富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月十二日(日)快晴。八仙嶺下の大尾督にてミズノ香港ハーフマラソンあり参加。朝6時すぎに天后よ り専用バスにて向かいK氏の車で暖をとらせてもらふ。靴が合わないのが確かなようで全くスピード出ず持病となっている左耳の三半規管の異常なのか水平感覚 にも支障来し10kmで60分余とこれまでになく芳しからぬ時計、速度遅きぶん心拍数は150台とまさにLSDの世界、このまま完走もできようが気力失せ てしまひ14kmでいったんスタート地点に戻りその先堤防上の直線の往復となるが断念し初の途中棄権を味わふ。大埔にバスで戻りKCRで深セン。昼前に通 関し一人で深センに来るのも珍しく市街散策、Walmartなど品ぞろえ凄まじく生鮮食料品どころか活魚や蝦など海鮮まで売っているのにかなり驚く。深セ ンの唯一の問題は羅湖に近き市街でふと一人で食すようなこざっぱりとした食肆乏しきこと。一見して不味そうな茶餐庁だの焼臘店ばかり。美味い餃子屋とか上 海麺屋などさがしきれず。昼すぎ一瞬マクドに入りそうになるが麺麭屋にて菓子パン購い飢えをしのぐ。午後遅く按摩して香港に戻る。深センの往復に車中『世 界』読み「現代貧乏物語」なる特集に暗澹たる思ひ。なぜここまで貧しくなってしまったのか、高卒の就職が4割台、昨日は盛岡の材木町にある宮沢賢治銅像 が鎖捲かれ植木を抱かされ火をつけられた、と……もう終わってしまっている。同じ『世界』の「BC級戦犯裁判」取上げた対談で井上ひさし氏が樋口陽一先生 の「国民であると同時に国の外に立つ精神」といふ言葉を紹介。国家の外に立つ、不当な上官の命令を拒否する、そうした原理と制度の重要性をどう作ってゆく か、という問題提示で対談は終わっているが、日本国旅券を有することだけで日本という国家と首の皮一枚つながっているだけで物理的にも精神的にも日本とい う国家の外に立ってしまっているアタシ自身じゃ何も言う立場に非ず、か。NHK大河ドラマ『武蔵』視る。かつて『花神』で村田藏六(のちの大村益次郎) 役が秀逸であった梅之助の子といってももう40半ば、若衆頭といふには老けているが梅雀の芝居よし。先週の西田敏行にせよ梅雀にせよNHK大河ドラマだ からこそチョイ役であっさりと殺してサヨウナラ。おつう役の米倉涼子を除けば女優陣が寺島しのぶ、玉緒、かたせ梨乃と揃っているし内山理名まで先輩たちに 影響されて芝居にいい緊張感、来週から阿国役で出演の片岡京子嬢に期待。