富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月十五日(金)曇。
ジャパンカップに 参戦予定だった香港の原居民Indigenous、これが最後の海外遠征とされていたが、餌料が農林省の検査で日本への持ち込み不可となり10歳近い老壮 馬に急な餌料の変更は負担大きく充分な走行など到底期待できぬし12月15日の香港Vase出場に悪影響と判断され日本への遠征断念。餌料は米国産にて農 林省が問題としたのは第三国経由された餌料ということで米国からの直輸入であれば問題ないのだが検疫などあり今から来週火曜に予定されていた原居民の日本 入りには間に合わず。香港側は確かに第三国経由に当るが封も切ってない餌料にて検疫上の問題はないはず、と主張するが役人のこういった杓子定規な解釈を覆 すは到底無理。ただ「もしも」のことで日本にて細菌蔓延することを想像し責任がとれぬことの回避。それにしても香港にては近年日本馬香港の国際重賞レース を総嘗にする活躍あり香港の寛容なる日本馬受入れに対して日本のこの様は昨年も外国馬による手口足病の流入を怖れ一昨年の優勝馬Fairy King Prawnの参戦すら取り消されそうな事態が発生しており、その際もドバイ、香港と遠征した日本馬は帰国と参戦可能にて非常に納得のいかぬ二重思考、不公 平さあり。今回の原居民の場合、もっと結論が早く出ていれば米国からの餌料の輸入を図るなりジャパンカップ辞退し今週末の香港カップ予選参戦も可能だった わけで理不尽な措置の上にその判断の延滞もかなり問題あり。こうして競馬でもまた世界から顰蹙か。
▼毎晩NHKのNews10への苦言ばかりだが「これしか見れない」のだから唯一毎日目を通す朝日新聞同様 に余の揶揄の対象で申し訳ないが中国共産党総書記に選任された胡錦濤君を紹介するに頭角現すは胡君88年チベット自治区党書記に任命され翌年「治安の悪化 したチベットでの騒乱を収集」したことが評価され党中央に抜擢、と。チベット騒乱は事実といえば事実だがこの騒乱が中国政府のチベット占領に反対するチ ベット人の反中央政府暴動でありそれをチベットにて共産党を代表する党書記として権力側として徹底した弾圧をしたのでありチベットからしたら冷徹なる中 央指導者。「チベット自治を切望するチベット人による反政府暴動に対してチベット自治区党書記としてそれを制圧した」くらいの表現が正しくはないか。今に 始まったことではないがこの権力側からの一方的な視線。政治も小沢征爾ともマトモに語れぬ粗忽さ恥じ入るべし。それにしても胡錦濤、日本語読みで「こきん とー」というのはどうにかならぬものか、フランス人ならPompidou大統領がいるから表記をCoquinteauとかすれば多少オシャレかもしれぬ。
▼韓国大統領選に現代財閥の御曹司、日韓共催W杯の韓国側組織委員長で韓国サッカー協会長、国際サッカー連 盟(FIFA)副会長も務める鄭夢準氏が新党「国民統合21」を正式に旗揚げし同党の大統領選候補にも選出される(朝日)。 これって堤義明が総理大臣に立候補するようなもの。財界が政治に絡むのはあるとしても三井、岩崎といった財閥は政治との距離を置くことでその品格を保ち麻 生などもせいぜい代議士どまり。それが小泉こそ仁侠出身で異るものの、小ブッシュも石油成金の田舎財閥であるし日本だと鳩山か、財力のある御曹司ばかり。 財閥が直接政治に関与し統治すらするといふ、昭和の初にすらなかった下劣な時代となり果てる。
▼国連によるイランの大量破壊兵器製 造に関する査察受入れ(朝日)、 昨晩のNHKニュース10の報道見ていて不思議なのは、単純になぜイランのこの大量破壊兵器製造だけが非難の対象となるのか、といふこと。国連安保理がこ の査察を決定したものの米英は安保理で否決されてもイラン侵攻は辞さない、って大量破壊兵器を世界で最も有する国家のこの横暴についてNHKはワシントン手嶋支局長筆頭に日米安保遵守し報道は非難どころか疑 問すらなし。