富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月二十六日(木)曇。十三度の気温ながら九度まで下ルと低温「警報」発令される。昼まで競馬予 想。沙田まで出向く覇気なく、ただこのままでは宅に籠りッきりになり昼に一時間ほど湾岸を走る。午後沙田競馬のテレビ中継。Allan、Hynesなどガ イジンばかりか梁定華まで調教師の多くが聖誕節の休暇で離港中。聖誕節とはいへ生業疎かにするとは……殊に梁定華などせっかく今季は偶然のごとく好調にて 19勝とSizeに継ぐ好成績なのだから浮れずに着実に勝負続けるべき、といふわけで聖誕節だろうが旧正月だろうが真摯に黙々と調教続けるのが我らが Size調教師にて今日はSize師と察していたら予想通り6戦3冠1亜2負の好成績。騎手では韋達10戦3冠1亜3季3負。当然のことながら合作なしの この二人で10戦6冠2季2負といふ勘定。この時期今季初戦の馬が活躍始めるがR2(�1200m)では Danehill産駒のJolly Gains(葉/韋達)、Strategus(東/高雅志)、R4(�1600m)でMark of Excellence正印(Size/戴勝)など。名馬の同馬主馬も活躍あり精明大師の精英大師、R9(�1400m)に は電子麒麟の同馬主馬で電子金龍(Size/霍達)、これが勝てば今日は上下白を着ているのを何度もカメラが拘える香港競馬のアイコン譚先生、 きっと電子麒麟の勝負服(つまり電子金龍も同じ)を着ているわけで譚さん、颯爽と上着脱いでお披露目だ! と期待したら電子金龍お見事一着、Z嬢とテレビ画面に注目すれば譚さん上着脱いで電子金龍の勝負服で欣喜雀躍。Z嬢、譚さんを霍達と思い見逃したほど。 R10(�1600m)はSize師4勝目期待し韋達のClassic Master に負け二着に甘んじるが結果少し儲かる。テレビ、ビデオ、レ コードの音源をB&Oに 繋ぐのに利用していたSansuiのAU-555Aな るアンプ、1970年製のものを10年近く前に深水歩の路上にて買い求めた逸品ながら騙し騙し使っていたもののさすがに雑音混じるようになり誤魔化し修理 も効かず、用心して昨夏にこれももう25年ほど前の製品ながら実家にて現役であったYAMAHAのA-1なるアンプ(当 時で確か10万くらいしたはず)を香港まで運んでいたのでこれに競馬のR8からR9の間、20分で取り換える。70年代から80年にかけて の日本製オーディオ製品の質の高さ。まだかなり音がいい。田中康夫『一炊の夢』読む。全体的には意図的な話の逸れが多すぎてかなり読みづらき文章展開なが ら(欧州のレストラン評は脇に置いて)江藤淳との出会い、『文芸』の編集長金田氏との思い出、朝日ジャー ナルの伊藤正孝編集長、会津小鉄会三上忠氏への哀悼など読むに値す。そういへばかなり昔、康夫ちゃんが川上宗薫氏のことを書いていた随筆も秀逸だった、と 思い出す。TVB Pearl局でピアニストYundi Liのリサイタル見る。香港のどこのホールかと思えば東京サントリーホールにての収録。2000年のショパン国際ピアノコンクールで15年ぶりか で「第1位優勝」だか最年少金賞受賞者のはずだが、正直言ってショパンの曲がショパン?って違う曲に聞えてしまって(い い意味ではなし)。アンコールで弾いたLa Campanellaは、リストがパダニーニのバイオリンを聴いてその<織り>をピアノに托したこの曲を覚えた楽譜鍵盤に叩く演奏。この人はピアノが弦楽 器だってことがわかってないかもしれない、なんてね、アタシが言ってもいいものか。だが当然の如く来春の香港芸術節でのリサイタルは 目出度く完売だそうで。夜にはいり小雨模様、気温は尖沙咀天文台で8度、拙家はさらに山あいにあり6、7度か。さすがに石油ヒーターを灯す厳寒の晩とな る。愚猫、温熱斬のまえの籐椅子にで丸く眠る。
▼朝日『天声人語』で漫画家の武田秀雄さんが展覧会という文章。「朝日ジャーナルで80年代にひとこま漫画 を連載していたから、ご存知の方も少なくないだろう」って(笑)。80年代のジャーナル読者なんてそれぢ たい少ないんだからこの漫画、誰も知らない、はず。
三井住友銀行による「わかしお銀行」合併での合併差益2兆円捻出し三井住友銀の株 式など含み損一掃、と。わかしお銀行とは経営破綻した太平洋銀行であって、90年代当時住友銀行とかさくら銀行はまさか自らの生き残りのため形式的である とはいへ経営破綻した太平洋銀行の世話になるとは思ってもいなかっただろうし、もつと遡れば80年代まで住友銀行とか三井銀行とかにとってはかつて『噂の 真相』だの『内外タイムズ』でよからぬ噂の絶えない第一相銀(のちの太平洋銀行)など都市銀の一流行に比 べ「銀行」といふのもオコガマシイほどの存在、ましてや戦後のドサクサの時代は三井住友といった財閥系銀行にとって相互無尽会社(のちの第一相銀)など金融機関と呼ぶのも否定するほどの闇金融に毛の生えた程度だったはず。まさかその無尽会社(基本的には無尽講つまり頼母子講ですぞ!)に半世紀後、天下の三井、住友といふ財閥銀行二行が合併した上で含み損 一掃を扶けてもらふとは(嗤)。まさに金融戦後史。基本的に「金貸し」といふ商売に区別なし、か。で、ふ と思ってこういった<講>と貨幣経済、通貨を考えたら<溝>を地域エコ通貨の機能に何か関連づけられるのでは?と思い、調べたらやっぱりいましたね、それ を提唱している研究者が(こ ちら)。