富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月七日(金)晴。先週土曜日こともあらうに正月元旦財布落としようやく昨日暫定停止していた銀行 カード復しクレジットカード昨晩書留にて届き生命維持装置つながった気分。現金は手許にあってもカードないと生きた心地せぬとは我ながら憐れ。さっそくい くつか芝居と映画の前売り買い美津濃のランニングシューズ購ふ。現金あってもカード使うことが20年すっかり定着している。晩に中文大学に交換留学中のS 嬢、H嬢のお二人に香港の就職事情のことなど聞きたいと請われ、余の与太話よりいったい何の役にたつのかわからぬまま銅鑼湾の百楽潮州酒樓。潮州料理の老 舗中の老舗。味は当然しっかりとして客は満席、客が立てば次の客入りと商売繁盛、慇懃に動きまわる黒服、給仕にもかなり好感もて老舗といっても高慢ちきに ならず敬服至極。伝統の、よき香港らしさ。潮州料理こそ酒の肴には妙、どうしたって酒飲みたくなるかと思ったが、不思議と飲まねば飲まずでイケるもの、幸 い、潮州料理屋の作法で最初に美味い鉄観音茶服し、それで治まったのかも。いずれにせよ自宅ならまだしも外食にて酒飲まずとは我ながら驚く。酒抜いて五晩 目、運動もせずそれだけで痩せたとまではいはぬが少なくともヅボンの嫌なきつさないのだから恒常的な身体の浮腫み解消されているかも。体脂肪率2%下ル。 バスクリン「ひのきの香り」で入浴。34回分と銘打っているのが不思議。なぜ34回とこだわるのか。一回の使用料でもだいぶ違うわけで約30回でも40回 でもいいような気がするが34回と書かれてしまふと厳密に34回使えるかどうか数えてしまたり気になって仕方なくなる人とか現われるはず。それじゃ寛いで 入浴などできず……なんてかういふこと書くのは天野祐吉だね、これじゃ。月刊『東京人』少し読む。松葉一清氏の「東京発言」毎月考えさせられる言葉続く が、今月松葉氏が引用したのが慶応大経教授・金子勝氏の「デベロッパーに対して都心再開発に関して大幅な 権限が付与され、つぎつぎと都心に超高層ビルが立ち始めた」のは「麻雀にたとえるとハコテン寸言に役満を狙ってマンガンを振り込むようなもの」という言葉(東京新聞1月17日夕刊「月光仮面の経済学」)。松葉氏「大再開発にはひとを元気づける力がある。汐留でみんなが 高層ビルの姿を確かめようとして上を向いて歩くだけでも、下ばかり向くよりはましだ」と悲観からアイロニーへと向かった物言い。だが「それらがデフレスパ イラルや不良債権という軟弱な地盤のうえに立つ文字通りの砂上の楼閣」であることは松葉氏の言葉待つまでもなく誰もが実は知っている事実。いつか東京湾の この埋立地液状化するのか。あまり好きではないが堺屋太一氏の言葉は「どの工程をどの国で行うかはグローバル化した企業の選択」であり「世界各国にとっ て大切なことは企業とその基盤となる人とに「選ばれる地」となること」と。コスト高でもそれでも選ばれるような創造性と質、それだけが日本の選択事由のは ず、だがS嬢、H嬢とも今晩話題になったが航空会社とて日本の航空会社を見ていると客は依然として日本人を外に送りだし迎えるばかりで外国からの客を運ん でくる印象すら薄いのが事実。香港のキャセイであるとかシンガポール航空であるとか、いかに客を我が地に運んでくるか、が商売哲学。日本はもう深慮してい る暇もなし。