富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月九日(月)晴。朝の気温摂氏十一度。極寒。この気温尖沙咀天文台測量にて山あいのマンション 高層の拙宅は更に寒し。大気透けて遠く馬鞍山、大帽山まで一望は冬空に遠く筑波や富士の嶺を眺める坂東の枯野を彷彿。夜になれば九龍の夜景殊更に輝く。関 東にて大雪、実家のあたり殊にひどいと知り電話して久々に母と話す。中学の時の恩師に手紙認める。NHKにて英語ビジネスワールドなる番組見る。日本とい ふ国家が経済成長を経て世界に名だたる経済大国となりそれが完全に終焉を迎えてから国際化の時代、これからは英語ができぬと、と英語学ぶは当然のことなが ら遅し。今なら中国であるとか越南が躍起となって英語学ぶもの。なぜに進駐軍いた折に英語がせめて第二外語にまでならなかったのか、昭和30年代になぜ英 語教育の徹底を図らなかったのか。この番組も基本的な哲学が間違っており、「……という場面でAさんはどういう対応ができるでしょうか」とまず間違った対 応を見せ、それに対して先生が正しい英語を紹介し、さぁみなさんも練習してみませふ、と。最初間違う、恥をかくが勇気をもって正しい英語を覚えませふ、と この姿勢から根本的な間違い。多少間違っても通じていればよい、といふ姿勢にて慣れればよし。しかもそもそもかういふ番組を見る視聴者相手にいきなり取引 先会社の受付にて受付嬢に "Is Mr. Bush expecting you? "と尋ねられ(くだらなぬ展開だが)それを「(当社の)ブッシュはあなたに期待しているのですか?」と尋ねられたと誤解し謙遜し " I don't think so." と答えてしまい「ブッシュ氏はあなたとアポがあるのですか?」と尋ねられたのを勘違いして赤っ恥といふ……あぁ実に下らぬ頓智問答。万が一にも "Is Mr. Bush expecting you? "と客に尋ねる受付嬢などおらず、have an appointment さへ覚えておけばよろし。また「御社の評判はお聞きしております」といふのにrumorという単語を使うと誤解されるなどと、全く無駄な内容。出てくる講 師も「相手先の会社の受付でその会社の姿勢が見える」だの「外資系の会社の受付のデザインが本社と同じ場合はかなり本腰をいれた支社であるとか」馬鹿なこ とを真面目顔。紐育の実写でも会話に日本語訳の字幕スーパーつけてしまい、なぜせめて英語の字幕にせぬのか理解できず。この番組が流れているだけで完ぺき に日本の英語感覚が「毀れている」ことの明らかなる証明。ニュース見ていたら国連のイラン視察団が視察終えイラン側の提出文書を分析し明日だかに国連安保 委で報告、と。その視察団にて記者に答える代表たち、二人とも英語はnativeにあらず。国連といへば阿南事務総長、キッシンジャー博士とて同様。かな り聞き取りにくいそれでいいのである。寒さ耐えかね自宅にておでん。ふと思ったが立ったままコップ酒などしておでんを注文しZ嬢にとってもらい立ったまま 食べると自宅で屋台おでんができることに気づく。
憲法調査会地方公聴会(福岡)にてテロの脅威に対して憲法9条改正し自衛隊を正規の国防軍とするといった 意見も市民から出る。が、はっきり言ってクリミア戦争ぢゃあるまいし現代の政治的にかなり高度化したテロなどいくら軍隊強化したところで防げるものに非 ず。ましてやテロの「脅威」は軍事力にて対抗するものにあらず内なる敵により醸造されることを理解すべし。
▼行政長官・董建華訪朝。朱鎔基首相に謁見。朱鎔基君忠僕董建華連れて記者会見に望み董建華推進する香港の 財政改革において重要なる点は開源(増収)と機構改革にて増収は現状において困難で機構は前政権=英国植民地政府の遺構でありそれを改革するには時間かか り、その時間を与えているのだ、と。かつての香港政庁、厚遇と必要以上の人員確保こそ問題あったが効率よきこと世界でも一流のにて少数の精鋭と統率された 清廉なる公務員の組織、97年からの5年で台無しにしたのが董建華。それに時間を与えているとは開玩笑。時間を与えていればいつの日かは景気は回復するの であり誰でもできること。いかに短い期間にて機構回復し景気回復させるかが執政者の義務。それを宣う朱鎔基も朱鎔基ながら、公務員減給について自ら大ナタ を振るえず一国両制も省みず国府に参上し朱鎔基にそれに言及させ錦の御幡を背に凱旋し一気に減給=政府支出減を断行しようとは、忠僕の分際で隣りに坐り横 柄な態度にて自信あり気に気取る董建華見ていると情けなく言葉もなし。