富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月二十日(火)快晴。悲しくなるほどお天気はまつたふや。昨日日剩に綴りし『ライ麦』のボブ=ロビンソンについて早速築地H君よりボブ君の父上は大統領でせふか?とメールあり。確かに英語の拙さは現職のブッシュ君と差不多か。ちなみに『ライ麦』上梓されたる1951年大統領はトルーマンにて正規の学校教育受けておらぬ最後の大統領だそうだがトルーマンはエール大学出たといふブッシュ君ほど××ではあるまひ。トルーマンといへば原爆投下も朝鮮戦争勃発、CIA発足もト君ながら文民統制貫きマッカーサー元帥解任するなどブッシュ君ほど××でないことは確か。一見、街頭に佇む初老の男らの何気ない光景(写真)ながら、これが昨日日剩にて紹介せし湾仔MTR站上の政府合法麻薬配給所に配給待ち及び仲間との雑談に屯ろする薬中の男たち。市街のど真ん中の最も混雑するような場所にこの配給所あるのも摩訶不思議、はたまた便利この上なきと判断すべきか。黄昏にジムにて鍛錬。帰宅して湾仔碼頭餃子。NHKの「大当り勘九郎劇場」なる番組ビデオで見る。ゲストが志村けん先生で巻頭に白塗りの映像あり「これは!」と志村けんが歌舞伎、勘九郎君がバカ殿を期待したが、たんに志村けんが揚巻の花魁姿になり中村屋が白玉、それで記念撮影して勘九郎君が「あいーん」しただけでもほんの少しバラエティであったが、そのあと人畜無害な対談。ぜんぜん大当りしておらず。NHKらしい限界。
▼『世界』に連載され毎月溜飲下がる思いにて読む寺島実郎氏の連載、魯迅の使った「奴顔」なる表現を挙げて、この「虐げられることに慣れて常に強い者に媚びて生きようとする」奴隷根性丸出しの顔、日本人は鏡を見てそれが見えないか?と。大量破壊兵器の査察も実証もされぬままのイラク攻撃が不条理であることを直感していても現実主義の名の許に「日本を守ってくれるのは米国だけ」「米国支持しかこの国の選択肢なし」との思考回路の中で路線を選択。本来はこの「武力と殺戮で民主主義を与える」ことを正当とするような狂気の時代だからこそ、生気を取り戻すべき、と寺島氏。氏の持論は日本のとるべき路線は「力の論理」ではなく「武力をもって紛争の解決手段としない」平和主義による「国際法理と国際協調による秩序形成」であり、今こそその価値を国際政治の場で実体化させる重要な局面と認識すべき、と。だが現実には余が思うにこのような局面にあっても全くその平和主義の重要性など理解できぬまま「タマちゃん」への愛着だの「白装束」への危惧ばかり。小泉など米国支持の必要性説くが何処まで本当に米国が日本のことなど友人と思っているのかなど語るべき言葉も通じぬのだから全く日本側の思い込みにすぎず。かといって反米となると極端な国粋主義となり何れにせよ拯いようなし。ところで寺島氏はこの米国によるイラク民主化だのテロ撲滅を「新しいマッカーシズム」と言っているが、それはどうだろうか。マッカーシズムスターリンによる粛清だの文革と同じく少なくとも国内の仮想敵に対する攻撃と粛清であって、今回のような他国への押し売り、いやそれどころか強盗(しかも被害者強姦つき)はマッカーシズムの範疇には収まらず。少なくともこのマッカーシズムスターリン粛清、文革ならば個人が殺されるか、殺されなければ後々名誉回復はされるわけで、イラク攻撃などそういった個人レベルに非ず。
▼同じ『世界』で(『世界』など誰も読んでいないだろうからこうやって綴っているのだが)『空疎な小皇帝「石原慎太郎」という問題』の著者・斎藤貴男精神科医香山リカちゃんが「「国」と「国民」、この距離感のなさ!」なる対談。斎藤氏曰く石原支持をしている人とは勘違いしている人で、「多くの人は彼が何を言おうがあまり危険視しない。それは彼を、プロの政治家だと認(みと)めていないから」であり「石原がいくら「北朝鮮と戦争だ」なんて言ってみても、それは一タレント作家がテレビで騒いでいるように思っている」のであり「日頃のいろいろな不満のはけ口、要するに“癒し”として「すっきりしたことを言ってくれる」と喜んでしまう」と。そしてこの「本質は差別主義」の石原を同じく根底には差別主義をもつ新自由主義に属する「都政の中で石原がやっているようなことを国全体でもやりたい二世や官僚出身のエスタブリッシュメント」たちにとって石原は「非常に都合がいい露払い役になっている」。リカちゃんはそれを受けて、石原が「このままでは自分たちの国も北朝鮮に攻め込まれて、あなたのまわりにも大変なことが起きてしまう」というようなことを言うと「いま世の中の状況がよくない中で、根拠がない漠然とした不安や不満を抱いている層に、うまく働きかけている」のであり、「その一方で「有事法制をつくるのは近代国家として当然の義務」だの「それによって国際社会の中で日本の地位が上がるのだ」と考えるエリート層にも、石原がうまく働きかけている。その「両方が何となく結びつくような雰囲気」であり「石原さんが何を言っても、所詮たいしたことにはならないだろうと思っているし、抑圧されている労働者が実は増えていて明日をも知れぬことになっていても、丸ビルや六本木ヒルズがオープンすればそこへ行って「まぁ、まだ大丈夫だろう」と思ってしまう。「危機管理」とか言ってるけれども、その裏にあるのは楽観主義」とリカ先生。御意。それに斎藤氏が「危機管理なんて叫びたがるヤツが、実はいちばん危機意識がない」と。全くその通り。
▼台湾人医師の関西旅行、確かに誉められることぢゃないが日本の反響の大きさ予想できることだが騒ぎすぎ。きちんと消毒などされればこの医師の宿泊先だの飲食店だのが自主閉店などする必要もなく、感染地域からのツアー客お断り、など過剰反応。そんなことよかこの医師が天の橋立から嵐山に移動する途中に昼食とった亀岡市アルプラザ平和堂なるチェーンストアの傘下にて、大阪の宿泊が都ホテルだったわりには、はっきりいって昼食がセコイ。なぜ日本まで旅行に来てアルプラザなのか、旅行代理店がセコイ出費節約。