富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2003-02-27

二月二十七日(木)晴。朝日新聞一面トップに大きく「北朝鮮が原子炉再稼働」と。それほどの大ニュー スか。「電力生産のため再稼働始める」と1月だかに明言しており予定通り(笑)。それも米国との対話再開 意図しての真に平和的手法と賞めてあげなければならず。日本が非核国家にて原子力発電否定を国是としているのでもあればまだしも原子力発電盛んな上に核廃 棄物海外ポイ捨て国家が何を理由に北朝鮮の核事業を憂ふか。いろいろ考えてこれまで使っていたデジカメ、OlympusのC900さ すがにそろそろ限界で買替え考えPanasonicLumix、 F1とす。べつに浜崎歩嬢に魅かれてのではなく余はLeicaのこのレンズに魅かれしものなり。そこまでライカにこだわるのならラ イカっぽいデジカメあるのだが、これはとても実用には難あり。黄昏にQuarry Bayの太古坊、MM1持参してSwire集団の敷地内にて実験的に行われている公共ワイヤレスLAN(無料)お 試し。当たり前だがちゃんと繋がるばかりか11.0mbpsで篤と利用可、太古坊の外の街頭でも利用可と聞いておりEast Endにて試みるが繋がらず入ってしまった手前エール一飲す。夜、ニュース10見ていたら(別に好きで見ているのではな い、香港で日本のニュースはこれしか見れないのだ)北朝鮮の原子炉再稼働、深刻に報じるどころか電波少年みたいなデカいテロップで「その目 的は?」だって(笑)バカじゃないか?、対米対話だろーが、それをいちいちセンセーショナルに、そして軍 事評論家とかナントカ総研の研究員がしたり顔で説明と思うと下らなくて見ておれずテレビ消す。朝日の天声人語読んでいたら(こ の書き手も思考回路よくわからない記者だが)天声人語の常套で「最近の言葉から」、いろいろ挙げての最後が小泉三世の民主党党首菅一世との 対話終えての「丸め丸めよ、我が心。まんまる丸く、丸くまんまるだ」と江戸時代の遊行僧の歌に心境を托して、と。確かにこの発言あったが天声人語子がこれ を挙げた意図はどこに? 1:「最近の言葉から」らしく読むに値する、と判断して 2:いい言葉並べた最後に敢えてこれを挙げて揶揄の意図 3:全くなに も考えていない の何れかか全くわからぬ。本当にわからぬ。明日、朝日に電話して聞いてみようか。
▼香港政府、昨日「人口政策専門委員会報告書」公布。投資移民の最低投資額HK$6.5mとし純粋な不動産 投資などもこれに認める、と。また居住七年未満の福利厚生受益を制限、海外からの出稼ぎ女中の最低給与額を現行よりHK$400下げHK$3200だかに してHK$400を女中雇い税として雇用者より徴収などなど。なぜ人口問題の答申がこのような内容なのか、と訝られる方もおろうが、『信報』社説で明確な 説明がなされており、それを引用すれば、政府のこれまでの人口政策は非法移民を防止し流入労働力の抑制だけを焦点としていたが今回は人口政策の目的が「香 港の人口を充分に確保し知的型経済の発展を維持推進する」というもので「まず人材を引き寄せ次に投資を引き寄せる」というもの。これまでも外為管制なく資 金流入自由な香港は多くの資金が流れ込んできたがこの政策は人も呼ぼうというもの。香港も先進国のご他聞に漏れず社会の高齢化少子化進んでおり、このまま では労働人口の現象と産業低迷、税収減少など暗雲ばかり、それに抗して社会の活性化維持するには積極的な海外からの人材と資金の流入を、という姿勢。日本 の政府与党官僚の諸君はわかるだろうか?、これが。外国籍は「市民」とも認めず地方自治の選挙権すら与えず、それで世界でも著しい老齢化少子化の社会をど うしようとするのか、香港政府も頼りない点多いが日本政府の愚政に比べればこうして建設的な景気打開策提出するだけまだマシ。香港で1億円のマンション買 えば香港で市民権得られる、崩壊へと崖を下り続ける国家から「脱日」希望の方は是非どうぞ。それにしても大きな矛盾は、そうした海外からの積極的な人とカ ネの流入を期待する香港が、である、国家安全条例の立法化は銀行界や欧米諸国(日本はダンマリをきめこむ)が 懸念表明しているように資金の流入の妨げ。でも北京には国家安全条例で忠実ぶりを示し海外に向かってこの開放政策、いかにも香港らしいパフォーマンスかも しれぬ。
