富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月十四日(金)基督教の聖人Valentinusに、亦た恋人への贈物の風習は古代ローマの豊穰祈 願の祭Lupercaliaに由来するといふバランタインの祝日が日本はじめ世界中にて愛の祝祭となっていることへの苦言など今さら言ふまひ、寂しき老人 のただの僻みと思われるのが由。毎朝六時半にラジオにて目覚める。朝イチのこのニュースにてブッシュの耳障りな演説で目覚めることほど不愉快なものはな し。新聞はイラク攻撃だの北朝鮮のミサイルが米国西海岸まで射程距離に、だのとテロ、テロ、テロ……まさにテロ恐怖シンドローム、世界席巻する。これはも はや「ビョーキ」である。海南島より明後日の香港マラソン参加にてA夫妻来港、1年ぶりに再会して昼に香港ホテルの西村。A氏にここのちらし寿司勧められ お昼は3つの小丼選べてHK$150はお得。ちらし、鉄火、葱トロの3つ、夜にHK$240だして食べる鉄火丼はちょっと「うーん」だがこのセットは満 足。ただどの小丼にも生姜(ガリ)が多すぎ。味を壊してしまふよ、あれぢゃ。Happy ValleyのZoeなるケーキ屋にてチーズケーキ購ひ帰宅。もともと鴨利洲に製菓工場ありレストランにケーキ卸で来客売りもしていたが評判になり Happy Valleyに店出す。ケーキ食べる暇もなく慌てて一人で湾仔の芸術中心にてThe Fire of Desireなる芝居(演出:楊詩敏)観る。Arthur Schnitzlerなる劇作家の100年前に上演禁止となり20年後にようやく上演されたといふ劇Reigenをモチーフに女優(焦媛)が売春婦、看護婦、お嬢様、モデル、女優の五役、男優(李潤祺)が タクシー運転手、大学生、議員、劇作家、遊び人の五役を演じ、売春婦が運転手を客とするところから売春婦(淫売)運 転手(通りすがり)看護婦(衝動)大学生(お遊び)お嬢様(お付合い)議員(権 力)モデル(偽物どうし)劇作家(仕事上)女 優(麻薬)遊び人(淫売)売春婦……と男女が出あうそれ ぞれ様々な状況をこの二人だけで演じてゆき、最後は振出しの売春婦に戻る。設定は面白いが習作の域をまだ出ぬ舞台。終わってZ嬢に電話すると太古城にて買 物しているといふので太古城で落合ったものの「香港一の食の不毛地帯」太古城、昼に西村で寿司でなければ初めて時寿司訪れるところ、「坦々麺のすかいらー く」翡翠麺家は夜の九時半すぎだといふのに店の前に六、七十人は順番待ち。不味くはないが小一時間も待って並んでまで食すほどとは思えぬ。時間も時間で やっつけ飯なのでWestland Rdの好時菜?(不確か)なる京滬風味の店にて北京水餃、北京炒拉麺、四季豆炒。不味くはないが美味くも ない、ただ翡翠麺家で一時間待つなら此処で充分のはず。
▼朝刊見れば長野県は公共事業を4年で4割削減し福祉医療、環境、教育、産業・雇用に重点的に予算配分、と いう動き、田中知事は「どこかが従来型の公共事業に切り込んでドラスティックに変えなければ日本は沈没してしまう」と。どれくらいの人がそれを理解してい るのか。それを理解できていたら今の政治のはずがなし。
▼日本の新聞では読んだ記憶ないが、中英両紙に日本のマザコン&国防キッズ防衛長官石破二世が外国人記者とのインタ ビューで「北朝鮮が日本に弾道弾を発射した場合、発射されてからではなく発射されることが的確に判明した場合、日本は弾道弾発射阻止のため先制攻撃に出 る。これは日本の軍事防衛のためであり合法」といった主旨の発言あり大きく取上げられる。現代の軍事技術とはこんな先制攻撃で相手を壊滅できるようなもの でなし。レーガンの時代でこういった核弾道弾の先制攻撃うんぬんの作戦は廃れたと思っていたがまだ言ってるよ、この防衛庁長官。本当に軍事オタクなのかと 疑いたくなる。9-11のような自国民間機を使った攻撃、細菌戦などいくらでも方法はある。結局、この弾道弾発言はおちゃらけにすぎず。ただそういうこと を言って注目されてみたいガキ。本当に日本の安全保障を考えるのならいかにそういった軍事的触発にもっていかないか、だけしかないはずなのだが。