富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月十二日(水)昼に Exchange Square の「あげ半」にてY氏、H嬢と天麩羅食す。あげ半、旧フラマホテル地下にあった頃に何度か行ったが移転してからは初めて。電話で予約すると「会社名かお電話番号を」と言われて、かういふ対応は香港でここくらいだし、この店の姿勢がよくわかるが、そこで「あ、○○商事」とか言って愛想いい応対されて満足する方もいようが、たかだか天麩羅定食の昼で接待でもあるまいし会社名名乗ることに抵抗ある方もあろうし、ましてや会社に属さぬことを好しとする者にはちょっと不快感もあろう。店のつくりは完全な昼飯対応のレイアウトで食堂のよう、かつてのカウンターで揚げたての天麩羅賞味するのとは大きな違い。それにしても気軽にHK$140もする定食を食すこのへんの若い会社員らというのは大したもの。晩に競馬あり馬主C氏の Dashing Champion が第6レースで初の1650m、前戦は同じハッピーバレーの夜競馬で1200mに勝っているがこの距離はどんなものか、前日オッズは10倍。ただし今晩は来週帰国するK夫妻とかねてから食事しようといっていてもK氏とは競馬で時々一緒するばかりで夫妻との食事はないまま。それで今晩、となったが愚猫亡くなる直前にこちらからお誘いした晩餐にてZ嬢ともどもまだまだ気持ちの整理つかないままだが、誘っておいて取り消すのは失礼。それにかなり久しぶりのペニンスラホテルの仏料理の Gaddi’s なわけである。でもやはり家で塞いでいるよりも気のあう方と楽しく食事するのは好事、束の間だが愚猫のことも忘れるというもの。Gaddi’sに8時すぎに着くと1組の男女が食事するのみ、いくら競馬のある水曜日とはいえ閑散としているなか連れはまだ来ておらず。ドライマティーニ飲みながら新聞読んでいるとおしぼり出され、仏料理屋でおしぼりも珍しいと思っていたらZ嬢来ておしぼりは出ず。なにかと思えば余が新聞読んでいて手がインキで汚れるだろうから、という気配り、大したもの。今晩はこの広い店で私ら4名とあの男女1組のみかねぇと思っていたら恰幅のいい紳士現れ、誰かと思えば××銀行の頭取×××氏、マスコミに何かと醜聞ネタにもされる御仁で、もちろん上客であるから奥の間に通されたがパーティでもなくひっそりとしたまま。すると醜聞雑誌でお見かけする愛人嬢一人で現れ奥にお入りに。すかさずシャンペンはドンペリがボトルで運ばれて。K夫妻来て晩餐始まる。×頭取と愛人のところには他の客ないままお食事は少ししか運ばれず、するとそのへんの生演奏とは比べ物にならぬ質の高さなのだがバンドが×頭取のいる奥の間に移り、そこでハッピーバスデーの演奏。愛人の誕生日か。続いてエンドレスラブを奏で始め私ら4人は唖然とするが3曲目がケセラセラ、いくら醜聞を書かれようとエンドレスラブで人生はケセラセラかと思わず笑ってしまうが4曲目はなんだろう、ケセラセラの次だから Let It Be かな、などと軽口を叩いていたら Only You となり、邸宅には正妻あってホテル住まいの頭取、よくもここまで、と感心しつつ、次は「銀座の恋の物語」でもリクエストしてあげようか、などと笑話しつつ食事楽しむ。頭取はお帰りになり食事の主菜の頃には客は私らだけ、Gaddi’s 独占して食事するといふのも気持ちいいもの。料理も美味いし雰囲気も最高なのだが、あの受付の電話の呼出音だけはどうにかならぬものか。客にジャケットとタイの正装を求め携帯電話も禁止とまでして、あの電話の呼出音は最悪。それと給仕ら、胸に小さな名札で十分なのに「セキュリティ上」の問題か写真入りの社員証を胸につけてるのも不健全。Dashing Winner 1着!、10倍が5.2倍で1番人気になっていた、が、もう少し大きく賭けていたら Gaddi’s の食事代になった、ちょっとした儲け。ゆっくりとデザート、珈琲まで終われば11時、やはりK夫妻とならここを楽しめ堪能して、すでにマンション引き払った夫妻をホテルに送り帰宅。帰宅するといつも玄関の外で鍵開けようとすると鳴いて迎えてくれた愚猫の声せず扉開けても足元に絡まず寂しきことかぎりなし。
