富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2003-04-17

四月十七日(木)昼は快晴。こんな青空いったい何ヶ月ぶりだろうかといふほど爽やかな晴天、気温もあがり湿度さがり爽快。このような天気続き疫禍収まることを祈るばかり。疫禍にも効用もあり。まずエレベータ、ふだんなら人が乗り降り終わりもせぬうちに「閉」ボタン押され扉に挾まれること頻繁な香港、それも「閉」ボタンをテレビゲームのごとく連打、エレベータを待つにも△▽ボタン、一度押せば済むものを二、三度押さないと気が済まぬのが香港なれど疫禍ひどくなり、そういったボタンだのへの接触警戒し、ボタン押すにも指の腹でなく指の背でちょっと触れる程度、それもかぎりなく一度っきり。「閉」ボタンを押さずに自動で閉まるを待つなどかつて香港にはなかった所作。素晴しい。ただマンションの入り口のオートロックなど暗証番号のキーボードだに触れるのが嫌なのだろうが誰か出入りするのを待ち、そればかりか他人が押して開いたドアをさっと入ってしまふような輩もあり。地下鉄とてラッシュでも滿杯の乘客に揉まれるようなこともなく、いつもならドア周辺に陣取ってしまい乗降りに不自由するところが他人との接触さけるため乗客も比較的空いている奧へと詰めるのも好き事。これで唾飛んでの感染恐れ静かなら猶のこといいのだがマスクすれば安全と思ったか、しかもマスクして声が通らないとでも錯覚していつも以上にデカい声で話す輩すらおり。ところでひとの噂といふものがどういふふうに伝わるか、という実体験だが、今週末の成田発香港行きのフライト、この疫禍にて飛行機などガラガラ、欠航相次ぐなか来週末の香港便のみ「そこそこ混んでいる」と耳にする。疫禍にて休校中の日本人学校がその翌週明けに開校だからだそうで、それに合わせて日本に一時避難している家族が香港に戻るためだとか。で、そのそこそこ混んでいるフライト、しばらくしたら「かなり混んでいる」という表現になっており、二時間もしたら「滿席」、それあとは「もうウェイティングも多くてチケットがとれない」とまでなり、どうしても出張で香港に来なければならない人がどの便もとれず仕方なく北京経由で香港入りするそうだ」といふ噂まで。かふして非典型肺炎以上に噂といふ名のウイルス拡散してゆくのだと痛感。
▼旦那もかなり失望の的だがこの董建華夫人といふ人もとにかく人望得られず。行政長官夫人になって最初に世論の顰蹙かったのは上海行きだかのドラゴン航空フライトにてファーストの1A席を要求し、そこがふさがっていると知ったら「ちょっと、アタシを誰か知っているの?」と劍幕だったこが新聞に叩かれ、それ以来、できない男として名を馳せる旦那にこの妻あり、といふ存在感。悪い人ぢゃないのだろうが、ようするにただの上海のちょっと大店の商売家の内儀ふぜい、今回やってしまったのは香港赤十字の会長(名誉職)だかで非典型肺炎ひどかった牛頭角の団地訪れマスク配るなどのボランティア活動に従事したのはいいが、放射能漏れの現場探検するが如きこの完全防備、着装に半時間要したそうな、これで庶民普通に暮す団地訪れたのだから大顰蹙と物笑い。マスクすらせず悠々とする老人にこの重装備にてマスク渡し、口にする言葉といへば「洗手、洗手」ばかり。本人は慈善だろうがこちら側から見れば、やはり董建華夫人はヤヴァイと思わざるを得ず。それにしてもこの装備は醜悪。これを香港の市井にては嗤ひの対象で、海外ではここまで厳重かと察しられもし、いずれにせよ良き効果は何もなし。結局、本音は疫禍などなくても牛頭角の団地など「汚い、怖い」で、事実、昨年、公共住宅の歴史展示ありここ訪れたが、老朽化して、けして汚濁とはいわぬが全く通り抜け自由なG階など衛生的とはいへず。であって董建華夫人などにしてみれば普段でも身の毛もたつほどであろうし、そのうえ肺炎となっては被爆地訪れる如きものか。
イラク攻撃だの北朝鮮だのSARSだのと視線そちらに向いている最中、個人情報保護法案、すらすらっと国会通過しそうな勢い。一握りの者いがい誰もこの状況の窮迫理解しておらず。
▼築地H君より笑譚届く。
アメリカのとある高速道路を走っていた若者が、たいへんな交通渋滞に出会した。
いらいらしながら待っていると、路上を一人の男が歩いてきて、窓を叩く。
青年は窓を開けて「なんあかあったの」
男は言った「ブッシュがテロリストに誘拐されたんだよ。100万ドル払わないと、
頭からガソリンかけて火をつけるって言ってるんだ。
だから、こうして車をまわって寄付を集めているのさ」
「で、どれくらい出せばいいの?」と青年が聞くと、
「そうね、人にもよりけりだけど、5リットルから10リットルくらいでいいよ」