富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月八日(木)佛誕日。KCRの大和站に朝8時半にランニングクラブの7名集合し車でkardorie農場前。林村郊野公園に入り565mの大刀屶、尾根を歩き北大刀屶、箕勒仔から粉嶺まで約10km、ゆっくりと三時間半ほどで歩く。天気予報は雨ながら肌を炒るほどの陽射、箕勒仔の手前にて驟雨あり、また晴れて蒸れる。昼過ぎに粉嶺站に到着しタクシーで粉嶺の旧市街、聯昌街のジャズラーメン(写真)。日本人のご亭主が粉嶺でラーメン屋開業、それも札幌らーめんでジャズ流す懲りようで、それがなぜ粉嶺なのか不明なのだが幾つかの雜誌などで紹介され、いつか賞味と思い漸く訪れる機会となるが、不定期休とあり数日前より電話しても電話に応じずどうしたかと昨日漸く電話通じ今日の営業を確認。狭い店に午後1時半頃に客ひっきりなし。ジャズラーメンなる店の名の牛肉、叉焼入りの高級ラーメン食す。こってりした味でまずまず。銅鑼灣に出しても賃貸高いばかりで店の規模でいへば集客あれば粉嶺のほうが賢明かも。亭主愛想などに気をつかわず黙々とラーメン調理、店員は客配ひに慣れておらず。らーめん出る前からお勘定させられる。でもラーメン美味ければそれで良し。ただしトレイル済ませ猛暑にて喉の渇き甚だしくビール欲すがジャズラーメンにビールなし、ただしメニューにおつまみ類あり、おそらく客の退けぬ繁盛ではビールなど出していても意味ないのだろうが、ビール欲し粉嶺の旧市街彷徨い和豊街にある、その名もDeluxe Resutaurant(雅士餐庁)なる西洋料理屋にてビール飲む。祝日の午後なかなか盛況にてメニューに貼られた記事で20年来の老舖と知る。もともと駐港英軍の軍営あった粉嶺にて英軍の地元兵退役し開いたのがこのレストランで当時は英軍人も訪れ香港風の西洋料理と酒楽しんだものか、日曜の午後といふのに盛況。このレストランの向かい、市街の中央に聯和市場といふ古くからの市場あり、ここが古めかしくかなり賑っていたのだが今日訪れたら忌わしき「再開発」にて整地されフェンスで蔽われ市場の建物だけ寂しく残る(写真)。粉嶺よりKCRでHungHom、バスで夕方帰宅。
▼白装束団体という言い方が、月本さんもなぜ千乃正法といわないのかマスコミのその姿勢を指摘しているが、この白装束集団という言い方が横溝正史的に恐怖感を必要以上に煽っている。具体的な宗教団体であるよりなんて不気味なのかしら。癩病の患者が集落から追われ家財捨てて放浪の旅に出るのが松本清張の『砂の器』でも加藤嘉が白装束を着せられたことで「怖さ」が増強されるのと同じ発想(それにしてもこの映画『砂の器』、今みると本当によくぞここまでといふくらいいい役者勢揃い)。ところで今回のこの千乃正法でいちばん迷惑蒙っているのは四国のお遍路さんたちかもしれぬ。いずれにせよ、そういったマスコミの報道によりこの団体が通過する地域の対応がエスカレート。冷静に考えて、国道に検問所、この団体の関連施設に通じる村道を封鎖、要所要所で住民や消防団バリケード作るために待機続け……戦国時代であるとか七人の侍まで時代は逆行している。江戸の町人文化、堺など都市の慣性ももうここにはなし。これと同じような地域社会の閉鎖と自衛が行われているのが疫禍に脅える北京郊外の村々。いつの間にか時代は他者に寛容である美徳から、敵にむかっての団結を強調するようになってしまっている。千乃正法は左翼団体による電磁波の被害を宣うが同じような発想はレーガンにだってあったわけで、ブッシュはそれをイスラム教テロとして、基本的には発想は一緒。そういった意味で山梨の自治体から北京郊外の村、米国政府まで着実にグローバリズムが行き届いている、といふことか。結局、この発想が日本でいへば北朝鮮という敵に果敢に立ち向かうわが国という理想系にまで昇華してしまふ、それが本当の怖さ。
▼大型連休に日本から上海に旅行した小学生が突然学校より10日間の自宅待機命じられ、学校では旅行前に「サーズ、サーズ」と喧られた、と。子どもが他の子を揶揄ふのはその親も「○○君とはあまり近づかないでいなさいよ」などと子どもに「指導」しているような背景もあろうし、学校とて何ら判断などできぬから10日待機という選択。これも上述した「怖さ」への対処であり、そういった異質な者を排除した上で社会の中で仲良くする、という価値観。本人たちはそこまでわかってはいないだろうが。