富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月二十八日(火)晴。
▼日本の新聞読んでも世界の「戦略」なるものちっとも理解できず。が香港『信報』経済紙でありながら社主兼 編集長林行止氏の双眼世界を見渡すこと秀逸(……かういふ表現も目の不自由な方のことを思ふと不適切、とか指摘あり?)軍 事戦略とはどういふものかという例としてネパール挙げて語る。尼泊爾(ネパール)にまだ米国により国際テ ロ集団に含まれておらぬが尼泊爾毛沢東共産党(CPN-M)あり。山岳地帯に篭り武装闘争続ける。敵な るは王室内クーデター成功させ前国王ら王族虐殺し王となった(……なんと「劇的」な出来事)、米国支持取 付けた独裁、反民主の国王 King Gayanendra。米国はネパール政府軍に武器供与続け政府援助も多額。今になって思えばあの王族銃撃事件とて突発的とは思えず、かなり計画的に仕組 まれ、しかもそれに彼の国が絡んだといふ憶測も可。では米国の目的は何か? それが米国にとっての「友好的仮想敵国�ookpaktsuen」中国包囲網 の整備、と林氏は指摘。中国にとって友好関係にある隣国は北朝鮮のみ。ロシア(旧ソ連)、越南、パキスタ ン、印度とはかつて戦火交え未だに蟠り溶けず、西域イスラム系国家とはウイグル自治区の帰属問題あり。でネパールは米国にとってこの地域の軍事的拠点とす るには恰好の環境にあり。つまり現国王、そういった世界情勢のなかで米国によって地位安定が図られる。こういった戦略が世界を覆う。台湾問題でも地味で余 り報道されてもおらぬが欧州共同体、27日に台北に経済貿易事務所開設。北京にとっては不快ながらWTO加盟の台湾とEUにとっては当然の「事務」手続き にてWTO新参者の中国政府「政治的」にこれを非難できず。世界的に国交維持の難しい台湾政府にとって欧州26カ国とのこの経貿関係の「政治的」密接化は 重要。しかもこれをEU側で推進するのが北京にとって「千古罪人」と名指しされた香港末代総督Chris Patten卿。
▼首相小泉君衆院予算委での公約不履行「大したことではない」発言について「不適切な発言だったと反省」 「まだまだ修業が足りないなぁと」と反省の弁。修業途中の青二才ならまだしも一国の政治与る内閣総理大臣なる職、職に就いて徐々に業修るほど易しき職に非 ず。修業済み達観した者がなるべき職(……達観したら政治など呆れて拘わられぬか)。感情的に「大したこ とではない」などと宣ふうちは首相たる職の器にあらず、小泉君自身の覚悟浅く、改革成就など遥に遠し。まぁ彼の国の大統領とて執務室書庫にて尺八遊びに興 じる程度の「ボク」勤めた実績あり、かつての独逸ブラント首相の頃の如き大人の政治倫理、価値観など求められず、か。
▼朝日の衛星版は夕刊記事混合だがさすがに衛星版にない「老人面」なる連載、築地H君の知らせでそこに京屋(雀右衛門さま)登場し「体重には気を使ってます。太った女形なんで誰も見たくないでしょう」と放言、と。これを読 めば誰もが懐古するは梅幸のあのぽってりとした藤娘、それが可愛いかどうかは見る人の価値観の問題だが、音羽屋の生前には「太った女形なんて……」絶対に 言及できず。大成駒の逝去にて雀さま天下、何でも言えるか。神谷町(芝翫)とて道成寺などまるで大成駒の 道成寺などなかったかのような発言あったが。京屋にとってラッキ〜!だったのはポスト大成駒の筆頭である大和屋(玉三 郎)、老いても華麗なはずがいい意味でも枯れて水谷八重子的、それによって華麗さ留まるところを知らず成長続ける雀さん相対的に目立つ結果 に。
▼宮台先生について築地H君と考察の結果、最終的には、先生、親政による革命おこしたいのかも?、と。建武 の中興とかいい例か。ただ天皇にはなれないわけで、宮中の止事なき方との縁組み、「女帝論議の流れによっては、うまくいけば、ひょっとして「天皇の父」に なる可能性も」とH君。田吾作を抑えて、天皇陛下外戚として摂関政治の復活とか。