富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月二十四日(木)曇。日本や海外より疫禍見舞のメール何通もいただくが某大学にて平安文学と古典芸能教鞭とるT君より「いにしへより「唐土の鳥の渡らぬ先に」と七草を囃しますごとく、このたびの悪疫流行、否応なく遠からず我朝にも渡来のことでありましょうが……」とメールにあり。この「七草なずな唐土の鳥の渡らぬ先にトントンバタリ トンバタリ……」と、これは正月の七草粥の七草を叩く時のお囃子の歌、唐土の鳥が渡るが如く疫禍も日本に災ふかどうか。東京の某大学に通うK嬢よりメールあり、メディア特講にて某新聞社より遣られた講師がSARSがあんなに驚異的ウィルスになるのは自然なことではない、むしろ人為的に開発された新ウィルスを誰かが試験的に流したと考えたほうが自然だ、と述べていたと。確かに可能性としてあるが、疫禍の言論は百花斉乱の如し。何でもありなら疫禍の上海陰謀説も可。上海が今後の経済発展のためまずは国内の宿敵である広東省に細菌ばら撒き感染者香港に遣って香港でも蔓延、つぎに首都北京も攻略して……と。香港での董建華の遅れた対応も実は董建華が上海人であるが故、と(笑)。
▼ネタとしては旧聞に属するが行政長官董建華の夫人による牛頭角の団地でのボランティア活動での勇姿。この完全武装で団地に住む老人らに「手を洗って、手を洗って」と繰り返しマスクを配った、と。それにしても見れば見るほど人間には見えぬ(笑)
▼ゴーン社長の日産自動車、経常利益が過去最高の7,090億円、99年再建始まる時に2兆1000億円あった実質利子負債が0といふ快挙。大したものだが日経でインタビューに答えるゴーン社長「企業イメージは大幅に向上したが、まだトヨタ自動車、ホンダの後塵を拝している……」と語る。語るのはいいが社長は日本語すら解せぬと思うと、この「後塵を拝して」といふ表現、当然、記者がこう訳したのだが、キョービの日本人の口からすらちょっと出てこない表現なわけで可笑し。
▼ピアノの井上直幸氏逝去。享年63歳。昭和60年代初だったかNHKの「ピアノのおけいこ」にて無味乾燥だったこの番組に井上先生颯爽と登場し服装から雰囲気、物言いから仕草までかなり個性的な先生、つまらぬ練習曲を選ばずドビッシーのような簡単でもかなり面白い曲ばかり選び、思わず教習本買って倣ってみた次第。