富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月十四日(金)曇。多摩在住のD君、娘の幼稚園の卒園式にて牧師である園長の「式辞」を教えてくれる。こういうのを紹介するとそれだけで思想教育だの偏向だのと揶揄されるのだろうが。ただちゃんと「平成○年度」卒園式だったそうで(笑)。
きみたちに聖書のなかから「真理が人を自由にする」ということばをおくります。「真理」というのは、すこしむつかしいかもしれないね。「自由」はみんなも知っているでしょう。たいへんすばらしいことだよね。「自由」っていうのは、なんでも好き勝手にできる、ということとはちがうんです。たとえば、きみたちは入園したころはブランコをこぐことができなかったでしょう。でも今はみんな上手にこぐことができる。ブランコをこぐというのも好き勝手にやって、うまくいくものではないのです。ブランコにはブランコのこぎ方がきまっています。これが「真理」ということです。「真理」を知れば、ブランコを自由自在にこぐことができます。「真理が人を自由にする」というのは、そういうことです。戦争をとめる、ということにも「真理」があります。私はもう歳をとってしまったので、その真理をじゅうぶんに知ることはできないかもしれません。でも君たちはきっとできます。そうすれば戦争をとめることだって、自由自在にできるようになるでしょう。…それでは卒園おめでとうございます。
素晴らしい式辞。「自由」といふのはなんでも好き勝手することではない、ということを真理の意味など理解できぬブッシュであるとか愚劣なる方々にご理解いただきたい。敬虔なるキリスト者であるブッシュは毎朝毎晩聖書お読みになるそうだが。この言葉から思い出すのは国会図書館の「真理がわれらを自由にする」なのだがそれと聖書のこれとは原典が異なるそうな。(こちら) 三月もこの時期になると晩に或る送別宴あり終わってZ嬢に電話すると銅鑼灣におり食事がまだだといふのでPercival St の香河越南餐庁にてZ嬢が生牛肉米粉食す間、越南333麦酒一飲。
▼ブッシュパパ、不肖の息子に向かって「国連決議なしでイラク攻撃してはアメリカの国益を損なうぞ」と説得してるという噂あり。パパブッシュはもともと宗教右翼を基盤にしたレーガンとは出自の違う共和党中道派。アメリカ史上最もイスラエルに冷淡な大統領と言われてユダヤロビーの圧力で再選果たせなかったのがパパ。現ブッシュはパパの失敗に懲りて親イスラエルネオコン右翼丸抱えでチェイニー、ラムズフェルド……。パパブッシュの路線はパウエルくらい、と築地H君のつぶやき。
▼米国の対仏批判の急先鋒、国防政策諮問委員長リチャード・パール、仏ラジオのインタビューで「今やフランスはサダム・フセインの側についた。シラク仏大統領にはサダムと個人的つながりがあるからだ」と非難。自国の大統領が石油原産大手と軍事製造業のためのために戦おうとしているのに。こういうバカどもが政治を担っているのだからどうしようもないが、そういうバカども放置しておく民度と知力の低さが根本的な問題なのだ。
▼首相小泉三世は野党党首とのイラク問題めぐる個別会談で愚かさ(当然だが)暴露。菅党首の「武力行使を容認する米英の決議案に加担しているのではないか」と指摘したのに対し小泉は「米英案には賛成だが武力行使を容認する決議ではない」と反論。当たり前だ。その決議案じだいは武力行使容認などしておらず、これぢゃ反論どころか論点をズラしているだけ。共産党の志位委員長の「新たな決議案は査察を打ち切るものだ」と主張したのに対しては「その通りだ」と認め「査察の手段がなくなったら戦争と同じだ」との指摘に小泉は答えなかった、と。ブッシュと同じで失語症か?、それともバカなだけか。「それとも」ぢゃないな、ブッシュは両方だった。自由党の小沢党首「政府としての原則、方針がきちんとあって、それに基づいて事態を判断すべきだ」と質せば小泉は「その時になってみないと分からない」と答えた、と(以上、朝日)。日経はこれを「その場の雰囲気だ」と言ったと伝えている。その場の雰囲気で戦争に巻き込まれてはたまったものじゃないが、自民党の国防キッズ、virtualな戦争しか知らないのだから戦争ゲームと同じでその場の雰囲気で駒を進めるのだろう、きっと。どうせ同盟国であるはずの米国からは従属国にはなんら具体的な情報も伝えられておらず戦争なんかしたことないのだから何もわからなくて当然。小泉のこの答弁は「ばんがるしかない」とか「やることをやるだけ」といった抽象的な発言しかできぬ人の正直な感想か。それにしてもサメの脳味噌首相からしたら「まだマシ」かと思ったが、それ以下だとは。米国も米国だがこんなのを首相にしているわが国も民度と知力の低さ、と自らの懐に手当てて猛省を要す。