富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月二十三日(水)快晴。日本より母からユニチャームのマスクやイソジンが疫禍見舞いに届く。小包受取りにZ嬢郵便局へ行くとマスクの小包受取りでなく発想する日本人の女性あり、見てみれば宛先は北京と上海。北京にて疫禍広まりマスク不足で緊急物資送付か。北京といえば日本の新聞見れば「封鎖」だの「首都機能の一部停止」だのと言葉ばかり踊る。マスコミの恐ろしさ。ただし実際に怖いのはこの疫禍にて北京を離れる群衆の存在にて数十万人の帰郷にて感染広まらぬことを祈るばかり。香港国際映画祭も閉幕。30本ほどの映画看たがこのあと小津安二郎の特集もあり。閉幕に選ばれた作品は路学長監督の『Kala是條狗』にてZ嬢と看る。北京の新街口を舞台に90年代の北京での飼犬禁止令をモチーフに犬好きの夫婦が養犬許可証なきをもって犬を警察に取上げられ、その犬を奪い返すための画策。新街口の警察署には犬と同じく息子までチンピラとの喧嘩で拘束されており、家族の物語。佳作ではあるがとくに閉幕を飾るほどの作品でないのでは?といふのが正直な感想。中国作品なら『老井』こそ閉幕に相応しいはず。閉幕映画のあと更に韓国の南紀雄監督『周潤發與蝸牛女』なる映画あり看たかったが疲労甚だしくZ嬢と北角の寿司加藤。マンション近隣のO君おり閉店後も麦酒振舞われ加藤のご主人と歓談。深夜O君を拙宅に招きコルトーレイン聴きつつバランタインの21年飲み写真談義。
▼昨日の「大埔での感染」にて「日本人住民も多い」といふ朝日の記述、幸いか本紙にはなくasahi.comだけの報道のようで朝日の広報室にまで指摘するほどのことでないと思いつつも事実と異なるわけで朝日の香港支局にお電話。書かれた特派員氏だと思うがご本人も自分の送稿が編集で料理されているようで、それにしても大埔に日本人が多いというようなことを書いては誤解、必要以上の心配感を読者に与えるばかり。
村上春樹訳の『ライ麦畑』発売される。かねてから指摘してきた“Catcher in the rye”の訳として『ライ麦畑でつかまえて』では不確か、という点、今回の村上訳本では無難に『キャッチャーインザライ』と。『ライ麦畑の捕え手』が適切と白水社並びに村上春樹氏にまでメールしたが相手にされず(笑)。