結局、こ の人は、見るからにもし自分が兵役についたら古参兵にビンタから始まって虐められるタイプだが、衆議院議員であり防衛庁長官であるから間違っても兵役につ くはずもなく、この人の好戦姿勢というのは軍事オタクだから自分が防衛庁長官であり実際の戦争が起きたらどんなシュミレーションゲームよかもっと面白い指 揮ができる、という、そういうこと。もう実際にそれがやりたくてやりたくて仕方がない。戦国時代の殿様ぢゃないから自分が死ぬわけでもないしね。こんなの が防衛庁長官、それを防衛長官にしてる小泉三世、小泉三世を首相に選んでいる日本……。
▼新大久保だかの国電ホームでの泥酔転落と巻添え死亡事故を契機にホーム売店にて発売止めていた酒類の発売 再開、と。売店の売上げ維持とサラリーマンの「帰宅前のささやかな楽しみ」を奪わないで、といふ声に押されて、とか(悲)。 仕事終って酒の一杯といふ気持ちも解るが都会であれば酒場パブでギネスの一杯でも、とか新橋だの大塚だの酒屋兼ねるスタンドバーでの冷酒一杯とか、地元に 着いて駅前で一杯とか、と思うが通勤時間がこうも長くなっては、といふ事情で駅のホームで、か。それにしても常磐線の帰宅時の通勤電車の酒臭さなど甚だし く、その酒が楽しみとは甚だ寂しき社会。酒場で知りあった韓国人や中国人の友だちと一緒に都庁前で石原抗議デモするとか、楽しみはいくらでもあろうに。
▼香港特区基本法23条による<国家安全(立法条文)条 例>の立法化、本日政府Blue Print草案刊憲(官報に公示)。立法会審議へて七月をメドに政府立法化の構え。それが公示の数日前に 香港総商会(経団連に該当)の行政総裁が「見た」と発言してしまい疑惑。実際に政府「見せていた」わけで それを知っても驚きもせぬが茶番は茶番。「見た」と発言してしまふほうも馬鹿正直。一昨日の日剩に録した東亜銀行の李國寶(そ れにしても国宝とは凄い名前……笑)による保安局長葉劉淑儀に対する非難に対して保安局長葉は昨日謝罪表明。銀行家「2名」に電話したこと は認め"It was not a question of me double-cheking what Mr Li has reflected to the government. I have a duty to consult peope to ascertain thier concerns"と宣うが銀行界選出の立法会議員としての李の立場はなし。葉曰く"I will talk to him when he is not so angry"って、この保安局長、やっぱりバカ(笑)。 相手を怒らせることしか知らず。また上述した香港総商会への草案内容漏洩の件、葉局長は「立法会にて議員への提示が最初であるべきもので第三者への漏洩な ど絶対にあってはならないこと」と説明するが総商会の件については「なかった」と否定せず「誤解がある」と(嗤)。 事実はいくつかの点について法務局が先方に意見を訊くために草案のいくつかの条文は見せたが草案じたいは見せてはいない、と。この拙劣なる立法化作業見て みてもいかに香港政庁がこの立法化について法治の原則だの立法化の意図もわからぬまま、ただ国家への忠誠示すためだけに躍起となって立法化勧めていること の本質見えたり。
▼『世界』2月号にていつの間にか神奈川大教授になっていた田端光永氏(元 TBSニュースキャスターにて97年返還前にTBS香港支局開設し初代支局長にてマンダリンオリエンタルホテルでの開設記念パーティにてご尊顔を拝す、)、 小泉三世靖国参拝を質し、今回の1月4日の抜き打ち参拝、1月下旬の通常国会召集、2月の韓国新大統領就任、3月の中国共産党Coquinteau総書記 の国家主席就任、4月の統一選挙、その後自民党総裁選と続く政治日程の中で、「靖国はさっさと片づけておこう」という姿勢を追及。確かに、本当に靖国に眠 る英霊のことを思えば、かういつた小泉三世の姿勢英霊に甚だ失礼極まりなく冒涜、きちんと八月十五日に参拝しなければならず。それで非難があれば正々堂々 とそれを受け国民の審判仰げばよし。結局、本当に英霊を懐う気持ちも信念もなし。