富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月七日(土)朝から強い驟雨幾度となく襲い雷鳴轟く。朝から机まわりの電線などあまりに醜悪にて思い切って整理。机まわりだけでソケット有す電化製品が17もあることに唖然。携帯だけで普段使う携帯、海山用の携帯と普段は使わぬが中国用のサブと3つの充電器。日経に中野香織女史が連載する「モードの方程式」にNarrow Tieについての記載あり。今秋は60年代の如く細身のタイが出回るそうで楽しみ。初めて知ったが英国のストライプのタイに魅了された米国のBrooks Brothersが米国でこのストライプのタイを生産始めたのだが米式で記事を裏返して裁断したがためにストライプの方向が逆になり英国式が左肩から右下に縞が流れるのに対して米国では右肩から左下に。ふと衣類棚のネクタイを確認すると縞のタイは10数年前に廟街で購ったHK$10のを除き全て英国式で(つまり米式でなく)安堵(笑)。もともとBrooks Brothersはスーツは好きでもタイはどうも好きになれず。雨はやや小降りになれど出街の気もおきず昼すぎZ嬢北角の徳興隆にて買ふて来た鍋貼(肉餃子)と肉饅頭それに芳ばしい豆腐花食す。夕方まで雑事済ませ銅鑼灣。Sony Styleにてイヤフォン購ふ。余は耳道の形が異なるのか通常の耳に当てるイヤフォンは上手く合わず数年前に耳に掛ける型のBang & Olufsenのイヤフォン購ったがこれもしっくりとせずSonyの耳孔にはめ込むこれなら、と判断した次第。余は歩きながら音楽など聴くを余り好まぬがこの耳栓式のイヤフォンすれば街の雑音もキチガイの如き大声の話し声も少しは抑えられるか、と期待した次第、さすがに耳栓して歩くと目立つがこれなら音楽聴いているようでさっそく装してみると騒音も多少遮断され心地よし。商務印書館にてRandam Houseのフランス語教本(CDつき)購う。今から学んで秋に間に合うかどうか。たまに繁華街の散策もいいものでふらりと古本の写楽堂訪れれば移転のため在庫一掃の半額セール中。新潮文庫で紅葉の『金色夜叉』と岩波新書の青版『新唐詩選』と『新唐詩選続篇』いずれもHK$10。『金色夜叉』は最近何でも新漢字新仮名に改訂されて原文のよさ損なわれる小説の多いなか平成3年版でまだ原本の文章を保ち、でなければ紅葉の良さなど損なわれるのは当然だが、荷風ふらんす物語』もすっかり読むのも呆れるほどズタズタにされており、この『金色夜叉』に安堵するような思い。掘出し物は大修館書店の『漢語林』改訂版と岩波『古語辞典』で、いずれも新古本で全く使われた跡もなき整本、いずれも定価HK$90のところ半額とは。『漢語林』は12の頃からずっと角川の新字源使ってきた余が他にもう一冊手許に置きたいと思っていた漢和辞典で定価2300円が700円とは嬉しい限り。岩波の古語辞典も自宅にはあるが秘密基地に一冊置きたくこの値段なら文句なし。帰宅して枝豆でビール。枝豆が美味い初夏。チゲ鍋。テレビで大雨の沙田の競馬。地場G2のShatin Vaseは今季10戦6冠1亜2季1負しかもここ4戦4勝でratingはダントツで131のGrand Delight(Size/Dye)と新鋭で昨年12月の緒戦から4戦4冠の負けなしで急上昇のSilent Witnessの一騎打ち。調教と勢いではSWだが重馬場で天候が荒れれば経験不測のSWに比べ5歳馬で悪路も積んでいるGDと信じて買えば大雨となり「これは頂き」と喜んだらハナを行くSW悪条件でもいっこうに速度落ちずGDはDyeの悪い時のパターンだがずっと折り合いあわず三着。SWの実力に脱帽。競馬まるっきり当たらず。この悪天候では掛金は小さく、どうせ荒れるのだからもっと極端な馬選びが必要なのだが出来ず。明日の安田記念は後藤君に賭けて?ローエングリンの馬券購入を妹に託そうと電話すると父が出てちょうど出走表見ていたそうで父は最近の外国人旗手の活躍を見てOliverで?イーグルカフェか、と。日本ダービーは衛星で中継あったが明日はETVスペシャル「永六輔・医の旅」だかで安田記念の中継なし。
▼もともと香港の旧家の財閥である李一族の御曹司で東亜銀行の頭取である李Baby國寶氏は銀行界選出の立法議員でもあるが議会への出席率は最悪だわ、愛人とのパリ旅行を醜聞雑誌に写真入りで書き立てられるわ、と嗤われ者でもあったが、最近は悟ったのだろうかかつての保守派が最近は歯に衣着せず董健華の執政に苦言し23条立法を急ぐ政府と保安局長Regina葉淑儀に対してその品格欠如を指摘、香港を世界的金融都市として維持発展させるには中国政府の香港自治への干渉をも歓迎せぬ言論。その李が昨今の中国銀行疑惑に言及。これは上海資本の土地開発会社に対して中国銀行が不正融資を行ったもので同銀行の香港総行長が絡んでいたのだが、中国銀行側は急遽人事異動でこの代表を内地に戻す仕業。それが通常、香港の銀行であれば1ヶ月を要す香港金融管理局による銀行管理層の交替承認が今回の中国銀行については2週間ほどで承認されており、この不公平優遇措置をとった金融管理局を非難。李じゃなくとも金融管理局がこのところ際立った通貨管理も出来ぬまま単に北京中央に対しての御用聞きの立場で米国のFederal Reserveの数倍の厚遇に甘んじられては許せるはずもなし。
カタール訪れた米国大統領同行記者団に彼の外交スタイルを問われ「私は本音で語るように努める。こちらが期待していることが何なのか、皆がわかるようにするためだ」「私はとても直截な人間だ。相手に質問をぶつけ、挑むのが好きだ。それでも相手に不快な思いをさせない自信がある」「パウエル国務長官やライス大統領補佐官に聞いてもらえればわかるが、私はじっくりと分析するタイプではない」と。素直な人柄だ。ただ頭は相当に悪い。大統領が期待していることが何なのか皆にわかってもらいたいなら本音で語るいぜんにまともな言語感覚が必要。直截なのは認めるが相手に不快な思いをさせない自信は本人にあってもブラジル大統領に「ブラジルにも黒人はいるのか?」と質すことで相手がどれだけ不快な思いをするか理解できず。じっくりと分析ができない=バカであることなど国務長官や補佐官に聞かずとも誰もが知っている。