富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月七日(木)快晴。畏友M君と黄昏に深水歩。携帯のSIMカード2枚装着するためのパーツ購ふ。 一つの携帯に香港と中国夫々のSIMカード装備する為なり。曾て真空管アンプだの電脳軟件高価なおり偽品購入のため何度か訪れた此の地もここ数年訪れぬ間 にすっかり店々も垢抜けし何よりも商品の種類も増えたれば漫ろ歩き店を冷かすもまた楽し。晩にY社長、佐敦夫人、Z嬢と北角の寿司加藤。
▼米国、中間選挙にて共和党大勝。「テロとの戦争を通じて指導者としての地位を確立したブッシュ大統領の個 人人気」(朝日)というのは真実はチョムスキー先生的にいえば「テロとの戦争を口実にテロ国家指導者とし ての地位を確立したブッシュ大統領の個人人気と国民の盲信」だろうが。「過去35回の中間選挙で大統領の与党が下院で議席を伸ばしたことは(略)2回しか なく、いずれも民主党」であり「ブッシュ陣営は「歴史的勝利」と位置付けている」というがこれは明らかに正しい。もう世界は完全に終わりだ、といふことが 明らかになってゆく。田舎漢の石油成金である粗忽なブッシュじたいはどうでもよし、ただ二年後で米国国民が「まだ」ブッシュを支持し再選させたら、もうお 終い、なり。
週刊新潮白井佳夫(映画評論家)による「没後4年「淀 川長治さん」のタブー「ホモ人生」の真実」という暴露記事(笑)。『キネマ旬報』元編集長にて淀川先生の 『淀川長治黒沢明を語る。』(河出書房新社)なる本には「おすぎ」らと共著者でもある白井佳夫もここま で墜ちたか。仮に「ホモとして有名だった淀川先生が実は女好きで隠し子がいて妾までいた」なら大スクープだが(笑)。…… としたら出版界事情にも精通するH君より内容は不可解なことに結論はなんと「ホモ説否定」と(難)。いま さら?、この時期になぜ?……「著名人と淀川先生のゴシップが流出する動き」あり、しかも「週刊新潮に載るということは新潮社から本を出してる?」で先手 を打ったのかもとH君憶測。
▼昨日、竹中平蔵の「改革」を「90%の日本人は痛い目にしか合わぬのに、ただそれを呆然と眺めている」と 綴ったらH君曰く「傍観しているのではなく、むしろ支持しておる」と。「竹中さんや小泉さんがせっかく改革を進めようとしているのに銀行屋や守旧勢力が私 利私欲のために妨害している」とか。自民党守旧勢力、小泉によりすっかり悪者にされたが野中広務亀井静香、古賀勝、小林コーキ……といつた曾ての三木武 吉(三木武夫に非ず……といっても三木武夫すら知らぬか、若者は)、大野伴睦といった「党人肌」の如き悪 相なる顔みただけで小泉、福田某、安倍某、町村某だのといった薄っぺらな二代目(三代目?)政治家とは段 違いの深みを感じ入るもの、とH君。「いわんや(丸山真男が新鮮な!)松下政経塾から民主党に集まった「若手政治家」は論外の外」、御意。亀井「強面」静 香は住基ネット反対の集会に出席し「人間に番号をつけて管理することは尊厳を奪うことであり絶対にゆるせない」と発言。これに対して「改革派」のいうよう な「IT時代に対応して電子政府を進めるために住基ネットは必要不可欠」などというコトバのいかに浅薄で無内容なことか、とH君。然り。

十一月六日(水)快晴。昨晩遅く吉野俊彦『断腸亭の経 済学』読了。著者は千葉生まれながら東大