になっていたカンパチの粗(あら)が僅かHK$9にて出ていたそうで、それで大根との粗煮、美味。いいちこの焼酎のお湯割り。夜遅く久々にBowmore飲みながら『神聖喜劇』読む。