富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月二十七日(金)久々の晴れ間。かつての香港ヒルトンといへば粤菜Eagle's Nest、日本料理の源氏と上質のパスタなど供す花園道に面した名前失念せしダインなどありしこと懐かしきヒルトンホテルの跡地に建造されもう数年たちたる李嘉誠の長江集団中心初めて入り通り抜ける。長江実業の大本営ながら東京駅八重洲口一帯を三菱地所が占有する如くSwire系のHK Landが押さえる中環に李嘉誠初めて構えた和記大厦は電車道の向こう側にあり、この和記大厦と長江集団中心を橋渡しする歩道橋は当然ながら立派にて美しい曲線を描くが、長江集団中心にはこの空中歩道より直接入れず一旦階段を降りる様。回廊を渡ればCitibank Towerには直接雨に濡れず入れて、かつてのヒルトンホテルも歩道に面して前述せしダインなどあり。何故のこの不便か。不便といえば理解できぬのがこの歩道橋を海側に渡った側は回廊が直接Bank of America Towerにつながり実に便利であったものが、その美国銀行中心に歩道橋から入ったフロア一面、香港中文大学MBA課程と夜間学校が為に占有し、もともとはショッピングアーケードなど並ぶための設計のフロア故に歩行者は当然公共通路のつもりにて歩道橋よりこの美国銀行中心に入ると突然、中文大学のなかに迷いこんだが如き錯覚を覚えこの学校の受付前のエスカレーターを済まなそうに降りるハメとなる。香港中文大学にしてみれば地価下落により都心にこうして大学の教室広々と確保できる恩恵こそあろうがこの建物と空中回廊の設計は本来こうしたフロア占有を企図しておらず。そこが図書館であるとか汎く市民利用する公共施設であれば道理。こうした間違いを理解できぬ大学側もこのビルを所有する李嘉誠の会社もデリカシー欠如。二更に芸人C君より誘いあり某所に遊ぶ。
蘋果日報に興味深き四コマ政治漫画あり。香港行政長官董建華嬉しそうに「五年経て鵝これだけ肥えました」と雁字搦めにし口まで塞いが鵝を見せ「こうしておけば安心でしょう」と。江沢民「しかし私が欲しかったのはこんなんじゃ……」と困惑顔。董建華「あ、どんなのをご所望かわかりました」と鵝を抱えて走りさる。戻ってみると「焼き立ての鵝でございます」と献上し江沢民「愚か者、これではもう金の卵は生まぬではないか」と激怒。まさに真理。返還から五年、登β小平の五十年不変どころか何が驚いたかといえば中国側の要請にあらず香港みずから香港の良さを削ぎ落とし中国化する奴隷根性。まさに植民地。英国統治にては英国流にて中国が宗主となれば羞恥心もかなぐり捨てる様。浅ましき。
▼香港政府、居屋政策(市民の自家化推進のため公共資金にて建造し販売してきた公団住宅)撤廃し今後マンション開発は民間デベロッパーのみ、と。居屋の高級化と民間マンションの価格低下により差少なく当然民間デベロッパーは居屋政策は面白くなし。不動産価格の低迷もありこの居屋政策停止により民間開発に刺激を与え不動産価格の下落防止と今後の景気回復を期待するもの、と。建築需要により雇用確保もあり。結局は民間大資本の思うが儘ながら経済対策もなき愚かな政府よりはまだマシか。
▼日本の著名な憲法学者のH教授も李鵬が存命するかぎり中国の土は踏まず、と誓っているそうだが、李鵬についてまたも唖然。李鵬といえば天安門事件での制圧の首謀者として名高いわけだが、ただそれは政治的判断としては共産党の幹部で誰かがその泥を被らざるを得ず、それが李鵬なら李鵬はそれだけでその後の党内基盤は安定しよう、というものだが、それだけならいざ知らず、愚息が株のインサイダー取引に関わっているなど醜聞あり、そればかりか18日の信報の記事読み驚愕せしは企業私有化(共産党幹部が国是の企業国営化どころか私有化!)であり、中国の国内の電力会社は大きく五社独占となっているが、そのうち李鵬の愚息・李小鵬(なんとわかり易い親子の名前……笑)がその五社の一つ華能集団を率いており、更に李鵬の娘・李小琳が同じく五社の一つ中国国際電力公司の代表。李鵬家族が中国の電力供給5社のうち2社を独占……。呆れてモノも言えず。李鵬周恩来先生の養子なり。先生も墓で泣いておられるか。国会議員の伜がせいぜい二世議員となる程度、首相の息子が俳優志願し麦酒の広告に出る我が国のほうがマシか。