それに対してイラン側査察受入れを表明とニュース10司会の今井アナは「これがそのイランが国連アナン事務総長に当てた書簡です」とさも NHKが独自のルートで入手したが如く扱うが(けして「独自のルートで」とは言っておらず、念のため)その書簡、国営イラン通信が国連への提出から 数時間後には公開しているもの。つまり誰でも入手可。早速サイトを見るが書簡見つからずアナン事務局長が書簡の受取りを記 者会見で述べた時にはすでに公開されたいたという事態にさすがに公開を止めたか、と察す。ただし書簡はすでに紐育タイムズなどのサイトにて公開されていて入手可。 一読するが(テキストはこちら)確かに査察受入れといっても査察は「国際法に従って」認めるが「安保理決議は国際法国連憲章に違反するから「後日、別の 書簡を届ける」……。こんな内容が盛り込まれたイラクの「安保理決議受諾」書簡は、本当に無条件なのか。受け取った国連側に疑心が残っている」という「イ ラク独特の論理構成ともいえるが、査察を妨害するための伏線ではという懸念は消えない」(朝日)も のの、「米大統領は、悪意に満ちた非難をでっち上げて大騒ぎして」おり安保理も「米国の圧力を受けて国連憲章にも、国際法にも反する邪悪な決議を採択した のは恥知らず」という主張内容は至極尤もなものと思えてならず。
中国共産党第16回党大会閉幕。四年に一度のサラマンチ=ファシスト独裁によるオリンピックにも勝るとも 劣らぬ5年に一度の茶番……いや暴言を避ければ「様式美」の世界。水面下ではかなり派閥抗争などありつつも表面的には予定調和的に中国の安定を誇示。筋と しては何ら面白さなどないのだが役者が揃ってただ並ぶだけでも華がある、という様式美として曽我対面であるとか車引のようなもの。閉幕にて荘厳に「イン ターナショナル」吹奏され今どき舞台には赤旗並び国際歌が流れる場などこの世にこの人民大会堂のみ。インターナショナルのサイトはこちら、 とくにお勧めは(このあとのリンク★印はクリックすると自動的に音曲がダウンロードされますので覚悟あれ)中 国のロックバンド★唐朝の演 奏、映画『うんたまぎるー』の★琉球語版、 そして89年の★天安門広場で の歌声。ちなみにGoogleで「サラマンチ」と「フランコ独裁」で検索かけたら富柏村日剩が三つもひっかかる(汗)。
教育基本法中教審教育基本法の見直しの視点や方向を示した中 間報告を文相に提出。朝日は「反対論は根 強い」といふが国民の85%が教基法の内容も知らぬ中、この停滞した国家にては根本的な<国のかたち>の合意もなきままとにかく何でも「見直し」という観 念だけが流行り誰もそれを止める感覚もない麻痺。このままどこまで陥落し続ければ気がすむのか理解できず。驚いたことに文部科学省のサイトで教育基本法を 検索してみると中教審の答申は当然(笑)、韓国だの他国の教育基本法はあるが文部科学省の根本理念であるべき教育基本法じたい存在せず! いくら改正に向 けての動きが主流だろうが現行法の原則がないはずがなく文部科学省にわざわざ電話で問い合わせると広報担当暫くサイトで探した結果、中央審議会の第 26回総会の中にあります、と。確かにあった、がこれは審議会資料であってダウンロードするファイル、つまりは教育基本法文部科学省のサイトに 掲げられていない、ということ?……広報担当「確かにこれは審議会資料です」「サイトにはありませんねぇ」と(唖然)。根本的にもうダメだ、こりゃ。
親兄弟が日本にあるといふこと以外に何ら愛「国」心も「国家に宣われた」郷土愛もなき我ながら残念ながらこ の中間報告が期待する「個人の自己実現と個性・能力の伸長」と「創造性の涵養」は余の老身にもまだ備わり(の、つもりだ けか……)「社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心」とて少なからず有し古典に親しみ歌舞伎だ文楽だのを好み且つ泰 西や支那のことにも通じ「日本人としてのアイデンティティーと国際性」もそこそこ持つ。期待されうるさういふ人格形成には実は愛国心も郷土愛もタテマエの 公共心など要らぬ、といふこと。このような教育だ、経済だのの「見直し」など言葉遊びにすぎず、それが亡国の遊戯であることを理解できぬ国家はまことに哀 れ。