富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月二十二日(日)曇。今季の競馬の千秋楽なり。午前雜用済ませジムに寄り沙田に向かうつもりが雨ひどく旺角の場外で馬券購入済ませジムにて長く鍛錬。旺角の繁華街ふらつく。雜居ビルの裏手で滝のようにビルから水が流れ出ており(写真)何事かと驚いたが、この路地でゴミ掃除などする者はいっこうに気にもせずいつものこと?なのだろうか。帰宅して競馬テレビ中継を見る。Size調教師の見事な勝ちぶりに脱帽。今日の新聞見ていたらSize調教師の夫人、調教も手伝うまでの鴛鴦夫婦だがここ数ヶ月お目にかからずSARS避けて豪州に帰省中かなどと察していたが血液系の病気でシドニーにて入院中とのこと。Size師はレース開催中ということもあるがSARSにて豪州に戻ることも、ましてや病院への見舞いは病院に謝絶されるので香港に留まり、確かに三月あたりから破竹の勢いがなかったが見事に最多調教師の栄誉。晩餐で昨日購った荏胡麻(えごま)のキムチ食す。美味。『ショムニ』の最終回のビデオ見てからゆっくり読書のつもりがここ一週間の疲労甚だしく爆睡す。
▼7月1日(香港特区成立記念日)に予定されている23条立法の反対デモ行進、主催者側は5万人の参加と気勢をあげるのに対して香港政府は当日の夜に湾仔のConvention Centreにて市民一千名を招いての回帰宴、これはデモ対策ではなく祝賀会ともいえるが昨年は実施されておらず、それよりも醜悪は当日の映画の入場券一万人分をばら撒くとはこれは明らかにデモ対策。愚策。所詮このテの親中系に動員されるのは97年のこの日も大雨のなか徹夜で未明の人民解放軍の入港に小旗振って祝賀した「一般」市民で、この盲流の如き人々は最初から23条立法反対デモに参加する者とは別。つまり映画鑑賞券配ってもデモ参加者の数減らず、せいぜい「デモなんか参加する奴の気がしれないね、こっち側にいればこうして映画がタダで見れるってのに」と親中派でいつも動員かけられる市民の慰労にしかならず。
▼最終的には焦点はやはり「ここ」だろうと思っていたがEU憲法についての草案審議にてキリスト教の扱い巡り紛糾。憲法序文の表現で「欧州の精神基盤はキリスト教」とするイタリアなどカソリック教国に対して「それではコンセンサスを得られない」としてジスカールデスタン氏が「欧州における文化、宗教及び人文科学上の遺産」と言及するに留める。政教分離という近代国家の理念、それに欧州にイスラム教徒が1500万人いる事実もあるが、何より欧州が「所詮は田舎で野蛮」であり、キリスト教どころか欧州の文明基盤がギリシア、ローマに遡るわけで、かつイスラムの科学文明なしには欧州の盛隆もあり得ず。今更キリスト教だけに執着もないだろうが。
菊五郎人間国宝に。若い、若いといわれていた音羽屋もすでに還暦。築地のH君より「第3世代」では最初、この年代では音羽屋がいちばん年上、これは座りがよく俳優協会長もすんなり継承か、と。「菊吉」もあくまで「菊」が最初。吉右衛門音羽屋と組むことで高麗屋の上に立てれば満足であろうし、成田屋はじぶんの分を知っている役者だからそれ以上の野心はないはず。問題は歌舞伎役者の人間国宝5名のうちの最高齢82歳ながら雀さんが当分君臨しそうなこと(他に鴈治郎富十郎芝翫又五郎)。音羽屋ももう還暦なら黙ってれば劇壇の覇権転がり込む筈が雀さんのが長寿壮健がどこまであるか、が気がかりか。雀さんにとって目下の人生の目標は新之助君の海老蔵襲名での助六での揚巻であろうし、まさかその海老蔵団十郎襲名の時は雀さんもすでにこの世にはなかろうが。