▼香港に密航し13年目にて発覚し逮捕された45歳の男性、禁固11ヶ月という温情判決あり。この男性内地 =中国の大学にて学ぶころ思うところあり89年に偸渡来港、香港にて工事現場で不法労働者として働き500元で現場の同僚通じて「張春華」なる者の偽の身 分証入手、写真偽造しこの張春華として勤めば、その後2軒の工技術会社設立し広告まで掲げ建築業にも乗出し20名の従業員を抱えるに至りしが運命尽き果て 遂に官憲の御用となり、逮捕の折この被告驚愕し逃亡図りビルより飛び出ようとして追う警官と供に落下して受傷、結果、偽文書使用並びに非法滞在など12の 罪にて起訴され昨日判決ありしところ裁判官、内地よりの入境制限あるものの多くの香港市民この男と同様に密入したのも事実、ここまで本人努力し事業興し生 計維持するばかりか雇用生むまでに到るを以て情状酌量の余地あり、と逮捕時の抵抗を覗き偽文書使用含む11の罪を無条件釈放とし禁固11ヶ月といふ軽罪と す。美談。
▼香港カソリック教会の陳日君主教、本日の『信報』に論文寄し誤解も多き主教の発言につき自らその真意を述べる。キリ スト教司祭が「公民抗命」命惜しまぬ抵抗と「暴力革命」を論ぜざるを得ぬ現状。これを説いた80年代のラテンアメリカの司教たちはローマより異端扱いだっ たこと懐古。陳主教曰く、主教初めて「公民抗命」説きたるは香港政府居留権なき児童学校に受入れずキリスト教系小学それを受けた時にて政府、主教に対して 刑事責任を以て威嚇したのに対して強迫されようと「公民抗命」説いたのが初めてのことにて自らが収監されようと、と。これは厳粛なることにて誰に彼にこの 「公民抗民」強いるものではなし、と。また暴力革命について述べたのは聖誕祭の祝詞にて「もし或る民族が暴力と強制による奴婢の如き生活強いられもし他の 方法なき場合」暴力革命辞さず、と。
▼と枢機卿のそれを聴けば感銘に値するが某神父の対児童性侵犯事件について主教の立場でその性侵犯おこした 神父を警察に引き出すことは主教と神父の特殊な関係を崩す行為であり自らが先の児童性侵犯事件の際に枢機卿の立場にあったとしても通報はできず、と。また 警察側が現在捜査上にある他の対児童性侵犯の神職者の数を公開したことに対して「どこの会社で何人調査されている、と警察は公開するか?、なぜ神職者のみ それが公布されるのか?」と。詭弁。神に仕える身と収益に汚れた企業とは異なるもの、神職であるからこそ厳正でなければならず、しかもその神職者がそれを 威光に児童に性犯罪、断罪されて当然ではあるまいか?、主教と神父の特殊な関係だって……臭そう、結局、これまで聖域といふことで外部からの官憲力の侵入 を未然に抑え中は清く潔くの名の下にかなり猥らであったわけで、ただ最も重要なことはタブーを徹底した反面「そんなことみんな知っていたがいちいち問題視 せず」で「まぁ神父様もお人が悪い」で済ませていた事実。それをタブーとせずというのは社会が正義になったようでいて、実は全くワケがわからなくなってい る証拠でもあったりする。そう考えると警察側の発表も純粋なものかどうかは疑わしく教会の正義振り翳す様への官憲にこそ正義ありといふ主張に思えてなら ず。いずれにせよ教会なり軍隊なり警察なり権威もった組織、<政治性>では同じ類か。
▼築地のH君と数ヶ月前に勁草書房、かつて羽仁五郎先生の『都市の論理』まで出版した会社から最近不思議と 右翼本あるね?と話していたら今度は阿川尚之センセイの『それでも私は親米を貫く』(笑)という本を出 版、とH君より報せ。原稿の初出一覧を見ると「諸君」だの「サンケイ新聞」だ「Voice」だの並ぶそうで、まさに親米保守の阿川センセイ、真の保守反動 右翼からしたら天誅に値しないのだろうか。出版事情にも明るいD君に尋ねたらよ勁草書房のこのクズ本の担当M編集者はかつて無名時代の上野千鶴子や江原由 美子など「進歩的」フェミニズム本を多く世に送り出してきたベテラン編集者だそうで、なぜそれほどの方が今こんな本出しているのか不思議。フジ産経関連の 本だせばそこそこ固定数は売れるというすでに進歩的左翼本では経営成り立たぬ出版社の迷走飛行か。ちなみに阿川センセイ数日前の朝日「ブッシュ政権はきわ めて真面目な政権だと思います」とか言ってもいた。そういわないと真面目な政権と思われてないという自覚はがあるのか、とH君。
▼三月の歌舞伎座、昼の部最初は染五郎の三番叟。どうせなら新之助君と「棒しばり」とかタイムリーなのだ が。で源氏の浮舟は浮舟が玉三郎で薫の君は当然、仁左衛門勘九郎が父勘三郎の持ち役の匂宮演じるといふがニンぢゃないなぁ、ちょっと。「勧進帳」は高麗 屋が700回目の弁慶だそうな。あまり見たくない「近代の」弁慶。義経染五郎と富樫に富十郎はよさそう。夜の部は「傾城反魂香」芝翫のおとくが見てみた い。勘九郎勘太郎七之助「連獅子」は略。「与話情浮名横櫛」が仁左衛門さんの与三郎でお富は玉三郎赤間別荘の場もあり、ってのが貴重か。あー歌舞伎 が見たい。