富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月二十六日(水)曇。晩にHappy Valleyにて競馬。Stable Bend Terraceにて食事しつつ10数名で観戦。だいたい此処でこうして皆さんで競馬した日に当った例しもなく悲観的に観戦していればこの観戦聞きつけ遠き 山口より馬券購入をK女史に依頼してきたN氏の馬券、Q連複にてHK$1,225的中、しかもHK$50分購入で5倍、ひとえに玉如意といふ穴馬一着HK $314に因るものだが、この馬今季芳しくなくN氏、昨年香港離れこの玉如意は昨季の好調ぶりの印象あったかと察す。お見事。Size厩、色種好の一着は 固かった(HK$20.5)がまさかのLatte(漢字ではミルク ティ)のHK$672.4の万馬券、ただただ敬服。帰宅して荷風先生『あめりか物語』セント、ルイスの記述ほんの少し読むが二日続けての四 時間睡眠に流石に眠気襲ふ。
▼最近、ラジオで香港政府スポンサーとした「爲国家安全買保險」(国家の 安全のため保険に入りましょう)と基本法23条による国家安全条例制定促進の広告流れる。不快。政党・前線の何秀蘭曰く「中共の強権統治の ために保険に入るのは国民の危険倍増」と非難。國家買保險人民好危険、なのである。一方、反23条活動のため主に台湾から(日本からも)来港しようとした 法輪功の信者が香港入境拒否され空港から強制帰国させられる。23条立法などされなくてもこうして政府いくらでも強権ぶり発揮、つまり23条立法なるもの 単に北京中央への忠実ぶりの見せかけにすぎず。
坂本龍馬銅像に落書き。単なる落書き。靖国神社大村益次郎銅像の爆破なら解りやすいが、この悪戯書きに政治的 背景も思想もなし。こういうことするガキいるから教育基本法改正して「心豊かでたくましい日本人を育成」し「伝統、文化の尊重や国を愛する心」もてる「日 本人としてのアイデンティティ」が必要なのか……。そんなはず、ない、のだが、そういうことになってしまっている。景気回復して若者の就業率上げられるこ とのほうが教育基本法改正よかよっぽど急務、だがそれができないから教育は国家の大系みたいなところに逃げて改革姿勢だけ誇示、と。
▼新聞に香港American Clubの会員募集の広告あり。資格はAmerican Citizenという解り易さ。米国籍でもなく米国の市民権があればよし。当然のことながらAmericanなどという抽象的な表現はなし。どこかのアホ な国の教育基本法での「日本人」なる記述との大きな違い。ちなみに香港日本人倶楽部、開明的で入会条件は日本国籍所有者及び非日本国籍個人会員つまり誰で も入会可、会員にならなくても施設利用のできる会友、これは「日本国籍以外」ならなれる、とじつに明確な規則。
▼マイケル=ジャクソン先生の奇怪っさの報道日増しに多くなり楽し。ベルリンにてバルコニーから宙にぶらんぶらんさせ られた赤子、今度はまたレースの布を顔にかけられたまま闘牛場にてマイケル先生に抱かれ狂牛の目前に対峙、そのスリルに発狂したように歓喜な表情の先生。 インタビューにては自らが幼少の頃に親に虐待されたことのトラウマを語っていたが虐待された、こうした赤子への奇行もそれに子が怯えれば泣きやむように溺 愛を楽しむという、奇行もここまでいけば本望か。そういえば先生のあの整形、完全に失敗作だが億万長者の先生すばらしい名医選んでるはずで何故のあの駄作 か、化粧もじつは漂白で灰色になってしまい、それを隠すためとか。結果論だが東京にお忍びで赴き渋谷整形外科とか十仁病院で済ませれば安全だし安く済んだはず。夜暗くなってから 病院に入り数日要して整形から肌の漂白まで済ませて日中堂々と退院、入院前の黒人青年と全く違う人物が日比谷歩いていても誰も先生と気づかず、ってね。
北朝鮮が韓国の新大統領就任日に東海に向けてミサイル発射、と。昨晩のNHKニュース10では日本の良 識・今井キャスターも神妙な表情で大きく報道していたが、それほど騒ぐことか。これって韓国新大統領への祝砲だと思えばよろし。将軍様から「これからよろ しくハムニダ」と。むしろミサイル発射もせず静寂であるほうが恐ろし。
▼突然思いだしたがニューヨークでは劇場などで公演中に携帯電話などピピピの電子音鳴らした場合US$50 の罰金条例。香港もそれするべき。かなりの税収入に。
▼突然思いだしたこと、その2。マラソン。42.195kmを完走できたの3時間を下回っただのと一喜一憂 しているわけだが、先日走っていてふと思ったのは、アテナイ軍がペルシアだかの大軍を破った時だったかに戦場からアテネまでの勝利を知らせに走ったのが、 その距離が約40kmだったわけで、もし戦場がアテナイから21kmだったら今のハーフマラソンがマラソンだった。もし距離が200kmだったら最初から 走らないわけで、その場合マラソンなるスポーツはこの世になし。あとで調べてみると約40kmでまちまちであった距離の42.195kmへの統一は 1908年の第4回オリムピック(ロンドン大会)でのマラソンウィンザー城からロンドン市内でこの距離 が42.195kmだったことに起因してるそうな。最も重要なことは、これはランニングクラブのY氏との共通見解だが、そのアテネまで走った兵士は疲労で 死んでいるのだ、そんな危険なことはやはりしてはいけないのだ、きっと。気になるのは、この伝説になっている兵士の時計はいったいどれくらいだったのか、 といふこと。
▼先週、母とK先生の奥様から聞いた話だが日本で中年女性相手に会員制の「痩せる下着」の販売で、当然なが ら鼠講のようなもので下着も高価なのだが、会員誘致するのは痩せて美しくなってファッションショウに出ましょう、という誘い文句だそうで、ただ何十年も連 れ添った旦那に見せるだけなら大枚叩かないオバサン連中もファッションショウといわれると色めいてかなり努力始めるとか。モノを売るのに単にモノでなく付 加価値をここまでつけてしまう、資本主義というシステムのすごさ。
▼Blue Girl Beer(藍娘)といふ、香港でオヤジ、肉体労働者階級を主にかなり飲まれてる「輸 入」ビールあり、これを蔡瀾氏エッセイにて書いているのだが(珍しく余は蔡瀾氏を非難するに非ず)独逸 「らしい」がビール瓶みても Imported とあるだけで明確な製造元の表示なし。以下、蔡瀾氏の紹介。独逸ビールには間違いまくブレイメン地方にて18世紀に創業したビールに違いないが、それがな ぜ香港に、かといえば1895年青島にて生産始め1906年にこれがJebson社に買収され香港にて販売開始。当時、独逸製とも何処生産とも明記されて おらず。それが今日に至り香港生産でないのは確かな、ただ Imported とあるだけで何処の国とは表示なし。蔡瀾氏インターネットにて調べて見るとこの麦酒会社のサイトの歴史に実は韓 国の Oriental Brewery にて生産とある。なんだ、そうだったの、という麦酒好きにはそういう話。この韓国の麦酒会社、お馴染の韓国といえばOB Beer(このサイト、いかにも韓国の麦酒飲み文化がよく表現されてていいなぁ)、蔡瀾曰くOB Beer製造であれ藍娘が韓国製なら Imported は正しく、OB Beerが深センに麦酒工場建ててる?、資料見つからぬが、その場合は輸入というのは間違っていることになる、と。いずれにせよTV広告にて西洋の若者ば かりがこの藍娘飲み「彼女が来るのを待っている」とあるのだが、それが東洋娘であるのは確か、と。