▼大切なことです。この項。いぜんから書こう、書こうと思ってそのままになっていたが、メールアドレスのドメイン名、例として nantoka@iroha.co.jp なら co が com (company)で jp が japan ということについて。もともと米国で始まったインターネットは com の部分、これを gTLD (Generic Top-Level Domeins) というのだそうだが com、edu、net、org とかは3文字であったものを、米国以外にインターネットが広がるにあたって ccTLD (Country Codo Top-Level Domeins) という国名を示すものが日本は jp で英国は uk とかつくようになり、 gTLD をつける場合はそれも com は co と2文字にしてください、ということが実質的に「米国により」決まった。そこでの問題は米国の会社は ccTLD が us ならば平等なのだが米国だけは ccTLD はなし、で gTLD も3文字のまま、米国の会社は abc.com だけど日本の会社は iroha.co.jp というように。これがいかに米国主導で差別的かというのは明らか。で、結局は米国以外でそんな統一に従うわけなくて香港の会社でも hongkong.com.hk でもいいし ccTLD をつけずに hongkong.com でもいい、という、つまりどーでもいい、というようになった。世界中みんないい加減にそうしてる。インターネットが国家の符丁であるccTLDに制約されない、という実に理想的なかたち。それでいいのだ。しかし唯一この米国主導のドメイン名作成に従っているのが「独立した主権国たる」日本なのだ。いまだに宗主国米国の取り決めに従い iroha.co.jp とやっている。元駐米大使の松永信雄センセは「日本は米国の従属国でないかとする謝った見方が、国内にも国際社会にも存在している」のを否定されているが、こんなところにも従米思想が蔓延。本当に主権のある独立国たる思想哲学あるのなら、とっととこのドメイン名の奴隷主義から脱すべきであるし、保守反動右翼の諸君も共産党の諸君もなぜこういったことを問題にしないのか、とても不思議なのである。
日経平均株価一時8,000円割れ、今さら誰も驚かないのだろうが20年前の水準。20年前、自分はいったい何をしていたのか、と考えるに本読んで日記書いて酒飲んでいた、と、つまり何もかわっておらず。官房長官福田二世「実効性のある対策を日銀も含めて検討していかなくてはいけない」との仰せ、首相小泉三世「株価は厳しい状況だが金融危機を起こさせないという態勢を取っている。動向を注視しつつも日銀と一体となって政策を運営していきたい」と宣はれる。「実効性のある対策を日銀も含めて検討していかなくてはいけない」なんて誰でもわかっている、「金融危機を起こさせないという態勢」などと漠然と言っているが問われているのはもう10年以上具体的に実効性のある対策の具体化。首相の「動向を注視しつつも日銀と一体となって政策を運営」って「AしつつもB」で一瞬、政府と日銀は仲悪いのか、日銀には動向の注視ができないと諦めているのか、と思ってしまったが、これ「動向を注視「しつつ」日銀と一体となって」だろうし「政策を運営」ってのも聞きなれぬ表現。無策で言葉だけ並べているからこういう表現になってしまふ。
▼仏シラク大統領のイラクに関する安保理には各国の首脳出席すべきという提案にいち早く賛同示した独シュレイダー首相だがその対応に「選挙戦にらんだパフォーマンス」というような記事あり(日経11日)。確かにそふかもしれぬが、つまりは国民に反戦の世論あり反戦の対応せねば首相失脚という、実に明確な世論と政治の関係。それを知った顔して「選挙狙いだよ」などと揶揄するだけしかできぬ、首相が従米しようがしまいが一切おかまいなしの自らの国家の体たらくを恥じ入るべし。