富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月二十四日(月)曇。非典型肺炎いまだ猛威衰えず。今月14日に今回の肺炎の治療とそこでの感染あったPrince of Wales Hospitalを視察した医院管理局の行政総裁までが感染していたそうで、昨日、教育統籌局の李國章局長(東亜銀行の李Baby國寶頭取の弟)は感染者の発生した学校の休校措置だの家族に感染者がいる学生の休学措置だの発表、各学校に学生下校後に「漂白剤」の水溶液、ふつう使用する場合は1対99に対して1対49で教室などの消毒を促している、が、余の素人理解では漂白剤というのは洋服や黒人歌手を漂白するものであって猛威をふるう伝染病の予防には効果があるのかどうか理解できず、畏友M君が東京大学医学部付属病院の医者に尋ねたらイソジンの原液ぶっかけたくらいでも効果なし、と。そうだろう。ほんとうに戦争に関係ないような人ほど戦争のリスクでの海外渡航自粛とか、マスクして観光ツアーに励む日本人ツアーとか、可笑しいほど。M君に三島先生の『仮面の告白』にも空襲を受けた人たちがワクワクしながら不満をぶちまける場面あり、それを彷彿と。多摩在住のD君の指摘は、今回の小泉三世による米国のイラク攻撃支持は小泉本人ばかりか外務省の親米派のセンセたちも口を揃えて日米の同盟関係に基づくことを強調、だが実はこの支持が日本国憲法どころか(といっても彼らは改憲したいのだから憲法尊重するわけないのだが)彼らの玉条、「不磨の大典」であるはずの日米安保条約にすら違反していること。じつは日米安保条約というもの安保、安保とは言っても実際の条文をこれまで見たことなかったが、これが国連憲章に従うもの。
締約国(つまり日米両国)は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
とあり、今回ブッシュが蔑ろにする国連について
締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に逐行されるように国際連合を強化することに努力する。
としている。岸があそこまでやり遂げた日米安保、戦後の日本保守政治の大典、これがあったからこそ今日の日本の繁栄が築かれたと謳われる日米安保条約に違反することは戦後保守政治における国賊。D君曰く「国連は無力だから、外交の基軸は日米安保」という人は、条文を読んでいないか、と。そういう輩はもはやネオコンがエージェント、売国奴だろう。破防法であるとか新左翼だのオウムだのばかり対象にしているが、こういう日米安保蔑ろにして国家を破滅の方向に向かわせる輩こそ、こういった法律でも適用して取り締まっては如何だろうか。晩に美孚にてばったりと遅い食事に向かうといふS君、H先生、B氏と邂逅。誘われて美孚の福臨漁港なる料理屋。時節柄客足遠のくなかビールは小瓶6本HK$10とただ同然で客足引き止めようと懸命。