富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月十二日(土)曇。朝五時に寢て八時起床。目覚めに老境を覚えざるを得ず。ジャスコの薬局にてサトウ製薬の高性能マスク、携帯消毒噴射液購ふ。昼前に湾仔詩藝にて陳善之こと劉鎮偉監督『92黒?瑰對黒?瑰』1992看る。92年に見逃せし梁家輝主演のコメディにて60年代の粤語片黄金時代彷彿するオーバーな演出に大笑い。佳作。昼にZ嬢と落合い曽文珍監督『春天:許金玉的故事』2002(台湾)看る。台湾の50年代の国民党蒋介石政権による白色テロ、この作品は台北郵便局で起きた内省人による待遇格差是正抗議に加わった首途で15年牢獄にあった利発的な許金玉女史(81才)の半生辿るドキュメンタリー、台北で6000名が処刑されたといわれる馬場町の処刑場跡地、政治犯収容の緑島などを巡る。遅い昼餉とInter-Continental Hotel、かつてのRegent Hotelから一昨年?Inter-Contiとなり宿泊、食事どころか入ったのも初めて。ロビーは本当に投宿の客おらずロビーカフェも人っ子一人おらず。さすがに階下のダインHarbour Sideこそそこそこ客おり安堵、Club House SandwichとCaesar Salad。坂本順治監督『ぼくんち』看る。瀬戸内海の小島、その島の「おもて」に対してさらに「うら」と呼ばれる辺界の小さな集落の物語にて、どこかで見たことのある風景と思えばこれは黒澤明の『夢』にでも出てきそうな人々。余にとっては何よりも宝塚のベルサイユの薔薇鳳蘭がすでに孫もつ役とは。Z嬢、この坂本監督、てなもんやコネクション?と尋ねられたが調べたら違っていた。Z嬢は科学館に北野武『淺草キッド』看に行く。さすがに睡眠不足で日に5本の映画は易しからず、ジムで一浴し文化中心に戻りFernando Meirells監督の“City of God”(無主之地)看る。リオデジャネイロのThe City of Godとよばれるスラム舞台に、10代の少年たちが余りにも易しく拳銃を得て誰彼なく何かあれば銃殺、その命は酒一瓶より安し。このThe City of Godに育ち、ひょんなきっかけにて新聞社の坊やとなった少年、偶然撮ったそのゲットーの少年ギャングの写真が記者の目にとまりカメラマンとして採用され、ゲットーの組の抗争にて警察の癒着まで写真に収める機転きかしスクープ、この映画は実話。確かこの映画、スラムで撮影するだけでなく貧困にてさして収入もなき若者たちを映画に出演させて、出演料を僅かでも払う上に収益からスラムか環境改善の基金創設したはず。Z嬢と海防道街市の徳發にて閉店間際に牛南麺、隣家の合香園の凍檸茶。文化中心に戻り陳果監督『人民公厠』、もっと厠を舞台にオムニバスかと期待したが北京、釜山、紐育、印度とへんに話を結びつけてしまい、正直言って撮影海外旅行で終ってしまった感あり。よくわからぬがアベツヨシなる青年、北京語堪能にて北京舞台の主人公演ず。Z嬢とビール飲みつつスターフェリーにて中環。ちょうど市大会堂にても映画跳ねたらしく数名知った顔出て来るを見て何の映画かと調べれば異色作Carlos Reygadas監督の“Japon”、公厠択び“Japon”見逃したかも……次回上映で必須。
▼ 10日の日経にもあったが人民解放軍に属す北京の301医院の医師・蒋彦永氏、政府の非典型肺炎感染者北京で19名という公式見解に対して氏の病院だけでも患者は46名と明言。良心の呵責であろう、中国政府に正確な情報の公開を訴える。
数日前、Sony のデジカメCyber-Shot購ふ。ほしかったのはLumixなのだが、それでなくてもホームレスの如く荷物多く、毎日持ち歩くにはLumixでも大きすぎ。で、この画像は

Inter-Continental Hotelのロビーカフェ。土曜日の午後、客おらず。Top Endのホテルの客室稼働率1割をきっているそうで夜中に中環のMandarin Orientalも東側の部屋で明かり灯るは3室のみ。

尖沙咀海防道街市にある牛肉丸にて有名な徳發。この街市、イスラム系の肉屋多く、当然、豚肉は売らず。この徳發が牛肉麺であることはそれと関わりありやなしや。