富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月二十五日(土)曇。此数日生業に追われ本日も沙田にて競馬ありがなら馬場に向へぬ日も馬券だけは 購ふを常とするも昨日より競馬新聞見る暇さへなく競馬できず。香港におらずとも北京から携帯にて馬券購入までする我にとって尋常に非ず。晩に帰宅せむと 搭った的士の運転手、確かに土曜の夜にしては中環方面に向ひ渋滞ひどしといへど逆方向に走るのだから交差点の渋滞さへ避ければ道も空くのに運転手興奮遠回 りしてもで渋滞回避したく何度も余に迂回を請ひ親しき運転手仲間と発狂した如く渋滞情報の交換に余念なし。塞車〜!、塞車〜!と矢鱈とうるさく流石に我慢 できず昨晩もさうであったし香港にて渋滞なければ寧ろ驚くだろーが、えっどうだい?と質し黙っていただく。帰宅して郵便物見ればキャセイパシフィック航空 のマイレーヂAsian Miles、AmexとVisaに貯った点数振替えれば70,000点となりビジネスで日本往復〜!と思へば疲労困憊も多少楽となる。前回の日本往き、一 昨年の八月もこの特典にて帰国からはや一年半。月刊『東京人』の松葉一清氏による巻頭連載「東京発言」、松葉氏の洗練されたる随筆に東西の冴者による東京 に関する発言載せ短くも適切なる一言を松葉氏付ける。東京に対する愛着さゆへ手厳しさもあるが今月つひに氏、暮れに訪れし紐育の活気と東京を比べ「首都が 国際的な都市間競争の落後者となる恐怖がどれだけ東京のひとたちの間で共有されているのか。近未来の地獄図を思う」と。これまでも悲観的に忠告少なからず とも遂にここまで述べねばならぬ現実か……と悲しき思ひ。同じ『東京人』に乱歩の特集。一度でいいから乱歩邸、書眠る蔵にて古今東西の書、読み耽りたし。 乱歩、専業推理作家となり『一寸法師』など発表し流行作家となった昭和2年に絶筆し数カ月の放浪、その後復活せし作品が『陰獣』とは……この数カ月に耽り たる窟は何処か。ふと『芋虫』読みたいと思うが角川文庫版絶版。小学生の頃に乱歩の怪人二十面相シリーズ貪るが如く読み耽りしが今にし思えば乱歩のその貪 欲なる捜索意欲も少年探偵団の小林少年の如き少年ら、さうして乱歩作品の虜となり貪り読むが姿想像すればこその意欲か、と察す。リチのCurico Valleyのシャルダニイ、Montes'02(これ、美味いぞ)で煮牡蠣のパスタ生クリーム合え。秋田系カナダ人か、カナダ系秋田人かよく解らぬがい ずれにせよ親友T君よりカナダ土産にと頂戴したGibson's Finestなるヰスキー飲みいい気分。
▼警視庁情報公開センターの監視カメラ警察側「防犯カメラの一つ」と説明「センターは玄関から20メートル 離れた所に入り口があり警備担当者が受け付けを済ませるように言ってもそのままセンターに向かう人がいる可能性がある。不測の事態に備えて防犯カメラが必 要」そうな。そのような問題あれば玄関の防犯体制を厳しくすればいいのであり、情報公開センターでの不測の事態とは何か? 警視庁資料を見ながら自慰に耽 る奴とか、か。
視覚障害者の男性(72)が国会にて各党まわり「選挙の当選祝いにダルマに目を入れるのはやめていただき たい」と要請。「目がなければ不完全だという差別意識につながる」と。画龍点睛といふ言葉も使えない? 平等とは果たしてこういふことか。差別、であると か北朝鮮拉致者=北朝鮮に拉致された「方々」といふ言い換えとか、なぜにここまで神経質に……。根本的な、理念としての普遍的価値観とか理解できぬまま表 層的な言葉の用法であるとかばかり意識し、それだけで「よし」とする安直なる社会意識。茶番。